出発開始、スウェーディンに向かって
「はぁ~~? よく寝たぜ?」
眠りから覚めた、ジョージは馬車が並ぶ洞窟内を歩いていく。
ワゴン馬車の左横を通り抜けた、彼は食堂と成っている洞窟最奥を目指す。
「ああ、皆はまだ来て……るか?」
ジョージは、カート馬車と自らが騎乗しているゾンビ・ホースを横切った。
「ジョージ、遅いわよっ!」
「おう、悪かったな」
食堂では、ミリカが待っており、ジョージを出迎えた。
食堂のテーブルには、様々な料理が並ぶ。
クネッケブロー。
フラットブロー
ファステラーヴンスボッレ。
ガンメルオスト
ーー等だ。
もちろん、飲み物も並ぶ。
リンゴジュース。
オレンジジュース。
グレープジュース。
アクアヴィット。
~~等が置かれている。
「まっ! 飯にしましょうやっ!」
「んだな、飯にすんべよ」
ジョージとミリカ達は、田舎住まいの老夫婦みたいに言った。
こうして、アンデッド達は全員朝食を食べる時間と成った。
「っで、これから、向かうのは?」
「ノルウィンから、スウェーディン地方に成ります」
「もう少し先に進めば、検問所があるはずですね」
ジョージは、取り敢えず今日の向かう場所を聞いてみた。
すると、行き先に関して、マグヌスとオラフィア達が答えた。
「その先には、幾つか村やキャンプ地が存在します」
「また、湖や川なども多数存在しますね」
「つまり、今までと同じ景色が続くのか?」
「なんか、見飽きちゃうわね?」
マグヌスとオラフィア達は、これから向かう先にある街道の景色を説明する。
それを聞いた、ジョージとミリカ達は同じ景観ばかり見るのだと、ゲンナリする。
「いや、この先は確か開けているはず?」
「湖も、かなり大きかったように思います」
「ふん? 広々としているワケか」
マグヌスとオラフィア達の話しを聞いた、ジョージは呟く。
「ならば、行って確かめましょーー!!」
「そうすんべ」
ーーと、ミリカは言いながら、オレンジジュースを飲む。
一方、ジョージはガンメルオストを食べつつ、答えた。
その後…………少し時間が過ぎた。
「んじゃ、出発だっ! 今夜は月明かりが街道を照らしてくれているな?」
「おかげで、若干だけど明るいわねっ!」
ジョージとミリカ達は、アンデッドの一団を率いて出発する。
馬と馬車を走らせる、彼等は相変わらず続く谷間と森林の景観を見る。
そこには、路肩に馬車を停めるために作られた場所が時たま見えた。
「静かだな? ん、アレは何だ?」
「また、看板があるはね?」
ジョージとミリカ達の前方右側には、白い看板が現れた。
この先、右に行けば、ナイ・ジャンケルダル・トリステントラー・アクイェルスキャップ。
さらに、真っ直ぐ行った先には、検問所が有り。
赤文字で、そう書かれた看板を二人は見た。
「何だ? また、キャンプ場か?」
「そう見たいね? 彼方此方に民家もあるし?」
ジョージとミリカ達は、キャンプ場らしき場所が存在する、右側の山肌に目を向ける。
そこには、高い山の中腹から山頂にかけて、草原があり、小さな民家が多数点在していた。
「じゃあ、この先が検問所か?」
「そう見たいね?」
ジョージとミリカ達は呟きながら先を目指して、ゆっくりと馬を走らせる。
二人の先には、左側に山へと続く道が存在しており、そこから何かが現れた。
「ん、何かくるぞっ! 全員警戒しろっ!」
「前方に注意を向けて、敵が来るわよっ!」
ジョージとミリカ達は、前方から現れた大きな何かを見ると、直ぐに警戒体制を取る。
二人とも、右手を前に出して遠くに存在する的にらしき影を注視する。
「リーダー、ミリカ様、アレは何でしょうかっ?」
「新手の魔物ですかね?」
「分からん、ここからでは良く見えない……」
「とにかく、警戒心を解かないでっ!」
『パカッ! パカッ! パカッ!』
アレリオとシャリル達は、カート馬車の上から敵を警戒する。
ジョージとミリカ達も、先ほどから敵を見続けており、視線を剃らさない。
それは、像ほどの大きさを誇る何かであり、馬みたいな足音を立てている。
「ん……? リーダー、お姉さま、アレは馬車だよっ! 馬車?」
「あ?」
「本当だわ……」
スナップハンスロック式銃を構えていた、ファビアンは、敵の姿をよく見て確かめた。
すると、その正体は何と白い幌を張った、キャラバン馬車だった。
ジョージとミリカ達も、それを確認すると、魔物ではなかったのかと安堵する。
しかし、気は抜かず腕だけを下ろして前方から来るキャラバン馬車を警戒する。
『パカッ! パカッ! パカッ! パカッ! パカッ! パカッ!』
向こうから来る馬車の御者は、カウボーイハットを被り、青服に白いズボンだ。
おそらく、彼は近隣に住む、農家・商人のどちらかだろうと、アンデッド達は思った。
「どうも、今晩は?」
「今晩は……」
御者の男は、こちらに軽く頭を下げて挨拶したので、ジョージも同じく返事を返した。
アンデッド達は、変装しているために、不審がられはしたが正体はバレなかった。
「なんだ、ただの道行く人だったんかよ?」
「魔物や盗賊じゃなくて、良かったわね?」
ジョージとミリカ達は、ホッと胸を撫で下ろして、移動を再開した。




