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罠にかかったな・・・アホウサギ共めっ!


「かかったな」


 ジョージはニヤける。



「はぁ~~? 何言ってんのあんたはっ! かかったのはこっちよっ! アイツらに坂まで追い詰められたのよ?」


 ミリカは大声で怒鳴り、ジョージの胸ぐらをぐいっと掴み、彼を問い詰める。



「ぐぇぇっ! 苦しっ! 苦しぃィぃぃぃ~~!」


 ジョージは首を閉められて苦しむ。

 ゾンビは息をしないし、痛みを感じない。

 つまり、彼は出川哲郎の如く、オーバーリアクションをしているのだ。



「ミリカ様? どうか、ジョージ様を放して下さい・・・何か策が有る様ですし・・・」


 アレリオが、ミリカを止める為に二人の間に割って入る。



「はぁっ! そうね? で・・・今度こそ何か策は有るんでしょうねぇ? じゃなきゃあ~~周りを囲んでいるウサギ共に食われておしまいよ」


「グルルルッ」

  

「ガルルルルルッ」


「グウルルゥ」


 ミリカは周囲を見渡して、岩山鬼ウサギ達の獰猛な眼光を睨む。

 それから、ジョージの胸ぐらを掴んでいた手を放してそう言った。



「あるさっ! 取って置きの奴が・・・」


 ジョージがそう言うと、シャリルが。



「また逃げ出す・・・ではありませんよね?」


「逃げ出すんじゃあなくって・・・こいつを喰らわせるのさっ!」


 シャリルが不安そうに言うと、ジョージは暗黒魔法を放つ。



「ダークボール」


『ズサァッ』


 地面に暗黒球を撃ち込んだジョージ。 

 彼の攻撃で土煙が中を舞う。

 次いで、彼は立て続けに魔法を地面の彼方此方へと撃ち込み、土煙の撹乱幕を張った。



「ガアッホッ」


「ガフッフッ」


 咳き込み混乱する、岩山鬼ウサギ達。



「ジョージ、また逃げ出すの?」


 ミリカはそう言うが、ジョージは。



「今だっ! ミリカ、シャリル、魔法をあの岩に撃ち込めっ!!」


 ジョージはゴツゴツとした山肌にある大きな岩を指差し、二人に叫んで指示する。



「分かったわよっ! ジョージ、フレイムボール、フレイムボール」


「あの岩ですね? ジョージ様、サンダーショット」


 ミリカとシャリル達は、岩に向かって魔法を放つ。

 そして、ジョージはショートソードとラウンドシールドを構える。

 岩山鬼ウサギ達を、彼はアレリオと共に迎え撃つ準備を取ったのだ。



「アレリオ、二人が魔法を放っている間は俺たちが囮になって奴等の相手になるぞ」


「はいっ! ミリカ様とシャルは、俺がこの身に変えても守ります」


 そう言って立ち塞がるジョージとアレリオ達。

 彼等に岩山鬼ウサギ達は一斉に飛び掛かってきた。


 ジョージを襲う、一匹の岩山鬼ウサギ。



「ぐあっ! このおああっ!?」


 楯を構え、岩山鬼ウサギの強烈なパンチを受けて何とか防ぐジョージ。

 だが、衝撃は受け止めきれず、後方へと吹き飛ばされてしまった。



「つっててて」


 倒れた、ジョージは立ち上がろうとする。

 しかし、そこを狙い別の岩山鬼ウサギが追撃を掛ける。



「ガア~~~~」


 大きな口を開き、ジョージを呑み込まんと迫る岩山鬼ウサギの巨体。


 だが、横から。



「はああっ!?」


 アレリオが長剣を岩山鬼ウサギの鼻を切りつける。

 その鼻への一撃が効いたのか、岩山鬼ウサギは鼻を押さえて転げ回る。



「助かった・・・アレリオ済まない、後コイツらは鼻が弱点かっ」


「どうやら、そうみたいですね? もっと鼻を切ってやりましょうか」


 ジョージとアレリオ達。

 彼等は、後ろで魔法を放っているミリカとシャリル達の盾になる事を決意をする。

 二人を守り抜く為に、彼等は再び岩山鬼ウサギ達に対峙する。


 と、その時に。



「ジョージ、こっちは終わったわよ」


「ジョージ様、アレリオっ! 早く離れて」


 ミリカとシャリル達が言い終わり、走り出す。

 すると、大岩だけではなく、ゴツゴツとした山肌が滑り落ちてくる。



「ちょっとお、お前らやりすぎだああああぁぁぁぁぁーーーーーー」


「俺達も巻き込まれっ! うわあぁ~~~~~~~~~~~~~~」


 ミリカとシャリル達は、ヒョイッと土砂崩れから、軽くステップしながら逃れて行く。

 ジョージとアレリオ達は、土砂崩れを避けきれずに巻き込まれ。

 土砂の中に埋まってしまった。

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