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第十七話 ~夢見(前編)~

今回はちょっと短いです。

中途半端な長さになったので前編後編に分けました。


では、どうぞ。

「あはは、やだなそれならそうと早く言ってくれればいいのに」


いや、それを言う暇すら与えずに雷撃をくれたのは貴方ですよ零さん。


「・・・はあ、今朝はひどい目にあったわ」


「ごめんなさい」


ひどい目にあったという割りに、それほど機嫌は悪くなさそうな哭月。零も本当は悪いと思っているようで素直に謝った。


今は、朝の騒動、俺と哭月が気絶した後、いつものように家を訪れた真雪と共に、遅めの朝食を取っている。遅くなったのはもちろん、俺と哭月が気絶していたからである。ちなみに哭月は俺の隣で人間形態で朝食を食べている。哭月が何故人間の姿なのか等は既に説明済みだ。


「まあ、別に私は気にしてないわ。あれは不可抗力みたいなものだしね」


「すみません・・・っていうか今朝のアレはいったいなんだったんですか?」


「・・・スキンシップ?」


や、疑問系で返さないでくれ哭月。確かに答えずらいのは俺も分かるんだが。

あれ、でもあれはスキンシップであっているのだろうか?


「ほう、それは気になるわね。どういう感じだったの?」


や、やばい。今まで会話を黙って聞いていた真雪が会話に加わってきた。零、頼むから変なことは言わないでくれよ。


「えっとですね、身体を重ねて絡めあって、お互いを見詰め合ってました。朝からあんな卑猥な光景を見るとは思いませんでした」


卑猥!?あれだけでか!?

っていうか、何故に絡めあってとかいう表現を使うかな。あながち間違ってもいないんだが、もうちょっと言葉を選ぼうよ。上に乗っていたとかそういう・・・あれ、これも駄目か?


「・・・朝から何をするつもりだったのかしら」


怖いよ。つーか寒いよ、冷気がだだ漏れしてるよ真雪。


「何って・・・ナニ?」


「いや違うから!ちょっと驚いて話してただけだから!」


明らかに悪ふざけで変なことを言う哭月。俺は条件反射の如くすぐさま言い訳をした。いやまて、言い訳じゃなくて本当のことだからな。


「・・・まさか、ペットにしてやられるとは・・・哭月、恐ろしい子」


真雪は妙に芝居がかった口調と仕草でそんなことを言った。


「いや、俺の話も聞こうよ。つーかお前はそれが言いたいだけだろう!」


「まーね」


軽いのりであっさり認めちゃった!


「でも、お兄ちゃんとペットである哭月があんなことしてるなんて・・・魔女だったけど」


「あら、ペットですもの。嫌がる私をご主人が無理やり・・・うう」


「違うだろ!?何で悪ノリするかな!?そんな誤解をまね・・・く」


俺はそれ以上言葉を続けられなかった。哭月が瞳に涙を浮かべながら身体を密着させてきたからだ。


「・・・ご主人、怒らないで。私が悪かったわ」


「哭月・・・」


「次からはご主人の要望に、もっと答えられるようにするから」


「・・・お兄ちゃん?」


「・・・鏡?」


哭月の言葉を聞いた瞬間、零と真雪の氷のように冷たい視線を俺を貫いた。


「誤解だー!?なんていうか別にそういう意味じゃないから。いや、まて何で話の矛先が俺に向いてるんだよ」


「・・・ごめんなさい。ご主人、ちょっとやりすぎたわ」


「今更何を言って・・・え?」


気が付くと、いつの間にか零が変化して放電していた。真雪もその身に冷気を纏っている。


「・・・ちょっと落ち着きませんかみなさん。ここは、一つ冷静に」


あー、駄目っぽい。どんどん放電と冷気の勢いが増していってる。これはもう俺の言葉では止まらない。


「・・・ごめんなさい。こんなことになるとは思わなくて」


伏せ目がちに、顔を青ざめながら哭月が言った。気の毒になるくらい気落ちしていて、猫耳も今は垂れている。

・・・ちくしょう。そんなふうに言われたら怒りたくても怒れないじゃないか。ていうか可愛いし。


「・・・ま、今回は仕方ないさ。久しぶりに人と話して羽目を外しただけだろ?次からはあんまり挑発しないようにしてくれればいい」


「ご主人・・・」


「「お前ら何をしている」」


「「え?」」


声を揃えて言う零と真雪に、図らずも同じく俺と哭月も声を揃えて返した。

しかし、何をしている、か。普通に話をしていただけのはずだが。


「「その手」」


「「手?」」


手と言われて手を見てみると、いつの間にか哭月の手が俺の手に重ねられていた。


「っあ」


哭月は、頬を紅潮させ慌てて手を引っ込めた。その手は今、大事そうに胸に抱かれている。

どうやら無意識の行動だったらしい。俺も気付かなかった。多分、今の俺の頬も赤くなっているに違いない。


「いい度胸ね」


「覚悟できてるよね、お兄ちゃん?」


「ちょ、これはちが」


「「問答無用!!」」


「ァーッッッ!」


俺が言い終える前に放たれた雷撃と冷気に、俺は声にならない悲鳴をあげた。

薄れゆく意識の中で、倒れた俺に駆け寄ってくる存在があった。目を向けてみると、哭月が心配そうに俺を見つめていた。良かった、どうやら今回の標的は俺だけだったらしい。

そんな安心感の中で俺は本日二度目の気絶を味わうことになった。

今回は前編ですし、あとがきも簡潔にします。

別にこの話を一話として区切っても良かったのですが、なんとなく前後編に分けました。本当は、単にこれ書いてる間気力がこれ以上出なかっただけでもありますけど。

後編ではみなさん予想通りの展開が待っているかもしれません。白猫的な。

では、また次回。

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