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メルケネスに向かって


「しかし、野生動物が現れるが俺達を襲うのは偶然なのか?」


「どうなのかしらね……私達は何か野生の魔物を惹き付ける匂いが出ているのかしら?」


 人間のように、魔物を呼び寄せてしまうような匂いが自分たちからする。

 その可能性を考慮する、ジョージとミリカ達は対応策を練ろうかと思案した。


 他にも、大人数での移動が目立つから魔物が来るとか。

 馬が走る足音や、馬車の回転する車輪による騒音とか。


 こう言った物音が、静かな夜間だとよく響いてしまうのでは……と、二人は考えた。



「しかし、川が続いているな」


「どこまで続いているのかしら」


 緩やかなカーブと成っている道には、まだ右側に川がある。

 ジョージとミリカ達は、暇そうに道を眺めながら進んだ。



「なんか、ここは広いな」


「馬車が停められるように成っているわね?」


 ここは谷間の中でも、かなり広くて左右両側には地面に露出した土が見える。

 ーーと言う事で、馬車を停める駐車場もある事から、ジョージとミリカ達は人里が近いと思う。


 そうしていると、左右にある駐車場とは別の駐車場らしき場所が前方右側に見えた。

 そこには、何台かの馬車と馬が停められており、何人か人影もあった。



「また、駐車場かしら? さっきの場所と違って整えられているわね?」


「だな~~農家か、それとも飯屋&宿屋を兼ねた建物か?」


 広々とした、駐車場らしき場所には曲がった横道が伸びており、幾つかの建物がある。


 森の木々に囲まれた駐車場だが、手前右側には大きな家と小さな家がある。

 また、一番奥の森にも、一件だけ大きな家があり、どれも屋根が青緑色だ。



「馬車も、それなりに有りますね?」


「あそこは、冒険者のキャンプ地ですかね」


「ま……何かの施設なのは確かだが余り近づけないな」


「でしょうね~~? とにかく、私達は寄らないわよ」


 シャリルとアレリオ達も、向こうに見える建物等を見て呟く。

 ジョージとミリカ達は、二人に対して接近するのは得策でないと話す。


 キャンプ地か、宿屋か、農家なのか。


 それは分からないが、今の一団に取っては近づく理由も、また得する事も無い。


 しかも、かえって不要な戦闘になる危険性もあり得た。


 なので、通り過ぎる事にした。



「今度は、左手の丘上に小さな川か」


「右側には、森に囲まれた屋敷……があるわね?」


 ジョージの言う通り、左手には山へと続くらなだらかな丘がある。

 そこは、草原と成っており、池や川が流れている様子が見えた。


 ミリカも、木々に囲まれた細長い建物を見つけて、アレは何だろうかと思う。


 牛舎か、豚舎か、はたまた自らが口にした通り、屋敷なのか。


 それはともかく、どちらも注意深く観察しながら、アンデッドの一団は通過した。



「さて、次は曲がり道か? テーマパークのアトラクション見たいに、お化けとかは出るなよっ?」


「いや、アンタ……アタシ等が、そのオバケだっての…………」


「アトラクション?」


「テーマパーク?」


 暫く進んだ、アンデッドの一団は左側に続く曲がり角を発見する。


 ジョージのボケを聞いて、ミリカは素早く鋭いツッコミを入れた。

 そして、アレリオとシャリル達は、二人の話を聞いて何だろうと思う。


 この世界に遊園地は、まだ存在しないからだ。



「あ……言われて見れば、確かにっ!」


「アホか……」


「あの? アトラクションやテーマパークとは?」


「私達は分からないのですが?」


 ツッコまれた、ジョージはアホ面を晒す。

 それに、ミリカは呆れて下を向く。


 アレリオとシャリル達は、テーマパークに関して何も知らないので、質問した。



「あ~~! 一般人向けに作られた遊び用のダンジョンって感じかな? お化け屋敷とか、観覧車とか水族館とか色んなのが併設された複合施設かな?」


「もっと、簡単に言うと……こっちの世界にも、都会に有るような、そう言った遊び場を、一つに纏めた物かしら?」


 ジョージとミリカ達は、いったい、テーマパークとは何なのか。

 それが、分からなくて困っている、アレリオとシャリル達に説明しようとする。


 

「つまり~~貴族向けの保養所ですかね?」


「そうでなければ、そんな豪勢な場所には我々庶民は行けませんし」


 アレリオとシャリル達は、二人から話を聞くと、テーマパークが貴族の物だと勘違いした。



「いや、幾つかの施設があるだけで、一般人も入れるぜ? 東京の奴とか、ニューヨークのとかは別だが?」


「まあ、金持ち向けや有名な場所は、二人の言う通り、一般人は入りづらいけど、普通は一般人も遊びに行くわ」


 ジョージとミリカ達が言うように、田舎町に有るような施設は、そこまで入場料は高くない。

 だが、中にはアレリオとシャリル達が心配するように高級な場所もある。


 大都会やリゾート地に併設された施設は入場料が、かなり高い。



「はぁ~~! お二人は向こうでも、そんな場所に行ったと言う事は……」

 

「やはり、向こうでは貴族階級」


「アレ、前にも言わんかったか? こっちはそうだが、俺は庶民よ、庶民っ!」


「そーーそ~~! 私は世界中のアトラクションに行ったわ」


 アレリオとシャリル達は、主人二人に羨望の眼差しを向ける。

 しかし、当のジョージは本人が話す通り、そこら辺を歩く一般庶民に過ぎない。

 一方、ミリカの方は大富豪一族に生まれた上流階級と言う、まさに由緒正しい家柄だ。



「おう? まあ、そう言うワケだからなっ! お前ら、貴族であるミリカ様に逆らうなよっ!」


「いえっ! 我々の主人たる、リーダーとミリカ様に逆らうなどっ!!」


「そんな、みっともない真似は私達には出来ないですっ!!」


「いや、もう、そう言うのは良いから……皆、仲間なんだし?」


 ジョージが冗談を言うと、アレリオとシャリル達は真面目に答えた。


 それに、ミリカは呆れつつも仲間達を思って、そこまでの忠誠心は必要ないと言った。

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