今のボクは、忙しそうに見えるらしい(11)
オヤジが練習を主導している。
家ではついぞ聞いたことがない、凛とした声。
こんな声出せるんだ。
普段グダグタしている様子からは想像もつかなかった。
「バウンズパス」……ワンバウンドさせて味方に届かせるパス。
「片手でパスを出すんだ。」
「パスを取る直前で両足ジャンプ・両手キャッチ・両足着地」
オヤジが実演してみせる。
子供たちはひたすらパスしてキャッチしている。
「10分」オヤジが声かけ。10分やるんだという意味。長いな。
ボクにも声をかけた。「これが試合を成り立たせる技術だ。」
「どういうこと?」
「まずはボールをつかんだり、握ったりしないと、
ボール競技は成り立たないだろ?
それから団体競技であって、一人でやるものじゃない。
だからパスしたり、それをキャッチするための諸々の小さなスキルが
大切だ。だからこういう『対人パス』の練習を徹底している。
これができないと、シュートが届かなかったり、
リバウンドがつかめなかったりする。
それと、強いバウンズパスの連続が強いドリブルにつながる。
今はドリブルの練習を徹底させるチームが主流だが、
一人でボールを持ちたがる選手ばかりでは、
組織的にしっかり守ってくるチームにはかなわない。
『バウンズパス』は簡単そうに見えて奥深い技術だ。
バスケの多くの要素が詰まっている。
ボールの取り方だってそうだ。
走ってきて急にストップをかける。
それがディフェンスの足さばきにも通じるんだ。」
驚いた。オヤジ、結構いろんなことを考えてやっているんだ。
ただの脳筋野郎のセリフじゃない。




