植物モンスター達を撃退しろっ!
ジョージの指示により、ミリカは即座に、オレンジ色に光る火球を乱発する。
リュージンも、それに合わせて、大風魔法を使い、火の手を広げようとする。
「フレイムボール、フレイムボール、フレイムボールッ!!」
「エアーストームッ!」
「森林火災の方が起きたら、直ぐに消さないとなっ!」
『ガサガサ』
『カサカサカサ』
ミリカとリュージン達の魔法による合わせ技で、遠く離れた草むらに火が放たれる。
さらに、風の勢いを得て、炎は草原を焼き尽くさんと四方に広がっていく。
それに驚いたのか、絡み草やハサミ草などは、ジョージ達から慌てふためきながら離れていく。
雑草を掻き分け、連中は蜘蛛の子を散らすように、連中は逃げていった。
ジョージは、燃え上がり、やがては焦げながら萎んでいく、草の葉を見ながら呟いた。
「リーダー、火を消すからね? 師匠、魔法を合わせるよっ! アイスビーム」
「分かっておるわい、じゃあ行くぞい?」
「二人とも、頼んだぞっ!」
キャロルの放つ氷結魔法とともに、リュージンは大風魔法を放った。
それにより、あちこちに広がっていた火炎が、冷気を纏った風に包まれてゆく。
また、周囲の湿気が強いためか、そんなに遠くまでは、火が素早く拡散しなかったようだ。
こうして、一気に燃えていった草原は、急速に火災消化されていった。
ジョージは、二人に燃え上がる草の鎮火を任せ、後方で戦う仲間たちに救援に向かおうとする。
「ミリカ、監視を頼むぞっ! 俺は後方の連中を見に行くからなっ!」
「分かったわ、ここの指揮は任せて」
ジョージとミリカ達は話し合ったあと、それぞれの役割を全うしようとする。
「後方の連中は?」
ジョージは、カート馬車の隙間を通りながら後ろに向かっていく。
「音波攻撃だっ!」
『ドド♩ドド♪ドドドドーー♪♩』
「せいっ! この、このっ!」
『カサカサ』
『ガサガサガサ、ガササ』
その途上、キャリッジ馬車とワゴン馬車を通りすぎると、左側にビョルンとニウ達が見えた。
彼らは、音波魔法を連射しながら、絡み草を追い払い、ハサミ草に回し蹴りを入れている。
「弾丸を喰らえっ! この野郎っ!」
「火矢を放ちましょうか?」
『カサカサカサカサ』
『ガサガサ、ガササ、ガササ』
反対側に目を向けると、カブラルが散弾を放ち、シニッカが弓矢を飛ばす。
二人の攻撃を受けて、絡み草たちは後退していき、やがては森林に逃げ込んでしまった。
「どうやら、敵は逃げていくようだな?」
左右の安全を確認してから、ジョージは呟き、また車列後部を目刺しながら歩いていく。
太型ブレーク&縦型ブレークの合間を通り抜けて、ジョージは後方に着いた。
「このっ! マンイーターツリーかっ! 俺たちに近づくな…………」
「ぐっ! このまま、引っ張ればーー!」
『ガザザザザザザッ!!』
ハープーンを使い、マグヌスは太い樹木を、何度も突き刺すが、相手は幹を攻撃されても動じない。
腕を振るうように、太枝を揺らす、マンイーターツリーは、かなり体力があるようだ。
オラフィアは、そんな奴を引っ張りながら動きを止めようと、すごい力で踏ん張る。
奴は、木にできた虛のような人面は、怒りを浮かべながら前進する。
「ダークボール、ダークボール、ダークボール」
『ガザザッ!?』
顔面に、暗黒魔法を喰らってしまい、マンイーターツリーは動かなくなって、枝を力なく垂らした。
どうやら、今のが致命傷となったようで、奴は死んでしまったようだ。
「リーダー、助かった」
「有り難う、ございますっ! リーダー!」
「ああ、それより警戒してくれなっ! 俺は他の連中を見てくるからな」
マグヌスとオラフィア達は、礼を言うが、ジョージは二人と話す暇なく、さらに後ろに向かう。
「こっちも援護が必要かっ! ダークボール、ダークボール」
『ガサガサガサガサ』
『ガササササ』
「リーダー、助かりますっ! ダークボール」
「このっ! 切れろっ! 切れやがれってんだっ!」
「むぅ? この剣の錆となれ、雑草どもがっ!」
「吹き矢の毒が、除草剤なら効くかしら? ダメなら斬るしか?」
ジョージは、苦戦する仲間たちを見るや否や、すぐさま暗黒魔法を連発しまくった。
そのため、マンイーターツリー&絡み草たちは、慌てて、回避行動を取った。
しかし、それでも連中は渋く、アンデッド軍団に突撃を敢行してくる。
ヴィカは感謝しながら、杖先から三つの暗黒魔法を放ち、敵を迎撃しようとする。
ヴークも、足に絡みつこうとする敵を踏み潰したり、無理に引きちぎろうとして暴れまわる。
ファレドは、駱駝に載ったまま十字剣タコーバて、植物モンスター達に斬りかかっていく。
ヌルは、草むらを駆け抜けてくる切り込み部隊に、ブローパイプから針を連続発射する。
「苦戦しているようだな? おっ? 敵が引いていく? いや、これは戦列を立て直す気だなっ!」
「リーダー、まだまだ気は抜けませんなっ! 次来たら駱駝で、あの草どもを駱駝の脚で、踏み潰してやらんとっ!」
『パンッ!』
「今度、除草剤を買わないとねっ!」
ジョージは、潮が引いたように、急に引き返していく、植物モンスター達を怪しむ。
そんな彼の前で、ファレドは駝上からピストルを引き抜いて、敵に弾丸を発射する。
ヌルは、先ほどと同じく、何度もコラポットから針を連射しまくった。
こうして、敵の第一陣を、彼らは見事に撃退したが、次なる攻撃を警戒せねば成らなかった。




