ログナンへと
「長い道のりだな? 何処までも谷間と草原が続く」
「それに、海岸線と絶壁、切り立った山もね」
ジョージとミリカ達は呟く。
ログナンまで遠く続く道。
夜闇を進む、彼等は海岸線の遥か先に広がる海を眺める。
海面が月明かりで、キラキラと輝く様がそこにはあった。
銀色に輝く海の光。
磯の香り漂う潮風。
潮風と波しぶきの音が反響して木霊する山。
それ等が、アンデッド達を歓迎していた。
長い長い、かなり長い時間。
アンデッド達は敵に出くわす事なく進む事が出来た。
「はぁ~~? ログナンが見えて来ました」
「橋越え、谷越え、やっと来たな?」
街道を進んでいた一行は、対岸に町を見た。
それが目的地のログナンだと、オラフィアが告げる。
マグヌスも、目的地を見て安心した。
「よし、橋を渡り、町の南側に行ったら穴に隠れて寝るぞ、明日に備えるんだ」
「明日に・・・明日にね、明日こそは買い物をね?」
ジョージが叫んで指示を出す。
ミリカは疲れた様子だ。
彼等は、アンデッドなので夜は夜目が効く。
よって、夜間の視界が遮られる事はない。
現代なら、ファウスケからログナンまで車で直ぐに来れただろう。
しかし、彼等の乗るのは馬車。
進む道も、コンクリート道路ではない。
故に、ログナンまでは時間が掛かったのだ。
「買い物か・・・夕方から行けば服とかパンとか酒とか買えるだろう」
「そうしましょう、それで良いわ」
ジョージとミリカ達は、明日の予定について話し合う。
その後、アンデッド達は橋を越える。
それから、右手に見える丘と左側に見える山の間を進む。
ログナンは丘の向こう側だ。
丘を通りすぎた後、道に添って川が見えた。
ログナンへ行くには、彼等はまた川を越えねば成らない。
なので南に見える橋を目指して、アンデッド達は南下した。
「長かったな・・・しかし、橋の向こう側にも家屋が点在するな・・・」
「もう、この辺の森に隠れましょう? 出来れば近くに潜みたいけど、これ以上は無理よ?」
「お姉さまの言う通りです、あそこの森に身を隠しましょう」
橋の向こう側には、家屋や建物が点在していた。
町外れだが、小さな村のような感じで建物が見える。
これは流石に近づいたら不味いと、ジョージは考えた。
西側に広がる森を見ながら、ミリカは呟く。
シャリルも、一番近くの白樺が沢山生えた森を指差した。
「あの森にか? よし、行くぞっ! 吉幾三じゃないからなっ?」
「それっ! オラこんな村嫌だの人・・・」
等とバカを言って、ジョージは森に向かうように指示を出した。
ミリカは、呆れ顔で鉢巻きを巻いた、おっさんの顔を思い出しながらツッコんだ。
一行は整備された街道を離れ、土の上から草原へと進む。
沢山の白樺が生えた森だが、その中心に来ると、アンデッド達は停止する。
「よし、ヴィカ、手伝ってくれ?」
「はい、リーダー」
ジョージとヴィカ達は、馬車隊の前に出て来る。
そこで、二人は斜め下に向けて暗黒魔法を放った。
斜め下にトンネルを掘り、地中に身を隠す為だ。
この後、彼等は蟻みたいに地中に隠れ、翌日夕方まで身を潜めて眠った。




