表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/45

第二十一話 ~相棒(中編)~

今回は真雪視点で物語は進みます。

てな訳で三部構成になりました。


では、どうぞ。

「足引っ張らないで下さいね真雪さん」


「それはこっちの台詞よ」


そんな軽口を叩き合いながら、私と零は森の中を歩いている。

先程鏡たちと別れ、妖怪たちが屯っている地点に神社の反対方向から回り込むように向かっている。

私たちの役目は、妖怪たちを神社から引き離すこと。その間に鏡がリーダー格の妖怪を排除、封印されている大妖怪の力を再封印するか、消滅させるという手筈だ。


「大丈夫ですよーだ。雑魚妖怪なんかに遅れは取りません」


自信満々に言う零。

ま、確かにそうでしょうね。人間から転化した妖怪は強い。協会が無視するほどの雑魚なら片手で捻れるだろう。


「あ、そう。じゃあ、さくさく片付けるとしましょうか?」


「そうですね~。なんか流された感じで気にくわないですけど、この不快感はアイツらで解消するとしましょうか」


私たちの前方に複数の気配が感じ取れた。どうやら、目標に近いらしい。


「同時に仕掛ける。準備はいい?」


「オーケー」


声と同時に零は変化した。妖怪としての本性を現したその獰猛な瞳で前方を睨んでいる。


「・・・・・っ!」


一瞬、零と視線を合わせる。そして呼吸を合わせ、同時に飛び出す。


妖怪たちに気取られる前に、氷の礫をばら撒く。妖怪たちはざっと見て約十数匹。特に狙いは定めてはいないが、それなりの量を撃てば数匹には当たるだろう。


「ぐけっ!?」


「おぐっ!!」


礫の餌食になった妖怪たちが呻く。やはり雑魚、これだけで数匹葬れた。


「な、なんだ!?」


「女?、いや、妖怪か!?」


私に気付いた妖怪たちが何か言っているが、関係ない。

私は、強大な冷気を広範囲に開放した。これにより、周りの木々は全て氷付けになり、あたり一面銀世界に変わり、多数の妖怪が氷の彫像に変じた。


「ゆ、雪女」


「く、なぜ、同じ妖怪が」


「まさか、あれを独り占めする気か?」


「何!?おいチビ!お前みたいな餓鬼に渡さんぞ!」


「・・・・・・さっきからゴチャゴチャと五月蝿い」


「あん?・・・ガっ」


「・・・・・・もういい、殺ス」


もう少し、様子を見ようかとも思ったが止めだ。この変にいる奴ら皆殺す。

誰がチビだって?誰が餓鬼だって?

三下に馬鹿にされて黙っていられるほど私はできた妖怪ではない。

どうせ妖怪たちは複数のグループに分かれてあちこちに集まっている。単にここが一番神社から遠かったというだけのこと。時間を掛けて騒ぎを他のグループに察知させようかと思っていたが、ここは別の方法を取ることにしよう。


「ギャアアァア!!」


「ヒィ、ヤ、ヤメッ!?」


冷気を地面に流し、先端の尖った氷柱を作り出し、妖怪共を串刺しにする。次々に出てくる氷柱に雑魚妖怪はなす術なく、屠られていく。


「に、逃げろ!」


「させない」


逃げようとした妖怪たちを吹雪を吹かせ、足を凍らせることで阻む。


「う、動かねえ」


「さあ、氷のシャワーはいかが?」


動けない数匹の妖怪に、薄く研ぎ澄ませた極小の氷の刃を無数に降り注がせる。それはまるで、刃の雨。躱すことの出来ない妖怪たちは身体を切り刻まれ、断末魔の叫びを上げる。


「アアァアアァアアァー!!?」


これだけではすぐには死ねない。そういう風に狙っている。

こうして叫び声をあげれば、妖怪たちは何事かと思って近づいてくるはずだ。

さあ、もっと泣き叫べ。もっと仲間を呼べ。


「そういえば、零はどうしたかしら」


まさか、油断して怪我でもしていないだろうなと思って周囲を見回してみると、その心配が杞憂であることが分かった。


「遅いよ」


零はその鋭い爪で妖怪たちを切り裂き、雷で妖怪たちを黒焦げにしていた。


「ど、何処だ?」


「こっち」


零のスピードは、雷の如く俊敏で森の中であってさえ、その姿を捉えることも出来ない。


「ほら、次行くよ~」


放たれる雷撃は、一瞬で妖怪をの血肉を焼き尽くしその命を容易く奪う。

圧倒的、無双という言葉こそ相応しい光景だった。

零の方はあらかた妖怪を片付け終わったのか、こちらに近づいてきてこんなことを言った。


「ちょっと、真雪さんやり過ぎ!寒い!」


「あら、私はこれくらいが適温なのだけど」


なんだ、そんなことか。まったく、これくらいは我慢してくれないと困る。私が戦うとなると、どうしてもこうなってしまうのだ。

まあ、氷の槍とかで串刺しにするなどの戦り方なら、どうにかなるかもしれないけど効率悪いし。


「もうちょっと手加減してよ。これじゃ私のほうが参っちゃう」


「はいはい。善処するわ」


さて、こちらはこの通り全く問題無いのだが、鏡の方はどうだろうか?

と思っていたら、森の奥のほうで何かが光った。恐らくは鏡だろう。

あちらが成功したのなら、こちらと合流して残敵を殲滅するだけだ。

じゃ、後は油断せず、速やかに残りの連中を殺ってしまおうと思いながら、私は次の標的に向かった。

なんか短いですねえ。しかも戦闘とか言っておきながら、戦闘になってない。ただ力を振り回して無双しているだけ。詳しい戦闘描写も皆無。何やってるんだと言われても仕方ありません。もっと、精進せねば・・・。

さて、後編は鏡Sideのお話になります。戦闘は今回よりも短いです。出来れば連休中に後編を書き上げたいと思います。

も一つお知らせ。多分、この『狭間の世界で』ですが、三十話前後で完結となります。今のところの予定では、ですが。全ての物語を書くと長くなりすぎるので途中を端折ります。その部分は後で別の形で書くことになると思います。あくまで予定ですけどね。

では、また次回。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ