3話
「たっだいまー!」
翠仙は蝋梅を見つけると急いで駆けつけ力いっぱいにハグをする。
「に、兄さん!」
いきなり成人男性の体重をかけられバランスを崩れそうになったとき後ろから誰かが優しく蝋梅を支えた。
「霞にぃ!」
「翠仙…蝋梅くんがバランス崩して倒れたらどうするつもりだったんですか?」
「ごめんな、嬉しくて」
捨てられた犬のように落ち込む翠仙をペシペシと叩き続ける霞を見てどこかホッとした。
「区長会議ってどうだった?」
「…」
2人はピタリと行動をやめお互いに見つめ合う。しばらくして口を開くが
「特にただ難しい話をしてただけです」
「そんなことより!俺腹減った」
「兄さんは...ご飯の準備はもう出来てるよ。霞にぃも一緒に食べていく?」
「私は...えっと」
「霞は用事があって一緒には食べられないんだ」
「そっか残念だね」
「え、そうですね...また別の機会でお願いしますね」
「じゃあまたな!」
「ぇぇ...また会いましょう」
ペコリとお辞儀して霞はその場を去っていった。
「今日の夕飯はなにかな」
「...」
「蝋梅?..」
「え...あ、僕も楽しみだな」
「早く行こうぜ」
「うん!」