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第二十六話 ~夏祭(後編)~

今回は後編になります。

最後におまけがありますが、それまでの雰囲気をぶち壊すものなのでそういうのが嫌いな方は本編のみをご覧下さい。


では、どうぞ。

「結構いるな」


神楽の舞台に行ってみると、既に相当数の見物客が集まっていた。


「うん。いっぱいだね」


隣の桜花も同意の声を上げる。

舞台を取り囲むようにお年寄りから子供、俺と同年代くらいの若者までいる。


「本当に、一大イベントなんだな」


九凰さんの話ではここの神楽は神に捧げ、神を鎮める役目もあるが、それ以上に祭事の出し物としての側面が強いという。

代々受け継がれてきた舞は優雅で美しく、人を惹きつける魔力が備わっている。とは九凰さんの談。この舞を見るために来る見物客もいるのだとか。それこそ子供の頃からお年寄りに至るまで毎年欠かさずに見に来て、その人が親なら子供も一緒に見に来てと、そうして連鎖的に続いていくという。つまりは常連客を作って、毎年安定した確実な収入をという魂胆らしい。いいのだろうか、色々と。

つーかそれは自慢話として受け取っていいのだろうか。や、別にいいのだけれども。


「そういうことです」


「「わっ!?」」


「あら、どうしたんですか二人とも?」


「・・・いきなり現れないで下さい九凰さん」


「びっくりしたよ」


いつの間にか、何食わぬ顔で九凰さんが俺たちの後ろに立っていた。いつもと同じ巫女服を着ている。いくら気を抜いていたとはいえ、俺がまったく気配に気付かないとは。


「ごめんなさい。そんなつもりはなかったのだけど。それはともかく、皆さんの特等席を用意してありますので、ご案内します」


「・・・本気だったのか」


確かに以前九凰さんは、神楽を一番良い席で見れるように場所を取っておくと言っていたが、まさか本当に用意してあるとは思わなかった。その気持ちは嬉しいのだが、何だろう、普通に見ていたい。

というかぽっかり空いているであろう特等席とやらに入る瞬間が嫌だ。想像してもらいたい。これほど人が込み合っている中、何らかの方法でスペースが空いている空間に我が物顔で入っていくのだ。俺はそれほど神経が図太くない。なんか申し訳ない気分になる。

まあ、九凰さんの好意なのだし無碍にすることも・・・


「あ、ちなみに同じ場所にビデオカメラをセットしてあるので撮影の邪魔はしないで下さいね」


それが目的か!好意で特等席を用意したんじゃなく、俺たちを利用することで他のお客さんに遠慮することなく撮影をするという己の邪な欲を満たすことが目的か。欲のためなら手段を選ばないんだな。よく言えば策士ともいえなくもないが。

ま、まあでも、それくらいなら利用されてもいいか。九凰さんには色々お世話になっていることだし。特等席で見られるって事は悪いことじゃない。


「は、はあ。用意万端ですね」


「ええ。他にも色々な場所にカメラはセットしてあるんですよ。それこそ更衣室から舞台に上がるまでの通路に至るまで至る所に設置済みです。抜かりはないですよ」


「「「「「異常者シスコンか」」」」」


思わず俺たち全員の声が重なった。


「そんなに褒めないで下さいよ。照れるじゃないですか」


褒めてねーよ。という言葉をギリギリ口の中で噛み殺す。頬を染めながら腰を振り身悶えている、一見可愛らしい様子を、俺は顔を引き攣らせながら見ていた。

とてもじゃないが、後のことが怖くてそんなことは言えない。命は惜しいのだ。何故祭りに来て死なねばならないのか。それもこんなことで。

てか前にもこんなやり取りあったような。前より表現キツイ気がするが。けどそれも、ストーカーとかに間違われてもおかしくないような行動をしている以上、仕方ないけど。


「さあ、こちらです。では、私は色々とやることがありますのでこれで失礼しますね」


そう言って九凰さんは、人ごみの中に消えていった。

案内されたのは、舞台を一番近くで見れる最前列。丁寧にロープで確保された空間の中央には、高そうなビデオカメラが鎮座していた。


「本気なんだな・・・」


「ねえ、ご主人」


「ん?」


「これって・・・・・・盗撮じゃない?」


や、多分このカメラだけなら盗撮にはならないだろう。こんなに堂々と置いてあるんだし。ただ、それ以外に関しては何も言えない。多分、円香には許可を取ってないだろうし。


「言っちゃ駄目だ。そういうことは」


「そうね。ご主人も人のこと言えないしね」


「ああ、そうだな。俺も人のこと言えな・・・ってちょっと待てぇぇい!?」


「駄目だよ鏡。犯罪は、めっ、だよ」


「・・・桜花まで」


そんな俺たちの話を聞いてか、周りに笑い声が広がった。彼女たちはこれを意図した訳ではないだろうが、おかげで周囲の視線も気にならなくなった。たまに生暖かい視線と嫉妬交じりの殺気が篭った視線を感じるが、彼女たちと一緒にいるのであればこれぐらいは当たり前だ。


「えー、でもこれくらいなら私も普通にっ」


「そこまでよ零。それ以上言うなら、貴女の代わりに周りじゃなく貴女自身を凍らせてあげましょうか?」


危ない発言をしかけた零の口を真雪が塞いだ。ちょっと背伸びした格好になっているのが可愛らしい。

ではなく、ナイスだ真雪。それ以上言わせていたら、本当に周囲の人が凍り付いてしまっただろう。ついでに俺への視線もさらに痛いものへと変わっていただろう。

真雪に向かって親指を立てると、真雪も親指を立てて返してくれた。




それから暫くは危険な発言もなく、雑談をしながら神楽が始まるまでの時間を潰していた。


「あ、始まるみたいだよ」


零の声を聞いて、舞台の方を見ると円香らしき人物が既に舞台に上がっていた。

何故らしき、などといったのかというと、一瞬、誰だか分からなかったからだ。

彼女は飾りのついた巫女服を身に纏い、手には扇子を持っていた。普段との違いなどそれだけ。しかし、彼女のその表情、佇まいは普段のそれと違い一種の神秘性さえ持っていた。

何故だろう。彼女の雰囲気が、一振りの刀のように感じたのは。


「・・・すごい」


そう、小さく誰かが呟いた。

静かに舞が始まり、始めは微かに聞こえていた声も、今はどこからも聞こえない。皆、舞に見入っている。かくいう俺も、見惚れている一人だ。

緩やかに舞うその動きは流麗で美しく、一つ一つが洗練されていた。動くたびに衣が舞い、足運びに淀みはなく、ふわりと軽やかに舞うその姿はこの世のものとは思えないほど幻想的だった。それでいてキレもある。いっそ、神々しくさえ感じる。

待っている途中、円香と俺の目が合った。そのせいか、舞が一瞬乱れたのだが、すぐに修正していた。それ以降は一切ミスは無く、体感的にはあっという間に終わりのときを迎えた。


「綺麗だったね」


「そうだな」


桜花の言葉に素直に同意する。それだけでは言い尽くせないほどに素晴らしい舞だった。俺は舞のことなど全く分からないのだが、あれが物凄いものだということは分かった。あれなら確かに毎年見に来たくもなるだろう。それだけの価値はある。


「さて、あとはどうする?」


本当なら円香に一言、言葉をかけに行きたいところだが、まだ色々忙しいだろうし迷惑になるかもしれない。まあ、少ししたら時間が空くかもしれないし、その時に行けばいい。となると、それまでどうするかが問題となる。


「うーんそうだな~。色々もう回っちゃったけど、お兄ちゃんとはまだだし、あれとかあれも・・・」


零が何やら後ろを向き、ぶつぶつを呟きながら考え込んでしまった。そんなに迷うことでもないと思うのだが。


「ん?」


気付くと、哭月と真雪が零を背に隠しながら、怪しげな動きをしていた。多分、何かのジェスチャーだとは思う。何か口も動かしているようで、何かを伝えようとしているようだった。

何なんだ、いったい?


「なあ、あれは何をしているんだとおも、う?」


桜花に二人が何をしているのか聞いてみようと思って傍らにいる桜花を見たのだが、何故か軍隊のような敬礼をしていた。

まさか、と思い、哭月と真雪を見ると二人も同じように敬礼していた。

何が起こってるんだ?


「来て、鏡」


「お、桜花!?」


困惑気味に突っ立っていると、桜花に急に手を取られ、そのまま引っ張られるようについていった。ふと気になって振り返ると、哭月と真雪は笑顔で手を振っていた。


桜花に連れてこられたのは、人も来ないような林の中。遠くに祭囃子が聞こえる。

俺は何故か緊張の色を隠せなかった。誰も来ないような林で二人きり。これで何も無いというほうがおかしい。いくら俺でもそれくらいは分かる。

桜花は俺に背を向けたまま、肩を上下させていた。そのまま数分のときが過ぎ、意を決したように桜花が振り返った。

桜花の頬をこれ以上ないくらいに上気しており、その表情は不安そうな色を隠しきれていないが、瞳には揺ぎ無い意思が宿っていた。

そんな桜花を見て、俺はこの周囲には俺たちしかいないかのような錯覚を覚えていた。微かに聞こえていた祭囃子ももう聞こえない。虫たちの鳴き声も、葉が擦れる音すらもなく、無音の空間の中にいる。

不思議と、それまで感じていた緊張感はきれいさっぱりなくなっていた。穏やかな気持ちで、ただ無心で桜花の言葉を待った。










「あの、えと、鏡。私、私は・・・」


「・・・・・・」


「私・・・・・・・・・鏡のことが・・・好き」


「・・・・・・」


「多分、今の人格が出来る前から鏡のことが好きだった。一緒に住むようになって、私、鏡といるだけで胸が温かくなった。それまで私の中にあった虚無感が満たされていった。私・・・・・・ずっと、一人だったから・・・この温もりを知ったら、もう、戻れない。離れたくない。だから・・・ずっと・・・・・・傍においてくれますか?」


「・・・桜花」


「えっ、あ、ちょ、ちょっと待っ」


「・・・?」


「ふう、妾からも言っておくぞ」


「お、桜花か」


「・・・妾もお主のことを好いておる。妾はこの通り、身体を共有してる身じゃが、知っておいて欲しかった。お主だけじゃったからな。本当に、心から妾のことを思ってくれたのは。それだけじゃ」


「っ・・・もう、強引なんだから。あ・・・・・・その、ごめんなさい。いきなりこんなこと言って、返事はあとっ・・・で」


「桜花」







俺は、自然に桜花を抱きしめていた。その全てが愛しくて、その全てが大切で、考える前に体が動いていた。抱きしめたままどれくらいたっただろうか。桜花が先に口を開いた。


「・・・鏡?」


静かに身体を離して、桜花の瞳を見つめる。


「・・・ありがとう、桜花。そう言ってくれて本当に嬉しい」


「・・・・・・鏡」


俺は今、どんな顔をしているだろうか。穏やかな笑みを浮かべられているといいのだけれど。


「・・・俺も、桜花のことが好きだ。ずっと、傍にいて欲しい」


それは、俺の本心だった。いつの間にか、桜花の存在が俺の中で大きくなっていた。桜花といるだけで、それまで冷めていた俺の心に火がついたように温もりが広がっていくのを感じていた。たとえ力は強大でも、その寂しがりで、甘えんぼうな彼女を、護りたいと心から思っていた。

ただ、今のままの関係でもいいと少しだけ思っていた。それは、多分、俺が変化を恐れていたから。

俺が告白をして、今の心地いい関係が壊れるのを恐れていたから。

情けないのは、臆病なのは俺の方だった。

だから、返事は、俺の本心をそのままぶつけてやろう。


「っていうか、嫌って言っても離さない。俺、桜花が居ないと駄目だ」


「・・・うん。離さないで、絶対」


「・・・・・・桜花」


「・・・・・・鏡」


俺たちは、吸い寄せられるように顔を寄せ合い、ゆっくりと唇を重ねた。

触れるだけの口付け。けれど、今の俺にはそれだけでとても満たされていた。柔らかな唇の感触も、近くで感じる桜花の匂いも、全てが俺を甘美な心地に導いていく。

どのくらい唇を重ねていたか分からない。十秒か一分か、はたまた一時間か、時間の感覚などなかった。

どちらともなく、唇を離した。だが、顔はまだ近くにある。

互いに、まだ先ほどの口付けの余韻が残っている。

また、顔を近づけ、唇が触れようとした、その時だった。


「「おわっ!?」」


花火。

不意打ちだった。

ドン、という大きな音で、二人とも吃驚して顔を離してしまった。名残惜しいが、これでまた、というのも違う気がする。

桜花を見ると、同じ気持ちなのか複雑そうな表情をしている。顔を見合わせ、苦笑しあった。

けどまあ、ずいぶんとタイミングよくあがったものだ。まるで、俺たちを祝福してくれているようだった。もしそうならもう少し待ってくれれば良かったものを。


「綺麗、だね」


「ああ、もう、そんな時間だったんだな」


全く気がつかなかった。というより、その存在自体を忘れていたといった方が正しい。

ああ、そういえば。


「桜花、ついてきてくれないか?この近くに花火が綺麗に見える所があるんだってさ」


「うん」


それは、以前九凰さんに教えられた場所だった。彼女でも出来たら一緒にいかがですか?などとからかわれた。その時期は、祭りの少し前。もしかして、俺たちの気持ちを知っていたのだろうか。それは分からないが、そういえば、哭月と真雪の行動も、まさか俺たちを・・・まったく、俺の周りには御節介な奴が多いな。だが、今は感謝しておこう。本当、世話になってばかりだな。


「さて、ここだ・・・おおっ」


「わ・・・すごい」


そこは、林を抜け、丁度、崖の様になっている場所だった。坂の傾斜がきつくてほとんど垂直になっているのだ。

花火は真正面に見え、何の障害物も無い。まさに、絶好のポイントだ。

俺たちは近くにあった大きな岩に腰かけた。桜花は身体を俺に預け寄りかかるように座り、頭を俺の肩に乗せた。そのまま俺たちは花火を夢中で眺めていた。

次々と中空に火の花が咲き乱れ、夜空を彩っている。今まで見たどの花火よりも綺麗に感じた。それは、初めて障害物が無い場所で見たからか、それとも、好きな人が隣にいるからか。まあ、いうまでもないことか。後者に決まっている。


「ねえ、鏡。花火が終わるまでこうしてていい?」


桜花は俺の方に頭を乗せたまま言う。


「ああ、俺もそう言おうと思ってた」


「本当?」


「本当」


そういうと、桜花は嬉しそうに微笑んだ。だが、すぐに顔をまた真っ赤に染めてこんなことを言った。


「・・・鏡」


「ん?」


「・・・・・・愛してる」


「っ・・・・・・俺も・・・愛してる」


言った直後、俺は恥ずかしさで胸が一杯で、多分、顔はこれいじょうないくらいに真っ赤だったろう。まともに桜花の顔が見れない。

暫くしてから、桜花と顔を見合わせると、揃って微笑みを浮かべた。

それから顔を近づけ、二度目の口づけをした。


きっと俺は、今日のことを一生忘れない。

桜花と気持ちが通じ合った今日の日を。














































































※この話の雰囲気を壊したくないなという方はこの先は読まないで下さい。本編とはそんなに関係ないです。



おまけ





鏡と桜花が走り去った後、哭月と真雪は揃って溜息を吐いた。


「やっと行ったわね」


「上手くいくといいわね。でも、哭月はこれでいいの?鏡のこと・・・」


腰に手を当て、二人が走り去った方向を見ながら哭月は言った。


「問題なしよ。確かに私はご主人のこと好きよ。でもね、私は猫だもの。猫である以上、あの二人がくっ付いたとしてもペットとして一緒にいるわ」


「いや、そうじゃなくて」


真雪は疲れたような表情を浮かべた。どうにも、いいたいことが伝わらない。


「?・・・私は桜花のことも好きよ。だからあの二人を応援するの。主人には幸せになって欲しいじゃない?」


「まあ、哭月がそれでいいならいいけどね」


全く気にしていないような哭月の態度を見て、真雪は溜息を吐きながら少しズレタことを思う。両刀バイ


「そういうこと、でもそういう真雪だって鏡のこと好きだったんじゃ・・・」


「・・・違うわ。もちろん、好意は抱いているけど。恋愛感情じゃない、仲間意識の方が強いのかな、友情とは少し違うけどそんな感じね」


鏡に対する想いは恋愛感情とは違う。それに気付いたのはいつだったろうか。切欠はもう、忘れてしまっていた。多分、些細なことだったのだと思う。

真雪は、それ以上思考をし続けることが出来なかった。何故なら・・・


「よし、じゃあ私とお兄ちゃん、その他のグループに分かれてって・・・いない!?」


零が長い思考の海から帰ってきたからだった。


「ねえ、二人とも、お兄ちゃんと桜花は!?」


今にも泣き出しそうな顔をした零に、罪悪感が芽生える二人だが本当のことを言うわけもいかない。多分、黒焦げにされる。


「さ、さあ。知らないわ」


「私たちも別の方向見ていたから、ご主人と桜花がどこに行ったかはちょっと。気がついたら二人とも・・・」


「・・・・・・・・・・・・グ、ヌヌヌ」


口々に知らないという哭月と真雪。零は、わなわな肩を震わせている。一見、禁断症状が出ている麻薬中毒者のように見える。ちなみにこのときぶつぶつと何事か呟いていたので、物凄い不気味であった。なんとそれが数分間続いた。


「どぉおこいっっったあぁああぁ!!!あぁあぁいぃつぅうぅらああぁああああぁあああ!!!!!」


何かもう声にすらなっていないような絶叫を上げた零に、流石の二人も距離を取った。数分間何かを溜め込んでいたせいか物凄い感情の爆発だ。

周囲の人々は避難済みであり、広い空間の真ん中で零が一人吼えていた。

丁度その時花火が上がったので、零の絶叫は鏡と桜花には届かなかった。

それから零は、韋駄天もかくやという速度でその場を走り去っていった。


「哭月・・・あれは、その・・・・・・大丈夫なのかしら」


「それは、あの子が?それとも、ご主人と桜花?」


「両方」


「・・・・・・さあ?」


暫く二人とも黙していたが、揃って一言。


「「まあ、なんとかなるでしょ」」


ならねえよ。





その後、花火が終わってから暫くして・・・


「ねえ、鏡。私たち、恋人同士なんだよね」


「ああ、そうだな恋人同士だ」


「ね、鏡」


「うん?」


「大好き」


「俺も、大好きだ」


「あはは、もう、鏡ったら」


腕を組んで幸福オーラを撒き散らすバカップルが戻ってきた。

一瞬、哭月と真雪は彼らが何者か判別できなかった。まさか、ああまで変わるとは。成功したようなのでそれはそれでよかったのだが。

哭月はそれを見ていると、何か釈然としないものを感じたが、それはすぐに戦慄へと変わった。


「見いいぃつうぅうけええぇぇえたあぁぁぁぁあああ!!!!!!!」


鬼の襲撃である。

哭月と真雪はこの後のことを考えると眩暈を覚えずにはいられなかった。


この後、悪鬼と化した零VS桜花(もう一人の桜花)があったりする訳だが、今日はここまで。結果だけいうと、幸福バカップルオーラに敵なしといったところだろうか。

ともあれ、今日のところは本当にここまで。

続きは、またの機会ということで。

いや、長かった。多分今まで書いてきた話では最長かも。というか難しいですね、こういう話。告白シーンとかどう書けばいいかよく分かりません。下手に描写入れると嫌になりそうだったので会話のみとしました。いかがだったでしょうか?

さて、この物語のヒロインは桜花です。ぶっちゃけ途中で決まりました。そもそも最初書き始めたときは世界の設定自体は出来ていたんですが、ラストはさっぱり決まっていませんでした。なので、最初のほうはお分かりの通り、完全に真雪がヒロインです。もし彼女をヒロインとして書き直すならかなり加筆修正、およびラストを改変しなければ。やりませんけどね。どっちかというと零や哭月のほうに愛着が出来ていますので。

てなわけで、この二十六話で一応の区切りとなります。

次の二十七話は一気に話が飛びます。季節は変わり、一気にクライマックスに突入します。全部書くと話長くなるので、いつ完結すんだよ、ってことになるんですよ。つーわけで数ヶ月のときを過ぎたあたりから始まります。

その数ヶ月間のお話は外伝のほうでやると思います。鏡と桜花のイチャイチャ、バカップルストーリーを楽しみたい方は暫しお待ちを。

尚、外伝のほうは始めからネタバレを若干含みます。なんか先の話想像できるしいいや、とか別にそれでもいいという方はどうぞご覧下さい。多分、この話が完結するまで書かない可能性はありますけどね。書いたとしても、そんなにネタバレが含まれないようには気をつけますけど。

あ、おまけのことは気にしないで下さい。もし、零と桜花のバトルが見たいという方がいらしたら、感想のほうにご一報下さい。喜々として書きます。

では、また次回。

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