じじいっ! いい加減にしやがれっ!
四体のアンデッドの一斉攻撃を迎え撃とうと、リュージンとキャロル達は魔法を放つ。
「エアーカッター」
「アイスビーム」
「ぐわっ!」
「つあっ!」
同時に放たれた魔法はアレリオとミリカ達に当たる。
アレリオは、風魔法が右足に当たり転倒し。
ミリカは、右胸に氷結魔法が当たり体勢を崩して倒れこんだ。
「アレリオッーーお姉さまあーーーー」
シャリルは、二人を見て叫ぶ。
「クッ・・・怯むな、シャリル? 二人は負傷しただけだっ! 今はじじいと少女に集中だっさあ走れっ!!」
「はいっ! リーダー、二人の分の仕返しを奴等にっ!」
ジョージとシャリル達は二人を心配するが、今は負傷した彼等を構う暇がない。
そして、二人は魔法を放ち続けるリュージンとキャロル達を標的に駆けて行く。
「チィッ! 当たらなかったかいのお~~? じゃあがのっ! まだワシには偃月刀が残っているからのっ!!」
リュージンは、偃月刀を襲い来るジョージとシャリルに対し構える。
キャロルは、ショートスタッフを振るい魔法を放ち続ける。
「アイスビーム、アイスビーム、アイスビーム」
「うわっ! まだまだあーー」
「ぎゃっ」
ジョージは氷結魔法がリュージンとの戦いの時に残った右腕に当たる。
だが、それを気にせずに突っ込んでいく。
シャリルは、氷結魔法が右足の靴の爪先に当たり。
地面と爪先がくっついて動けなくなる。
しかし、その場から即座に雷撃魔法を放つ。
「喰らえぇっ! アレリオとお姉さまの仕返しよっ! サンダーショット、サンダーショット」
シャリルの放った雷撃魔法は、リュージンとキャロル達の足下に当たる。
それは、煙を巻き上げて二人の視界を奪う。
「くう~~これじゃあ何もみえんわい」
「どこっ! 敵はっ!?」
リュージンとキャロル達は、土煙に視界を奪われて混乱する。
そして、煙が晴れるとジョージが二人の眼前に現れる。
彼は、体に残っていた凍りついた右腕を振り上げた。
その手に握るショットソードは、キャロルの頭に振り下ろ・・・されなかった。
「あっあう!? 師匠っ!!」
リュージンはキャロルを庇い、ショートソードをその身に受け止めた。
彼は、左肩から斬られて血を流していた。
「キャロルさあ行けっ! 行くんじゃっ!? 近くのキャンプまで走り知らせるんじゃ」
「でも、師匠はっ?」
リュージンは行けと、キャロルに言い聞かせる。
「キャロル、心配無いわいっ! この程度でワシがやられてたまるかいの? さあ走れっ! エアーストームッ!!!!」
「師匠、必ず戻って来るからねっ? グスッ!!」
リュージンは、キャロルに向かって風魔法を放つ。
彼女は追い風に煽られて、十メートルくらい、ふあーーと飛んでいった。
その後は、彼女は走り出して逃走して行った。
「逃がすかあっ!? サンダーボルト、サンダーボルト」
「がぎやあっ! 痛いっ!?」
シャリルは、雷撃魔法を逃げるキャロルに放った。
その内の一発が、彼女の背中から脇腹に当たる。
彼女は負傷してしまい、出血してよろけるが。
それを我慢し、再び駆け出した。
「キャロルッ! お主らも中々やるわいのお~~じゃあがのっ! あやつを追わせはせんぞおっ!?」
リュージンは偃月刀を、ジョージに突き出したが。
彼は、それを寸での所で避ける事に成功した。
「格好いいじゃないかっ! じいさん、あんたジャッキーチェンやアンディラウみたいだぜ? まるで香港のアクションスターだな」
「なぁ~~にを言っとるんじゃあ? お主は!? ひょっとして劇団俳優見たいと言うことかいのぉ~~」
ジョージとリュージン達は、互いに武器を構えながら言い合う。
「リーダー、負傷は軽くシャリルに治して貰いましたよ」
「ジョージッ! 私もシャリルちゃんのお陰で傷は治ったわよっ!」
「ジョージ様、これで形勢は決まりましたね」
ジョージとリュージン達が争っている間、他の三人も密かに動いていた。
シャリルは回復魔法で、アレリオとミリカ達を回復魔法で負傷を治した。
それから、彼等は三人でリュージンに襲いかかって来た。
「と言う訳だ・・・さあっ! お遊びもここまでだな、そんじゃ殺らせて頂きますよっと」
ジョージは、ショットソードを構える。
「くうぅ貴様らあ~~!? 覚えとれっ! 今にキャロルがワシの仇を撃ちに大勢の救援を連れて戻って来るからのお~~!!」
リュージンは、負け惜しみに悪態をついた。
「はいっはいっ! おじいちゃんは黙って死んでなさいっ!」
ミリカがそう言いながら、リュージンの腹をレイピアで突き刺した。
それを皮切りに、皆それぞれの武器を構える。
アレリオは、モンタンテを彼の右腕目掛けて振り下ろす。
シャリルは、左肩を狙いメイスを叩きつけ肩を潰す。
ジョージは溝内をショットソードで切りつけて、リュージンを私刑にした。
「がああわあああがっ!! ぎああわああぎゃあ~~~~~~~~」
暗雲立ち込める暗い夜に、老賢者の悲鳴が木霊した。