老賢者の獲物
体を縄で縛られた、リュージン。
彼は、ジョージとアレリオ達に引っ張られて連れて行かれる。
山道をジョージ達は進み。
リュージンはどこへ行くのかと思い。
縄で引き連れられて歩いていく。
『キャロ・・・ル? キャ・・・ロ! ルどこ・・・ど? こ!?』
「奴はどこへ行ったかな? あっ血痕がここで途切れている」
ジョージがそう言うと、リュージンは。
『奴? キャ? ロ・・・ル!? の・・・事!』
「やっぱ、次のキャンプ地を目指すしかないか」
「そうねっ! めんどくさいけどそれしか方法は無いわねぇ~~」
ジョージとミリカ達は、結局キャンプ地を目指すのかと思った。
『キャンプ? そこ? いく?! キャロ?!・・・ル・・・いる・・・』
「さあ平原に向かおう」
ジョージがそう言うと、リュージンは。
『平原・・・キ? ャンプ!? キャ・・・ン? プ・・・平! ・・・原?』
リュージンは混乱した。
灰色の平原まで後少し。
今は岩と小石に柔らかい土の地面の上を歩く、ジョージ達五体のアンデッド。
「ギュオオオーー」
「なんだっ! こいつ!?」
ジョージは、突然変な叫びに驚いたが。
その正体が地面から出ようとしていた。
『何っ!? 何・・・!?』
リュージンは、何が起きているのか分からない。
咆哮を上げ、スパイクリザードが土中から、二体も出現する。
アレリオは武器を構え。
ミリカとシャリル達は右手をかざし、魔法を放つ用意をする。
ジョージは、リュージンの体に巻き付けていた縄をほどく。
一緒に縛り付けていた、偃月刀の刃を地面に深く突き刺す。
その偃月刀に、リュージンを縄で再び縛り付けて動きを封じた。
『戦い・・・戦い・・・たい・・・戦う? あ? いつ!? 食う・・・トカゲ・・・食う・・・食う・・・ト? カゲ!?』
「勝手に動くなよ、じいさん・・・」
『何故!? 何故・・・縛る? ワシ? 仲? 間・・・ワ・・・シ!? 戦・・・う戦い?! たい!? トカ・・・ゲ?! 食い? たい!?』
ジョージはそう言うと、スパイクリザードに向き直る。
彼は、ベルトの鞘から、ショートソードを抜いた。
四人のアンデッド達は、スパイクリザードと勇敢に戦う。
リュージンは、それを見て。
『戦い・・・たい! 戦い!? 楽し・・・みたい・・・殺し! たい! 食べ・・・たい!?
戦い・・・た!? い』
ジョージ達の戦いに興奮し、自らも戦いたいと戦闘を渇望し吠える。
「ガオッギャアァーーギィッ」
騒ぐリュージン。
「ガアッグァ~~~~~~」
更に、大きな声で吠え声を上げるリュージン。
そこへ、一匹のスパイクリザードがリュージンの存在に気づく。
「グガアアァァァーーーー」
スパイクリザードの片割れは、リュージンを狙い突進を始める。
「ガアァーー」
スパイクリザードの片割れは、リュージンに突進を続けて、後数メートルの所まで迫っていた。
『来たっ・・・来た? 来た!? 獲物・・・向こう! から!? 来た・・・』
そして、ついに・・・。
『ドンッズザアーーー』
派手な音が周囲に響き渡る・・・。
スパイクリザードは前のめりになり、地面に頭を下げ。
顎を土にめり込ませながら倒れ込んだ。
『はは・・・!? やた・・・トカ? ゲ! 死ん? だ・・・食べ! れる!』
地面にめり込んだスパイクリザードの頭上には、リュージンが乗っている。
その頭部に、彼は何度も偃月刀を突き刺す。
そして、ボロボロに成った脳髄に吸い付いていた。
『ウマい? ウマイ? うまい? 美味しい? おいしい? オイシイ?』
「ガギャア~~グガアァーー」
リュージンは吠えながら、スパイクリザードの脳髄を右手に持つ偃月刀で切り裂く。
突いてきた左手で肉や皮を引き裂き。
それをムシャムシャと食べていた。
『頭冴える・・・食うと冴える? だから? もっと・・・もっとモットもっと食う食いたい? もう一匹いる・・・食うぞもう一匹食うぞ・・・』
リュージンは、もう一匹のスパイクリザードを獲物に定め、ふらふらと走り出した。