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第十一話 ~再会~

ついに主要メンバーが全員揃います。

いつもよりほんの少し短めです。


では、どうぞ。

「へえ、ここがお兄ちゃんのお家?」


「ああ、まあ、うん。そうだけど・・・」


なんなんだろう、この状況は。

やっと任務から帰ってきたと思ったら、九凰神社にもう二度と会うことはないと思っていた人間がいた。その人間を見た瞬間、心の奥底から懐かしさが込み上げてきた。忘れようとしていた思い出、頭の中に溢れてきた。それほどその人間は俺に関わりが深く、大切な人間だった。


「えへへ、お邪魔しまーす」


「・・・いらっしゃい、れい


長谷川零、俺の妹だった人間である。



何故、零がこの里にいるのかというと、どうやら俺と真雪が花見の買い物に町に出たときに、偶然俺たちの姿を見たのが切欠らしい。後を追ってみるとそこには神社があり、その中を探してもその日は見つからなかったそうだ。ここで諦めればよかったのだろうが、零は足繁く九凰神社へと通い、ついに今日、偶然にも里へと迷い込んだ。さらに偶然にも同じ日に俺が帰ってきたというわけだ。

俺が帰ってきた時、零と一緒に九凰さんもいた。零の侵入に気付いた九凰さんが応対していたようだ。

どうしようかと戸惑っていた俺に、九凰さんがとりあえず俺の家にいってみてはどうかと提案し、現在に至る。このような場合、記憶消去とかをすると思っていたので少し以外だ。


「結構、綺麗な家だね。掃除とかしてるの?」


「まあ、それなりにな」


零は物珍しげに家を見て回っている。俺もそれについていこうと思ったが、何を話していいのかまだ整理がつかなかったため、居間にいると言って、九凰さんと一緒に居間で待っていた。

暫くして一通り見終わったのか、零が戻ってきた。


「ただいま、お兄ちゃん」


「おかえり」


零は俺の隣に座り、俺を見つめて嬉しそうに微笑んでいた。


「どうしたんだ?」


「だって、嬉しいんだもん。お兄ちゃんが生きてて本当によかった。また会えて嬉しいんだよ」


俺が生きていて、などと少々大げさに聞こえるかもしれないが、それも無理もない。人間である長谷川鏡は、世間的には既に故人なのである。

理由は簡単で、変に行方不明とか失踪とすると色々と面倒であるのに対し、死亡しているとなれば死亡という事実がそこにあるだけで何も探すこともない。そこで終わりなのだ。ただし、これには家族の理解、という名の洗脳であったり記憶改変が必要になる場合もあるが、俺の両親の場合二つ返事で了承したらしい。まあ、それは今回の件には関係ないので別にいい。問題は零のことなのだが、俺が妖怪に転化したとき、零は学校の合宿で長く家にいなかった。その間に死亡届やら葬式やらの準備は済んでいたようで、零が帰ってきたら、俺は死んだことになっていたそうだ。


「・・・お兄ちゃん」


「ん?・・・て、あれ。零、何でそんなことを?」


零はいつの間にか俺と腕を組み、俺の肩に頭を乗せ密着していた。おかげで零の温かな体温と、九凰さんの冷たい視線を感じる。


「別にいいでしょ?私たち兄妹なんだから」


俺としてはあんまりよくない。嬉しいか嬉しくないかと問われれば、もちろん嬉しいが九凰さんの視線が痛すぎる。

それに、子供の頃ならこれぐらいの接触は構わない。けれど、今の零となると話は別。今の零の体はあまりにも女性らしすぎる。

長く伸びた細やかな黒髪、健康そうな白い肌。どこかのモデルかと疑うほどの見事な体型。胸も小さすぎず大きすぎず、俺好み。顔などその辺にいるアイドルや女優などと比べても遜色ないほどの美少女。というか、絶対その辺のアイドルより可愛い。兄としての贔屓目から見ても、これは絶対だ。

・・・俺はシスコンじゃないですよ?

ともかく、そんな訳で意識しまくってしまう為、こういう接触は避けたかった。


「いや、しかし・・・」


「お兄ちゃんは、私とこうするの、嫌?」


「全然嫌じゃない」


即答だった。

だって仕方ないだろう?瞳をうるうるさせて上目遣いで覗き込んでくるんだぞ?この攻撃には昔から勝った覚えがない。何より嫌じゃないし、むしろ嬉しいし。


「えへへ、よかった。大好きだよ、お兄ちゃん」


ああ、嬉しいんだけど今その発言は控えてほしい。一層九凰さんの視線が強くなった。

こういった普通の兄妹よりも過度なスキンシップは昔からだ。つまり零は、世間一般でいうところのブラコンである。本人もそれを認めている。何せ、中学校の進路希望調査で「お兄ちゃんのお嫁さん」と本気で書いたほどの猛者だ。確か、高校でも同じようなことを書いて先生に怒られたらしい。


「鏡さん?まさか・・・」


いや、なんですかその疑惑の視線は。俺は潔白ですよ。まだ耐えてますよ。一切手を出してはいませんよ。


「当然ですね」


あれ、思考読みました?


「顔に書いてあります」


さいですか。つーか何者ですか九凰さん。

それはさておき、この状況も問題だ。九凰さんは、まあいいとして、この密着状態を他の誰かに見られるとまずい。主に、雪の少女とか。

なら、離れればいいんじゃないかと思うかもしれないが俺には出来ない。さっき失敗してるし。というより、この感触は懐かしいというか、安心するというか、あんまり俺自身本音としては離れたいとは思ってないのかもしれない。


「「お邪魔します」」


神よ、俺が何かしましたか。


「あれ、お客さん、かな?」


零が小首を傾げて玄関の方を見ている。可愛い。って現実逃避してる場合じゃない。

ヤバイ。零は俺とまだ腕を組んでいる。試し少し引っ張ってみたのだが外れない。思ったより強い力で組んでいるらしい。あれ、わざとじゃないよね?


「あ、アア。ソウミタイデスネ」


なんか片言になった。

聞こえてきたのは、若い女性の声が二つ。ん?二つ?完全に嫌な予感しかしない。

つーかそこ、九凰さん。面白そうにくすくす笑わないで下さいよ。


「誰かな?」


「いや、えーと・・・」


二つの足音が近づいてくる。

地獄だ。この先に地獄が見える。

もう一度言おう、神よ俺が何かしましたか。

やっとこさ全員揃いました。本当は八話くらいで出したかったんですけど、ずるずると長くなってしまいました。

これから暫くはほのぼのしたものが続きます。そっちの方が書いてて楽しいですし。用語集の方は暫しお待ちを。いざ書いてみるとなかなか言葉が出てこないもので。とりあえず、最低限のものだけを書いて、あとから随時更新していく形にしようと思います。

それから、次回から更新が不定期になるかもしれません。なるべく同じペースで書こうとは思いますが、遅れる可能性があるので、先に謝っておきます。すみません。こんな駄文を読んだ下さっている方々に深くお詫び申し上げます。

まあ、大した理由でもないんですけどね。これからだんだん物語りも佳境に入っていくのでゆっくり書いていこうかなと思っているだけです。

では、また次回。

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