表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/645

いよいよ奇襲開始


 リュージンとキャロル達は、入り口までたどり着いた。



「ふぅっ? やっと着いたわい」


「もぉーーだめぇーー」


 警戒を怠らずに平静さを保つリュージン。

 バタッと地面に膝を突き、天を仰ぐキャロル。



「誰か居らんのかあっ! わしらはマーリン学院から来た者じゃ、魔物のサンプルを受け取りに来たんじゃがっ!」


 リュージンは、渇れた大きな声をキャンプ地に轟かせるが。

 奥からは、誰も出てこなかった。



「師匠・・・ここ何か変な感じがするよぉっ」


「今更気付きおったか」


 まるで、キャンプ地に誰も居ないかの様な妙な静寂さに不安がるキャロル。

 彼女に対して、今更気付くのかとリュージンは呆れた。



(・・・不味いっ! このままじゃ奇襲は失敗にっ! ・・・)


 ジョージは思うが、入り口の奥から、ゆっくりとミリカとシャリル達が表れた。



「あらっ! お客様ですね、私はこのキャンプ地の護衛に雇われたミリカと申します・・・こちらは僧侶のシャリル、彼女は衛生要員として雇われました」


「シャリルと申します・・・怪我や消毒等の用が有りましたら、私が治療を行いますのでよろしくお願いいたします」


 ミリカとシャリル達は、人間の振りをして、リュージンとキャロル達を油断させる。

 因みに、人間に変装する為に、シャリルは前に倒した僧侶の僧衣を着ている。


(・・・この前の魔法猟師団の時は暗闇の中で、シャリルの服装は目立たなかった・・・だが? 今回はかなり近くで会話してるからな・・・バレないように変装してるんだろ・・・)


 ジョージは、シャリルの姿を見て思う。



「ふむ、わしらはイグリス連合王国国立魔術学院マーリンから来た者での・・・ワシの名はリュージンと申す、こちらに居るのは」


「キャロルですっ! まだ学生で師匠の弟子です、よっよろしくお願いしますっ」


 リュージンの裏に隠れて、話すキャロル。



「御覧の通りに、こやつは人見知りが激しくてのぉ~~困ったもんじゃわい」


 リュージンは、そんなキャロルを人見知りが激しい性格と言った。



「うふふっ? よろしくねっキャロルちゃんっ♥」


「私も、よろしくお願いいたしますね」


 ニコッと微笑むミリカとシャリル達。



(・・・どうやら二人はごあいさつに成功したようだな、じゃあ行って来ますとするか・・・)


 ジョージは、今が好機と判断する。



「アレリオ、今だ行くぞっ!」


「了解、リーダーー」


 ジョージとアレリオ達は、ゆっくりと動きだし。

 リュージンとキャロル達の元へと近づいて行く。



「のおーー御二人さんや? さっきから気になっておったんじゃが、どおして、お主ら以外に人が居らんのじゃ? 他の調査隊はどこなんじゃ」


 リュージンは、ミリカとシャリル達に質問した。



「それは・・・他の隊員達は他所へ狩りに出ていまして」


「ほおお? 主ら二人だけ見張り番に残してか? 魔物のサンプル確保の為かの~~」


 ミリカはそう答え。

 リュージンは、他の隊員が狩りに出ていることに納得する素振りを見せる。



「はいっ! 今珍しい魔物が出没しましてその魔物を捕獲に」


「こんな夜更けにかの?」


 シャリルの言葉を、疑問視するリュージン。



「はいっ今回出没した魔物は大変珍しく、夜にしか出没しない魔物なんですっ!」


「ふむ、そうかのお、ではここに漂う死臭は何じゃ」


 シャリルの言葉に、直も疑問を抱き不信感を募らせるリュージン。



「それは前の戦闘でたくさんの負傷者を出しまして」


「では、何故そんな状態で狩りに出掛けたんじゃ、ははあ~~もしかして狩りに出掛けたのではなく、死出の旅に旅ったのではなかろうか? それにその珍しい魔物とはまさかお主ら四人の事ではなかろうな」


 シャリルの嘘を見破り核心を突き。

 更に隠れているジョージとアレリオ達にも、気づいていたリュージン。



「お主らからは邪悪な雰囲気や死臭と血の匂が漂ってきたからのお? それにここに来るまでに、何やら山猿に見つめられるような気配がしとったが、まさかアンデッドじゃったとはのぉ~~」


 そう言うと、リュージンは偃月刀を右手に構え、左手は魔法を放とうと前にかざす。



「師匠・・・こいつらはっ! アンデッド!?」


 キャロルも素早く杖を構え、臨戦態勢を整える。



「さあ~~てのぉ~~戦いを始めようかのお? 赤いお嬢ちゃんに、青いお嬢ちゃんや」


 リュージンは、目の前のアンデッドに偃月刀の切っ先を向け。

 魔法を放ちながら駆け出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ