いきなり、潜入調査が終了
「・・・あっ? あんたは・・・おろロロロロオッ!? オラフィ? ヴォロロロロッ!!」
振り返った女傭兵は、オラフィアの顔を見るなり、またも盛大に吐き出した。
彼女の顔は、前髪は左側に向けてクール斜め分けにしてあり、瞳はネイビーブルー色だった。
素面なら、さぞ美人であろう彼女の顔はゾンビみたいに精気がない。
おまけに幽霊みたいに蒼白い肌と、目の下にある隈が目立って余計に不気味だ。
「トリーネ・・・貴女が何でここに・・・」
「コボッ! げぼぁ~~~~!? ・・・・・・はぁはぁ、はーー?」
何故居るのかと問う、オラフィア。
それに、トリーネと呼ばれた彼女は答えない。
再び口から大量のゲロを吐き出したからだ。
「・・・それはこっちの台詞よっ! うぷっ! もう無理、あっちに俺の馬がいるから連れてっ・・・」
『ガクッ!』
「トリーネ、トリーネッ!?」
急に倒れた、トリーネ。
彼女を受け止めて、名前を叫ぶ、オラフィア。
彼女を含む、仲間達は倒れた泥酔女を心配したが、どうやら寝ているだけの様だった。
「ぐぅ~~ぐぅ~~・・・もう飲めにゃい・・・ZZ」
「眠っちゃったわ・・・」
「この人、美人だけど私達よりアンデッド見たいな顔をしてるぅ~~? ・・・しかも・・・酒臭~~いっ!」
グッタリと眠る、トリーネを抱きつつ、どうしようかと悩む、オラフィア。
そこに、近寄って匂いを嗅いだ、キャロルは余りの酒臭さに顔を剃らした。
「まあまあ、彼女を取りあえずは馬に運びましょう?」
「クスクスッ・・・そうですねぇ~~その後は私達が介抱して上げないと♥」
「それは良い考えですっ! 彼女も私達の仲間になれば幸せに・・・フフッ♥」
ヴィカが、彼女を馬の所まで行こうと言い出す。
シャリルとオラフィア達は、その考えを聞いてクスリと邪悪な笑みを浮かべる。
「じゃあ・・・リュージンさん、ファレド・・・彼女を頼みますよ」
「分かっておりますじゃ」
「分かってますとも」
シャリルは泥酔したトリーネを運ぶように、リュージンとファレド達に頼んだ。
リュージンは右側から、ファレドは左側から、眠るトリーネの肩を担いだ。
「さて、馬ですが・・・」
「どれかしら?」
「珍しいのも居ますね?」
「馬、蟻、トカゲ・・・」
シャリル、ヴィカ、オラフィア、キャロル達は酒場の向かい側にある駐車場を見た。
そこには、左側には何台かの馬車がある。
右側には、馬を中心にした様々な騎獣がいた。
左側には、手前から馬の引いた黒いランドー馬車が一台。
赤色のオムニバス馬車が一台。
チャリオットが二台。
カート馬車が一台。
このように馬車が並ぶ。
右側には、馬が四頭。
その後からは背中に鞍を装備した珍しい動物が続く。
オレンジ・アントが一匹。
八本足のブルーリザードが一匹。
更に、一匹だけ奥に凄いのが居た。
「アレは・・・何でしょうか?」
「エルクですよ、この地域では有名な生き物です」
ファレドが問うと、オラフィアが答えた。
エルクとは、ヘラジカの事だ。
今、アンデッド達が見ている個体は、その中でもユーラシアンエルクと言われるものだ。
体長役、三、一メートル。
灰茶色の体毛に、薄茶色である体毛が混じり、四肢は白い。
クリーム色の立派な角。
まさに化け物並みの体をしていた。
「あう~~~~私のエリックゥゥ?」
「アレが貴女の馬、と言うか騎獣ですね」
眠たげで隈の付いた目でエルクを見た、トリーネは一言呟くと、また眠りに落ちた。
リュージンは、彼女が呟いたのを聞いて、エルクに向かう。
「しかし、こうして見ると見た者を圧巻させる迫力が有りますね・・・」
「私の駱駝よりも凄いとは・・・」
シャリルは、エルクを遠巻きに眺めて呟くと、ファレドもまた大きな体を間近で見上げて呟くのだった。
あと、10話くらい上げときます。




