賢者はキョンシーに・・・出来ないっ!?
「でっ! これからどうするよ・・・このじいさん、食ってもあまり旨くなさそうだぞ」
「このおじいちゃんねぇーー確かリュージンって言ったけっ? こいつには散々痛めつけられたしねーー」
ジョージとミリカ達は、リュージンの遺体をどうするのか相談し合う。
「そうだなーー? あっ! まだ切り取られた左腕の接合具合が、何か変だわ~~? 痛いって訳じゃないが何かしっくり来ないなあ~~」
「そんな事どうでもいいでしょーーもぉーーちょっとは真面目に考えてよーー」
左腕を胴体にくっ付けて愚痴る、ジョージに対して、ミリカは呆れる。
二人が、そう言っ合ていると、アレリオとシャリル達が意見を提案した。
「リーダー、ミリカ様・・・この御老人の遺体をアンデッドに転生させて、我々の仲間に加えてはどうですか? この御老人かなり強かったし、仲間に加えたら結構役に立つと思うんですが、駄目ですか?」
「私もアレリオと同意見です・・・この御老人の力は、我々には無い槍と言うリーチの長い長柄武器・・・そして、その槍捌きと実力に加え・・・賢者としての魔法使いよりワンランク上の魔法攻撃の威力と腕前・・・是非この御老人を我々アンデッドの仲間に加えて頂ければ心強いと思うのですが?」
アレリオとシャリル達はそう言って、ジョージとミリカ達を説得した。
「ジョージィーー? 二人もああ言ってるよ~~~~どうするぅ? このおじいちゃん、アンデッドに変えて私達の仲間に入れてあげるのぉ~~?」
ミリカはどうするのかと、ジョージに聞いた。
「まあなぁ? このじじいにはかなり手こずらされたからな・・・このじじいと弟子の少女の魔法には四体二で戦っても、こっちが苦戦するくらいだったからな? まっ良いだろう、このじじいを仲間に加えよう」
ジョージは、賢者リュージンを仲間に加える事に決めた。
「おしっ! 紙とハサミと糊と筆か何かないか?」
「ねぇ? ジョージ、そんなもので何すんのさあ」
ジョージが道具を用意しろと言い出すと、ミリカは彼が何をするのか聞いてみるが。
「いいから、いいから」
そう言って、はぐらかしたジョージはテントの中へ道具を探しに行く。
ミリカも仕方なしに彼を追っていき、道具探しを手伝い始める。
それを、アレリオとシャリル達も木箱等を調べあげて道具を探した。
「さあてとっ! 俺は紙を見つけたし、アレリオとシャリルは万年筆と糊を、ミリカはハサミを持ってきたな・・・これでこのじいさんをっ! こうして、こうやって、出来たぞっ!!」
ジョージは、リュージンをアンデッド化させる準備を整えた。
「これって・・・あんた・・・まさかとは思ってだけど・・・」
「リーダー・・・いったい何ですか、これ?」
「何故、額に紙を貼っているのでしょうか? それに、この字と模様は?」
ジョージの始めたアンデッド化作業に対し。
ミリカ、アレリオ、シャリル達はそう言った。
「まさかって・・・そう、そのまさかだよ? ミリカ、このじいさんをキョンシーにするんだっ!」
ジョージは、ミリカの質問にそう答えた。
「アレリオ、シャリルこの字と模様は適当に其れっぽく描いた・・・この札を貼り付けた死体が動き出したアンデッドを、キョンシーと言って、俺とミリカのいた世界の中国って国のヴァンパイアやゾンビ見たいな魔物なんだ・・・この世界にも東洋とかさ、アジア的な地域があるんだろ? そこにキョンシーもきっと生息してるよ」
ジョージは、アレリオとシャリル達に、そう説明した。
「リーダーはアンデッドに、お詳しいんですね」
「リーダーが東洋の魔物にも、お詳しいとは驚きました」
アレリオとシャリル達は、感心しながらそう言った。
ジョージは、二人の前で調子に乗る。
「まあ・・・アンデッド限定だけどね? それに俺も知らないアンデッドが、あっちの世界にも、こっちの世界にもたくさんいるんだろうからな・・・」
最初は恥ずかしそうに、最後は自信なくジョージは呟いた。
「で・・・ジョージ、どうやって? このおじいちゃんを、キョンシーにするの?」
「えっ! ・・・・・・」
ミリカの鋭い指摘、それを聞いたジョージは黙る。
「えって、あんた・・・ここには、あのスケルトン製造装置も紫の障気も魔力も無いのよ? どおすんのさあっ! せっかく、アンデッドに変えても腐肉の塊にしか成らないわよっ!」
ミリカの一言に、ジョージは体中全身に衝撃が走る。
「ありゃっ! そこまで考えて無かったわ、あはは・・・」
「はあ~~~~やあっーーぱりねっ!」
ジョージは、そう言って苦笑いを浮かべる。
ミリカは、彼の一言に深~~い溜め息を吐いたのだった。