ストールヨールを横切れば・・・?
ストールヨール、キャンプ地を離れた一団。
彼等は、そのまま左右を森に囲まれた道を進む。
すると、木々の中に一軒だけ小さな家が見えた。
そこから更に馬車を走らせた、一団の前に大きな川が現れた。
当然だが、橋も架かっていたので彼等はそこを通りつつ川を眺めた。
何て事はない、ロッキランドと同じく大きな普通の川が流れているだけだ。
「向こう側は? あの建物は何だろうか?」
「きっと、何かの工場か作業場なのよ」
橋を通過した後、また彼等の左右には森が広がっていた。
しかし、ジョージは左手に奇妙な長い建物があるのを見つけた。
まるで、長いバームクーヘンのような建物は茶色だが近づく度に目立つ。
ミリカは、逆に右手の方に丸太が積まれていることを発見した。
山積みにされた、それ等から彼女は建物が営林署や森林組合の所有物だと考えた。
「なるほどな・・・」
「ここも大勢の木こりが寝泊まりしてそうね? 危ないから直ぐに行きましょう」
「見張りは居ないが、それでも警備は厳重だろうし」
「そうだわ、別に珍しい物も無さそうだし」
ジョージは山森関係の建物であると言う、ミリカが出した答えに納得する。
灯りが一つもなく、暗い敷地内を観察した、ミリカはそれでも気を抜かない。
自宅に帰ったか、キャンプ地に遊びに行ったか。
それとも、敷地内にある建物で寝泊まりしているのか。
ここで、働いている人間が居ることを考慮した彼女は険しい顔をバームクーヘンに向ける。
アレリオとシャリル達も同じく、バームクーヘン型の建物に目を向ける。
「まあ、何もねえだろ? あんのは事務所や倉庫ばかりさ」
そう言って、ジョージだけは呑気に前を向いて馬を走らせた。
やがて、彼等がバームクーヘンを通りすぎると広すぎる駐車場と幾つかの建物が見えた。
敷地内に立つ、平屋の建物は事務所や休憩所らしい。
さらに、他にも何台かのキャラバン馬車やワゴン馬車が停車されている。
「あっちは家か?」
また、左手にはT字路となっており、向かい側にも多数の家屋と馬車が数多く並ぶ。
こちらは事務所側と違って、小さな家から二階建ての長四角いアパートまで種類も多様だ。
さらに、建物は多くて数えきれないほど並んでいるのが、ここからでも見えた。
また、止められている馬車もワゴン系だけでなく、ランドーやドクターなど様々だ。
ジョージは家々の様子を伺いながら、ここを離れて行った。
「あの建物が最後か?」
「そうだと良いわね?」
営林署か森林組合か分からない建物を通りすぎた、ジョージとミリカ達。
二人は、再び森に挟まれた道路を進んでいると、森を網で囲った場所を見つける。
それは、南下する彼等の右手にあった。
「何かの組合や土木業者が管理所有する敷地ですね」
「ここも関係がないので、先を急ぎましょう」
「なら、さっさと先へとね~~」
シャリル、アレリオ、ミリカ達は網に囲まれた森を見ながら話す。
その敷地には、木々に遮られてよく見えないが、事務所や細長い倉庫みたいな建物があった。
「やっぱ、土木関係みたいだな」
そこを通りすぎると、少しだけ広い場所に盛り上げられた土の小山があった。
ジョージは、それを見ながら呟き、直ぐに前を向いて馬を走らせ続けた。
こうして、彼等はストールヨールを通りすぎて行った。
「次は?」
ーーと、考えながら、ジョージは街道を行き、まだ見ぬ町を目指すのであった。




