地獄の番人たち
真隼たち外川中喧嘩部は、不良グループ「地獄」が巣食う獄門高校へと向かい、地獄のリーダーの元を目指す。迫りくる敵を躱しつつ進む真隼の前に立ちはだかる者が一人…
三階へ続く階段を進む真隼が最後の一段を上り終えた時、真隼の左頬に強烈な痛みが走った。
真隼は踊り場まで転がり落ちた。経験したことのない激痛に耐えながら上を見ると、そこにいたのは、顔に無数の傷がある細身の男だった。男は真隼を見下ろして言う。「俺は地獄三番隊隊長、能登斗真。貴様を殺す者の名だ。」
そう言うと能登は階段から飛び降り、真隼に殴りかかってきた。能登の拳が迫ってくる。真隼はさっきの痛みで動くことができない。目の前が、真っ暗になった.......................。
夏樹たちは二階で地獄の隊員たちと交戦していたが、次から次へと襲い来る隊員たちに手を焼き、西校舎の二階まで退避していた。しかし今、夏樹たちの前には一人の男が立ちはだかっていた。
カッと見開いた目、学ランの襟部分に刻まれた「遊人」の文字。そして呑気に煙草をふかしている。男は夏樹たちに向かって言った。「俺ぁ地獄一番隊隊長の矢吹って者だ。お前ら、今大人しく帰りゃあここまでの無礼許してやるぜぇ。抵抗せずに帰りゃあな…」
夏樹は矢吹の威圧感に圧倒されたが、気丈に返した。
「俺たちが無礼?失礼だなぁ。俺たちは悪党を倒しに来たんだよ。」
矢吹ふかしていた煙草を床に吐き捨て、靴で踏みつぶした。
「可哀そうになぁ。自分たちの置かれている状況も解んねぇでよぉ。」
そう言うと、矢吹は夏樹たちに向かって何かを投げてきた。「これは…爆竹っ!?」夏樹たちは爆音と煙で体制を崩した。そこに矢吹が向かって来る。拳が、目の前に…!夏樹は目を閉じた。そして次の瞬間強烈な痛みが.......................
来ない。
夏樹は恐る恐る目を開けた。そして目の前に広がる状況に自分の目を疑った。
矢吹が宙を浮き、窓を突き破って、下に落ちていった。
「間に合ったみたいだな。」
夏樹は声のする方へ顔を向けた。そこにいたのは、
「斯波さん!」
”勝者”。不良たちの間ではそう呼ばれている。この、斯波勝舞という少年は。斯波は言う。「東校舎の方は光一と二番隊の奴らが向かっている。これから三階で合流することになっている。」
そこに、教室から地獄の隊員たちがわらわらと出てくる。
「まずは、こいつらを片付けてからだな。」少年は笑って、夏樹たちに告げる。
「連いてこい!お前ら!!」
狭山です。次回は一番盛り上がる話になると思います。お楽しみに。