損切りはお早めに
「ジェリアナ、もうすぐ貴族学院に入学する時期が来るね」
「そうですね、エリオス様との学院生活が楽しみです」
私、ジェリアナ・トラースは婚約者であるエリオス・ラクナーダ様との定期的なお茶会を楽しんでいた。
「そこで提案が1つあるんだけど」
「はい、なんでしょうか?」
「学生期間はお互い自由に過ごさないか?」
「……はい?」
一瞬、何を言っているのかわからなかった。
「つまりお互いの事を忘れて学生生活を過ごさないか、と言っているんだよ。 君には君の人間関係があるだろうし僕には僕にも人間関係がある、それを尊重しよう、と言う話だ」
「え~と、それはつまりお互い婚約している事を隠す、という事ですか?」
「そういう事だよ、どっちみち卒業後には結婚する訳だしそれまでの期間だ。 その間、君は恋人を作っても良い訳だし」
あぁ~……、そういう事ですか。
漸くエリオス様の言いたい事がわかった。
要は羽目を外して女遊びをしたい、という事ですか。
まぁエリオス様はそういう方というのは理解していましたが、まさか堂々と言ってくるとは思わなかった。
私のウキウキしていた心は木っ端微塵になった。
「エリオス様、まず言っておきますが貴族学院は学舎です」
「勿論わかっている」
「人間関係を構築するのも大事ですがそれは卒業後にも大きく影響してきます。 例えば学院時代に悪戯をしたら貴族社会にも広まりますしラクナーダ家にも影響を残します。 つまり貴族学院こそ身なりを正さなければならないんです」
「しかし、真面目に過ごしてもつまらないじゃないか」
「……そんなに私との婚約が嫌なのですか?」
「そんな事は言っていない」
「でも、自由に過ごしたい、という事は私との関係が嫌だからでは無いですか?」
「嫌だとは思ってないよ。ただせっかくの学生生活だから……」
「それは何の言い訳にもなりません。 申し訳ありませんが婚約の話を考え直さないといけませんね」
「えっ!? ちょっと待ってくれっ!」
「両親と相談させていただきます」
私はそう言って席を立った。
結果から言えば私とエリオス様の婚約は解消となった。
両親に話したら『今からそんな考えを持っていたら結婚したら厄介な問題を持ち込みかねない』と一致して動いてくれた。
向こうは向こうでエリオス様は私に言った事をそのまま話したらしいけど『それは堂々と浮気宣言してるようなもんだ』と説教され叱られたらしい。
更に『人間的に問題がある』と貴族学院への入学を取り止めて厳しいと言われる山奥にある学園に放り込まれたそうだ。
そこは貴族と言うか人間的に社会に出したら害がある、と思われる人が送り込まれる所で更生が認められなければ一生出れない、と言われている所だ。
「ある意味良かったわね、早めに本性を出してくれて」
これで穏やかな学生生活が送れる事だろう。




