表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
629/683

酔っ払いを連れて行こう


「リーダー、お姉さま・・・これで、奴も暴れる事はないでしょう」


「酒を飲ませながら、百合ユリしようかと思ってましたが・・・まあ良いでしょう」


「その前に、百合ユリは無理だよ? この人、凄く酒臭いんだもの・・・」


「そうね、この臭い・・・酒癖が明らかに悪いって分かりますものね・・・」


 コラポットを下げた、ヌル。

 グッタリとエルクの背上で寝てしまった、トリーネを、シャリルは眺めて呟く。


 キャロルは、酒の臭いを嗅いでしかめっ面になる。

 ヴィカも、漂う酒と鼻を突くゲロの刺激臭に顔をしかめっ面にさせる。



「まあ、良いじゃないっ! 新しい捕虜が向こうから来てくれたんだからっ♥」


「それより、女連中だけで話すなよ、このヘラジカを処分したら出発するぞ」


 ミリカは喜び、ジョージはエルクを見る。



「どうやって、処分するの?」


「それは・・・私がやります」


『パンッ!』


 キャロルが疑問に思った瞬間、ファレドはフリントロック式ピストルを撃った。

 エルクは、首を右側から撃たれてしまい、地面に前のめりに倒れてしまう。

 トリーネはその下敷きになるかと思われたが、運よく左側にずり落ちただけで済んだ。



「リーダー、後はアンデッド化を・・・」


「そうだな? スキル、死体変化」


 ファレドが頼むと、ジョージはエルクをアンデッド化するべくをスキルを行使した。


 緑色をした卵が、死んだばかりであるエルクの体を包み込む。

 それが消えると、中から現れた、ゾンビ・エルクが顔を上げた。



「コイツ、どうしようかな?」


「連れて行きましょう、船の上に座らせて載せて見れば・・・」


 エルクの扱いに困る、ジョージ。


 太型ブレーク馬車に牽引された荷台上の船。

 そこに、エルクを載せようと、ミリカは提案した。



「それしか無いか・・・じゃあ、そうしよう・・・みんな、コイツを載せたら出発だ、今夜はまだ先に進む」


 ジョージが指示を出すと、アンデッド達は直ぐに動いた。


 ヴィカとシャリル達は、ワゴン馬車の中に、トリーネを連れていく。

 リュージンとファレド達は、太型ブレーク馬車の後ろに、エルクを連れていく。



「終わったな? じゃっ! 行こう」


「出発よーーーー!!」


 こうして、新しい捕虜を手に入れて、アンデッド達は町を目指した。


 町中を進む、アンデッド達の馬車隊はメインストリートを通過した。


 その中には、先程の酒場も見えた。

 町には、三角屋根に色とりどりの建物が立ち並ぶ。


 オレンジ。

 赤。

 黄。

 茶。

 ベージュ。


 それ等は皆、隙間なく立ち、大体三回から四階くらいの高さだ。


 横に、三つか四つ。

 縦に、四つか五つ。

 三角屋根の下に、一つ。


 オラフィアとマグヌス達以外のアンデッド達は、建物を眺めながら馬車を走らせる。

 立ち並ぶ、三角屋根の建物が、家屋かアパートかは彼等には判別出来なかった。



「人目につかないようにしないとな」


「目立つと不味いからね・・・」


 二台あるブレーク馬車の後ろで、馬を走らせる、ジョージとミリカ達。

 二人は、夜闇に紛れて一気に町を走り抜けようとする。


 その後、幸いな事に、アンデッド達は町を無事に通過する事が出来た。


 今、彼等の眼前に広がるのは、閑散とした町郊外だ。

 長く続いた町の景色だが、そこを出たとて、まだ安心は出来ない。

 町外れにも、農家と猟師の家が点在しているからだ。



「うへぇ~~町を出ても、まだまだ家があるのかよ」


「仕方ないじゃない・・・あの橋を渡るまでの辛抱よ」


 ジョージとミリカ達は、町を出た後、辺りの景色に目を向ける


 左側には、なだらかな山と点在する家々。

 右側には、潮風が微かに吹く、海の波しぶきが見える海岸。


 右側の向こうには、長い橋が架かっている。



「あの橋を・・・」


「行くわよ」


 ジョージとミリカ達は呟きながら、先頭を行くブレーク馬車の後に続いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ