2011/3/11 pm.2:46
バスケ部に所属する中学生「岸野真隼」は、3月11日の大震災に巻き込まれ、同日の別世界にいる「もう一人の岸野真隼」と入れ替わってしまう。真隼は無事に元の世界に戻れるのか?
キュッ、キュッ、キュッ
スポーツシューズの擦れるあの独特な音が体育館に響く。
宮城県立大空中学校の2年生である 岸野真隼 はバスケ部に所属しており、今日は授業参観日であったため授業は午前中で終わった。
学校が終わると真隼はユニフォームを取りに家に帰った。
テレビのニュースでは「午後1時半」を知らせていた。
学校に着き、ユニフォームに着替え、体育館に入ってアップをする。
いつも通りの行動。喉が渇いたので水を飲みに外の水道まで行った。戻ってきてふと時計を見ると「午後2時40分」を指している。再びボールを手に取り、練習を再開する。
「真隼ー!決めろ!」
幼馴染で同じ部活の 坂本輝 からボールをもらい、勢いよくドリブルしてシュートを決めようとした瞬間、
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…
地面が、揺れた。
急な感覚に真隼は状況が理解出来なかった。それは周りの生徒たちも同じようだった。
「真隼!逃げるぞ!」輝の声でようやく体が動くようになった。
慌てて走り出す2人。足の震えがとてもよくわかった。出入口まであと2m位のところまで来たとき、誰かが叫んだ。
「天井が崩れてきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
えっ_____________________________________________________________________
最期に見た光景は、崩れてくる瓦礫と、恐怖でいっぱいの顔の輝だった。
目の前が、真っ暗になった。
あれ 死んだ ?
いや、違う。 少しだけ、意識がある。
生きている心地がする。
目を開けると学校の体育倉庫のようなところに座っていた。目の前には見知らぬ長髪で金髪の男子生徒の姿。何か話している。状況が理解できず困惑していると、その生徒が不思議そうに話しかけてきた。
「どうした真隼?ボーっとして」
「ぁえっっ!?」思わず変な声が出てしまった。
「ちょ、お前なんだよwいきなり変な声だしてw」
真隼は困惑を隠しきれないまま、笑っているその生徒に問いかけた。
「えっ…と…あなたの名前っ…て…なんですか…?」
生徒は首をかしげて答えた。「はぁ…? 橋本夏樹 だよ?お前本当にどうしたの…?」 橋本夏樹…??まったく知らない名前だ…。真隼はさらに問い詰める。
「今は何年何月何日だ?俺の名前は?なんで俺は生きてるんだ!?俺は死んだはずだ!!」
「なっ、何だよ!どうしたんだよ急に!」夏樹が驚いた顔で見ている。真隼は冷静を取り戻し、深呼吸をすると、泣きそうになりながら言った。
「ごめん…俺…何が何だかわかんなくて…だけど、答えてくれ…」
夏樹は困惑しながらも答えた。「…今は2011年の3月11日だ。お前の名前は岸野真隼。俺と同じ宮城県仙台市立外川中学校の2年生で、ここは外川中の体育倉庫だ。あとの質問は…意味がわからない。…どうだ?」「…ありがとう」真隼は少しだけ理解できたが、依然わからないことだらけだった。
「なぁ真隼、お前、もしかして…」言いかけた時、夏樹の携帯が鳴った。携帯を見た夏樹は顔色を変えた。「やばい、部活の招集かかってた!行くぞ真隼!」「えっ?えぇ??」部活?そういば、ここでの自分はバスケ部に入っているのだろうか?ユニフォームはどこにあるんだろう?
そう思いユニフォームを探す真隼に夏樹は、「なにやってんだよ!行くぞ!」と言って強引に手を引っ張った。「いや、行くってどこへ?バスケ部じゃないのか!?」「バスケ部?ちげーよ、喧嘩部だよ」「け、喧嘩部!?」
喧嘩って…なにを言ってるんだ!?困惑している真隼に夏樹は鬱陶しそうに言う。
「不良グループみたいなもんだよ!もう時間がない!行くぞ!」わけもわからずどこかに連れていかれる間、真隼は今までのことを整理した。
1.俺は死んだはずだがなぜか生きていること
2.元いた世界とは違う世界であること
3.日にちと名前など、変わっていないところもあること
4.輝や、他の人の安否がわからないこと
一体どうなっているんだ…そう考えている中、不意に鏡に反射した自分の姿を見た。
.............................................................................................ダッッッッッッセェェェェェェェ!!!!
そこに映っていたのは、雑に刈り上げられたサイドの髪と、変にしなびた中央の金髪…モヒカンのつもりだろうか…この世界の俺はこんな姿になってしまっているのかと絶望した。
そうこうしているうちに、どこかに着いたようだ。ここは、中庭?
「すみません!遅れました!」夏樹が誰かにむけて叫んだ。周りを見ると、たくさんの男子生徒が集まっていた。
「よし!集まったな!これより、外川中喧嘩部の活動を始める!」号令の方に顔を向けると、髪の長い、制服を羽織った小柄な生徒と、その隣には背の高い短髪の生徒がいた。短髪の生徒は続けて、「気を付け、礼!」と言うと、周りの生徒が一斉に頭を下げた。真隼も慌てて頭を下げた。
真隼は唾を飲んだ。緊張が走る。
これから、一体なにが始まるのだろうか……?
はじめまして。狭山ダイスケと申します。
読みずらいかもしれませんが、何卒温かい目で見てください。
尚、本作品は私の別名義、狭山泰士の同名作品のリメイク作品です。5話までは同じ内容となります。