魔法じじいと魔法少女
(・・・暗く冷えきった夜の空は今日も暗雲がどんよりと垂れ込めているな? いつもの事だが・・・)
空を眺めた、ジョージは考える。
あの後ジョージとアレリオ達は偵察に出掛けていた。
前に通った岩と小石だらけの狭く小さな山道を中腹まで歩く。
ジョージは軽く山道を歩き。
大山ネズミが居ない場合、ミリカ達の所へ戻ろうと考えていた。
「んん!? 誰か来るっ! アレリオ隠れろ」
「はいっ! リーダー何です? 敵は何ですか」
ジョージとアレリオ達はそそくさと岩影に隠れる。
「見てみろ、アレリオ二人組だ」
「あそこの爺さんと女の子ですね」
二人は山道の遥か下方を岩影から見下ろす。
そうしていると、暗闇の中を二人の人物が歩いてこちらへと登って来たのが見えた。
「アレリオ、後退してミリカとシャリルに報告だ」
「了解リーダー、一旦帰りましょうか」
二人は山道を登り、一旦ミリカ達の所へと引き返した。
「キャロル、早く歩きなさい」
「師匠っ待って下さいよーー」
緑静は歩くのが遅い少女キャロルを叱る。
彼らは、この先にあるキャンプ地を目指して歩いていた。
本来なら晩の暗闇を歩くのは危険ではあった。
しかし、天候の様子は朝も夜もここ最近は暗雲が垂れ込めていた。
その上、リュージン達は様々な魔物と戦いながらここまで歩いて来たのだ。
なので、晩になるまでキャンプ地にたどり着けなかったのだ。
「待てんわいっ! もうすぐらキャンプ地じゃから頑張って歩くんじゃっ!!」
「ええーー! でもっ師匠、荷物が~~~~?」
「はあ~」
リュージンは、キャロルのうるさい言い訳に溜め息を吐く。
少し休もうかと彼は考えたが、キャンプ地までは後少し、それに何かの気配を感じる。
まあどうせ、山岳狼か大イモムシだろうと彼は考える。
だが、万が一・・・。
麻痺毒を持つイビルスネーク。
姿が見えず幻覚作用のある毒を持ったステルスネーク。
これ等の魔物蛇や、より強力な魔物に出くわしたら大変だ。
麻痺毒や幻覚毒を持った魔物に噛まれた場合キャンプにつく前に動けなくなる。
その場合は、生きたまま餌になるかも知れない。
やはり、ここはキャンプ地まで向かうかとリュージンは思う。
「キャロル・・・やっぱり、このまま行くぞ」
「え~~~~テンションら駄々下がり何ですけどーーーー」
休憩する危険性を考慮した、リュージンは早く行くぞと、キャロルに告げる。
その言葉を聞いて、彼女はブーー垂れる。
「うるさいわっ! さっきも早くしなさいと言うたじゃろ、何度も同じ事を言わせないでおくれ」
「はい、お師匠様・・・」
キャロルは、リュージンに叱られてしゅんと落ち込む。
「そう落ち込むでない、キャンプ地は直ぐそこじゃ、着いたら直ぐに晩餐の時間じゃ」
リュージンは怒り過ぎたかとしゅんと落ち込むキャロルを元気付ける。
「本当ですかっ? わーいっ! やったぁ」
「全く子供じゃな・・・子供じゃったか」
はしゃぐキャロルを見て、リュージンはその後を追って歩いて行った。