第七話 ~名付~
今回は、タイトル通りの内容です。
少々ネタに走りましたが、温かい目で見てくれる助かります。
では、どうぞ。
「「ごちそうさまでした」」
「はい。おそまつさまでした」
夕食を終え、綺麗になった皿を下げていく。
「しかし、良かったのか?あまり手の込んだものは作れなかったけど」
「ああ、魚が食えれば良かっただけだし」
「わたしは、鏡が作ったならなんでもいい」
「さいですか・・・」
俺が作ったのは、普通の焼き魚と煮魚だ。二人が見たテレビ番組では、もっと手の込んだ料理が紹介されていたはずだが、どうやら二人とも魚を食べたくなっただけであり、魚であればどんな料理でも良かったらしい。
ていうか、真雪さん、魚をリクエストしたのはあなたでは?なんでもいいと言われても、俺が作った料理ならというと嬉しいのだが、少し複雑だ。
「はい、お茶」
「ん、ありがとう」
「お、悪いな」
居間で寛いでいる二人に暑い緑茶を差し出す。自分の湯呑みにも口をつけると、苦くもなく渋くもなく程よい風味と旨みが口に広がった。
うん、旨い。自画自賛、というわけではないがだんだんと上手に淹れられるようになってきたと思う。暇だとこんなことばかりが得意になる。次は紅茶にも挑戦してみようか。いっそ喫茶店でも開くかな、ってそれは言い過ぎか。
「うおー、何だこりゃ。うめー!茶をこんなに旨く感じたのは初めてだぜ!」
「・・・うるさい」
妙にリアクションが大きい銀司と、それを冷めた目で見やる真雪。真雪は少し機嫌が悪そうだったが、お茶に口に含むと、表情が和らいだように見えた。どうやら好評のようだ。
それに満足し、自分の足元に目を向ける。
そこには、行儀よく座り大人しく俺を見上げている白猫の姿があった。
「ん、起きたのか」
この白猫、料理を作っている最中に眠ってしまったようで、今までずっと寝ていたのだ。
「ん?どうした?」
声をかけると、白猫はにゃー、と一声鳴き、何やら物欲しそうな表情で見つめてくる。これは、ひょっとすると・・・
「お腹が空いたのか?」
それを聞いた白猫は、一際大きな声で鳴き返してきた。言葉を理解しているのだろうか。
「ちょっと、待ってな」
残念なことに、家にキャットフードなどのようなものはない。なので、残しておいた魚の身などを皿に乗せ、さらに牛乳も別の皿に注いで白猫の前に置いた。
すると、白猫は最初こそ匂いを嗅いだりしてなかなか口を付けなかったが、すぐに勢いよく食べ始めた。よほどお腹が空いていたらしい。
その食べっぷりに感心していると、気がついたときには既に皿は空になっていた。牛乳も含めて。
「・・・満足したか?」
「にゃ」
白猫は満足したように一声鳴いた。
「なあ、鏡」
「うん?どうした」
声のした方を見ると、銀司が俺の背後から白猫を覗き見るようにして立っていた。
「その猫の名前、どうするんだ?」
「ああ、俺も考えてるんだけどな、いいのが思いつかなくって」
そう、この白猫の名前はまだ決まっていない。早く決めてやりたいところなのだが、安直な名前しか思い浮かばない。何かいい名前はないだろうか。
「それなら、俺が付けてやってもいいぜ」
「え?・・・まあ、変なのでなければいいけど」
多分、ほぼ確実に、とんでもない名前を言いだすような気がしてならない。本当にいい名前ならいいのだけれど。
「よし、じゃあ・・・たま」
「却下」
「早いな、おい」
「そりゃ、そうだろう」
「シロ」
「却下」
「ジ〇」
「どこの宅急便だ」
「GG]
「遠まわしに言っても駄目だ。つうかギ〇ス?」
「バ〇ン」
「爵位はないと思うぞ?」
「ネコ〇ス」
「乗れないし」
「シャ〇セン」
「喋らないと、思う、ぞ?」
「アー〇ー」
「騎士王ではない」
「レ〇」
「それは黒猫だろ」
「白レ〇」
「一番ダメだ。確かに外見は似てるが」
「アル〇ミス」
「変身はしないだろ」
「スピ〇ルサン」
「お菓子を食べても酔わないと思うが?」
「白虎」
「・・・式神?」
「マタ〇ネ」
「幽霊ではない」
「ドル〇」
「あんなに大きくはないし、なってほしくない」
「レ〇ン」
「案内役ではない」
「ト〇イン」
「伝説の殺し屋じゃない。というかそれ黒猫というか、人間?」
「ケ〇ベロス?」
「関西弁は喋らないし、ぬいぐるみでもない。つーか猫じゃないだろ」
「ドラ〇もん」
「秘密道具は持ってません」
「にゃ〇こい」
「それタイトルですから!?」
「ヘ〇キャット」
「機械生命体!?」
「ったく、文句多いな。じゃあ、次は・・・」
「そういう問題じゃないだろ。なんでどこかで聞いたような名前ばっかりなんだ!」
「じゃあ、何がいいって言うんだよ!」
「逆ギレ!?」
「うにゃー!」
「ぎゃー!な、なにすんだこの猫!」
腹に据えかねたのだろう。白猫は銀司の顔面を思いっきり引っ掻いていた。綺麗に三本の赤い筋が銀司の顔面に描かれている。あー、あれは痛いぞ。
そのまま両者唸ったまま睨み合っている。
「まったく、さっきからなにしてるのよ」
流石に騒がしかったのか、真雪が近づいてきた。
「わたしが名前をつけてあげる」
「え、真雪が?」
「そうね・・・哭月なんて、どう?」
「なつき、ナツキか・・・どうだ?」
「にゃー」
白猫は機嫌良さそうに鳴いた。うん、どうやら決まりのようだ。
「じゃあ、今からお前は哭月だ」
「にゃー」
「会話、成立してる?」
「多分」
喜んでいる、と思う。哭月は俺の脚に首を擦りつけていたが、暫くすると真雪の方に近づいていき、甘え始めた。早くも名付け親に懐いたようだ。やっぱり言葉が理解できるらしい。
多分、銀司に懐くのは遠い未来のような気がする。あるいは一生懐かないだろう。
「ちくしょー、人があれだけ名前を上げたのに、却下したくせに。真雪は一発かよ」
「そりゃねえ。お前のはただの悪ふざけだ」
「まあな」
「いや、認めるなよ。少しは反論しようよ」
「半分は、本気だったぜ。面白そうだったから」
「色々ヤバイから、やめてくれ」
こうして、哭月が新たにこの家の家族に加わった。
しばらく哭月と戯れているとあっという間に時間が過ぎ、時刻は10時になっていた。
「んじゃ、夕飯サンキューな」
「ああ、別にいつ来てくれてもいいぞ。食材とか持ってきてくれれば特に」
「了解、覚えておくぜ」
「べつに、こなくてもいいけど」
「おいおい」
「今のはわたしじゃない。哭月が言った」
「「嘘をつくな、嘘を」」
見事に俺と、銀司の声が重なった。
「そういえば、銀司。今度の土曜日って暇か?」
「暇だけど、それがどうかしたか?」
「うん、みんなで花見をしようかと思ってな」
「花見?どこで?誰と?」
「霊樹の森で。俺と真雪と、哭月、桜花、九凰姉妹、よければ後お前だな」
「マジで?茜さんも来るのか?」
「ああ。まあ都合がよければだけどな」
「よし、俺も行く!」
「まあ、そう言うとは思ったよ」
「単純」
「にゃー」
何気に酷いな、真雪。それに同調するように鳴く哭月。この二人かなり息が合っている。
「しかし、あの森でね。大丈夫なのか?あそこは・・・」
「・・・?ああ、桜花の許可は取ってある」
「桜花って・・・マジで?」
驚いた表情で言う銀司。そんなに驚くことだろうか。
「あの御狐様と仲いいのか?」
「え?まあ・・・普通に会話する仲とは思うけど」
「へー、あの御狐様とねえ」
暫く銀司は俺を無言のまま眺めていたが、何かを悟ったように一言。
「お前、いつか後ろから刺されるぞ」
「何で!?」
「そりゃお前・・・まあいっか」
「よくない!?」
それから、暫く言い合っていたが、決着はつかず、今度こそ銀司が帰る運びとなった。
「正確な日取りが決まったら、連絡するよ」
「ああ。楽しみにしてるぜ」
さて、花見のメンバーには改めて予定を確認するとして、花見料理のことも考えなければならないか。うーむ、ここだけで食材を揃えるのは無理があるし、人間の街に行くしかないか。
でも、夜叉の力がなあ。どうしよう。
今回はネタに走りすぎました。といっても、また新しいのを思いついたら、追加するつもりなんですけどね。
次回は花見。かも知れませんし、違うかもしれません。まだ決めかねているので少々お待ちください。最低でも九話には花見に入ります。戦闘パートはその後ということで。
では、また次回。




