真っ正面から突撃だっ!!
三方向に、ミリカは部隊を分けた。
ファレドが乗った駱駝ゾンビは、右側へ。
自分たちは、真ん中。
ヴー率いる、幻影狼たちは左側へ。
「来いっ! 私が相手をしてやろう・・・」
『パン』
「グルルォォーー」
「グルルッ!」
駱駝ゾンビを走らせる、ファレドは素早く、フリントロック式拳銃を撃つ。
その攻撃は、外れてしまうが群れから注意を惹くことには成功する。
何匹かが、彼の方へと向かって行ったからだ。
「ガウッ!!」
「ガウッ! ガウッ!」
「ガウ、ガウッ!」
一方、ヴー率いる二匹の幻影狼たちは左手へと真っ直ぐ向かっていく。
吠えながら走る彼等の後を、スノーブッシュ・キャットは追ってゆく。
そうして、こちらも何匹かが本隊から離れてゆく。
「まだ、私達に向かって来るわね?」
「来るなら来いっ!」
「数の差は・・・私がっ!!」
「ギャウッ! ガルルゥッ!」
「グルルルルッ!!」
「ギャギャッ!! グルル~~!!」
ミリカ達は、真っ正面から襲い来る敵の群れに相対する。
馬車の隊列から動かない、彼女達は武器を手に待ち構える。
ミリカは火炎魔法を射とうと狙いを定め、ビョルンも音波魔法を放つべく敵を見据える。
だが、ヴィカは魔法による射撃ではなく呪文を詠唱しようとする。
「悪霊たちよ、奴らを地獄にっ!」
ヴィカが大きな声を発すると、地面から紫色の障気が吹き出てくる。
その直後、紫色をした女幽霊や骸骨が土中からスゥ~~と浮かび上がってくる。
「グガッ!?」
「ギャア~~~~❗️」
「グギギギギッ!!」
地獄の底から現れた幽霊たちは、スノーブッシュ・キャットを次々と捕まえる。
もちろん、捕らえられた連中は力無く地面に倒れてしまう。
心臓を捕まれたり、霊魂を体から離されてしまったからだ。
他にも、猫達は、ブラックホールと化した悪霊に吸い込まれて消し飛ぶ。
「これで、だいぶ数は減らせたわっ!」
「ヴィカ、まだ気は抜けいわよっ! 奴らは諦めてない見たいっ!」
「幽霊たちの間を抜けて来るわっ!」
真っ正面から突撃してきた、スノーブッシュ・キャットの群れ。
奴らは、ヴィカが召喚した幽霊たちの餌食となり、半分が御陀仏とした。
しかし、残る半分が幽霊たちの間を器用に走り抜け、ミリカ達へと向かってくる。
こうして、未だに突撃を敢行する連中に、シャリルを含む仲間達は武器を構え直す。
「今だわ、一斉攻撃よっ!」
ようやく、武器の射程距離にまで敵を惹き付けることに成功した、アンデッド達。
ミリカは、真っ正面から迫る敵を迎え射たんと射撃命令を下した。
「うっしゃ、やってやるぜ」
「こっちに来るな・・・」
「来たら私たちも戦うだけよ・・・」
ヴークは、スリングショットを構えて狙いを定める。
マグヌスはハープーンを構え、オラフィアは釣竿を構える。
「ギャギャギャッ!!」
「ガルルルルッ!!」
『ボッ! ボッ! ボッ!』
『ビュッ! ビュッ!』
こうして、アンデッド達は射程圏内に入った雪林猫たちを火炎魔法や氷結魔法で攻撃した。




