アンデッドVSゴキブリ・・・激突
「サンダーショット、えいっ!」
「オラッ! くたばれっ!」
雷撃魔法を放って一匹仕留めた、シャリル。
走るバギー馬車から、彼女は斜め下にメイスを出して、もう一匹にぶつける。
彼女に続いて、アレリオも直ぐ様モンタンテの切っ先を地面に向ける。
その長い刃は、群れ中から一匹、頭から背中に掛けて斬り裂く。
「二人に続きますよっ!」
「私達だってっ!」
ファレドの跨がる、駱駝ゾンビは足に体重を掛けつつ蹄で走りながら群れを次々と踏み潰す。
彼自身もタコーバを振るい、飛び掛かってくる個体を切り捨てる。
ヌルも、ドクター馬車で押し寄せる群れを引き殺す。
「ミリカ、俺は右から行くっ! ダークボール」
「じゃ、私は左からっ! フレイムボール」
再び、ロブスターコックローチに駆け出した、ジョージとミリカ達。
二人は、魔法を放ちながら左右から挟撃を仕掛ける。
彼等の目には、群れ中心に向かった四人に群がるゴキブリ達が映る。
お陰で、背後がガラ空きだった奴等の無防備な背中に易々と魔法が当たった。
「簡単に倒せるぜ」
「背中に注意を向けて無いわねっ!」
四人に向かう群れを、左右の背後から襲う、ジョージとミリカ達。
二人は、至近距離から魔法を放ち、波の如く押し寄せる敵を倒す。
ジョージの暗黒魔法は貫通しながら、敵の手足や胴体を消し飛ばす。
ミリカの火炎魔法も、敵を燃やして彼方此方に炎を広げる。
更に、二人の跨がった、アンデッド・ホースは情け容赦なく群れを踏み潰す。
二人の攻撃と、群れを後ろへと突き出る四人による攻撃は、奴等の陣形をガタガタに崩す。
武器を勇猛果敢に振るう、六人の攻撃で群れは全て殲滅されてしまった。
「攻勢に出れば、一気に終わらせられたな?」
「そうね・・・はぁ~~終わった、終わった、終わっ・・・て無いわっ!? 敵が戻って来たわっ!!」
無惨に転がる死体を、馬上から見下ろす、ジョージとミリカ達。
二人はやっと一息着いたかと思いきや、再び遠方から現れた津波のような群れに驚く。
北西と北東から迫る、ロブスターコックローチの群れ。
『ガザガサガサガザガサガサ』
『ガザガサガサガザガサガサ』
「おいっ! マルセル、連中が戻って来たぞっ! どうなってるんだっ!?」
「幻覚魔法の効力が切れたんだろう・・・」
東西から鳴り響く、ガザガサ音。
ファビアンは、西と東から迫る群れを見て大声を出す。
マルセルは、彼女が思った疑問に答えながらワゴン馬車の速度を上げる。
「仕方ないね? じゃあさっきは使わなかったけど・・・」
ファビアンは、敵の群れを睨みつつ呟く。
彼女は、ワゴン馬車の屋根に設置された、二つある旋回式ファルコネット砲を動かす。
まずは、右側の砲から狙いを定めて砲撃を行った。
次いで、今度は次弾を込めず、左側の砲から砲撃を行う。
『ドーーーーンッ!』
『ドーーーーンッ!』
「やったぁーーーー!! 命中したぜっ!!」
二回行われた砲撃により、遥か遠方の東と西で爆炎と土煙が、派手に舞い上がる。
「へっへーー! やったぜぇっ!!」
「ファビアン、リーダーが来るぞっ!」
「お前ら、もうダメだっ! あの数はヤバいっ! このままでは押しきられてしまうって訳で・・・撤退だっ!」
敵のど真ん中に吹き上がった炎。
明るくオレンジ色に闇夜を照らした光を、ファビアンは見る。
オレンジ色の中に、吹き飛ぶゴキブリによる群れが見せる黒いシルエット。
それが彼女の目には映った。
彼女が砲撃を受けた敵の様子に見とれている間、チラリと右を見たマルセルは告げる。
ジョージが来ると、馬に跨がる彼は近づいて来るなり、撤退と指示を出す。
流石のアンデッド軍団も、敵が数多く迫る上に連中が持つ執拗さには敵わないからだ。
まだ、群れは遠方に居るから撤退するチャンスはある。
だから、彼は退くことにしたのだった。
明日からは暫くエタリます。
実は、カクヨムでの作品調整が有りまして。
まだ少しだけ、ストックはあるんですが。
向こうも色々とあるので。
(;゜∇゜)




