夜の散歩道
ジョージ達の後を着ける何者か達。
闇夜に溶け込んだ彼等は、アンデッドのパーティーの後ろをずっと追い掛ける。
『ガサガサガサガサガサガサ』
『ガサガサガササッ!』
「ヤバいっ! 虫の群れですっ!」
「いやぁ~~~~!?」
最後列を走る駱駝ゾンビに跨がる、ファレドは敵の襲撃を伝えるべく叫ぶ。
叫び声に反応して振り向いた、ヌルは虫の余りのおぞましさに絶叫する。
虫の姿は、大きなエビとゴキブリが合体したような姿をしていたからだ。
体長は、二メートル程で黒茶色だ。
「あれは・・・ロブスターコックローチだっ!」
「普通は、寒い地方に生息していないのに・・・」
「散開しろっ! 密集していると動けないぞっ!」
ワゴン馬車を操るマルセルが叫ぶと、屋根上でファビアンは呟く。
そして、素早くスナップハンスロック式銃を構えると、一発弾丸を放つ。
全員に向かって、ジョージは叫んで指示を出す。
「はい、リーダー、私達は左に行きますっ!」
「攻撃するぜっ!」
『ヒュッ』
『ドォンッ!』
「アタシ等は右に行くよっ!」
「そっちから攻撃だっ!」
『ド♫ドドド♪ドーー♬』
シニッカとカブラル達は、チャリオットを右側面に走らせつつ攻撃を行う。
二人は昆虫の群れに、矢と弾丸を放ったが、命中はしなかったようだ。
ニウは、チャリオットを左側面に走らせて、ビョルンはニッケルハルパを構える。
彼が放った音波魔法は、何発かは昆虫の群れに当たったようだ。
「お前ら、分かったっ! 俺達も攻撃するっ! ダークボール」
「後ろからの虫達・・・キモいわっ! 焼けろっ! フレイムボール、フレイムボール」
「後ろに行くわっ! サンダーショット」
「援護に下がらないとなっ!」
ジョージ、ミリカ、シャリル達は後方から迫る昆虫達の群れに魔法を放つ。
彼等に続いて、アレリオもバギー馬車の速度を落とす。
彼等は、左側から後方に下がり、キャリッジ馬車やワゴン馬車の援護に向かう。
「どうしよう、マグヌス・・・私達の武器では・・・」
「オラフィア、仕方がない、俺達は前に進むだけだ」
オラフィアは、細型ブレーク馬車の座席に座りながら腰のベルトに通した鉤を握る。
そして、彼女は馬車後部に積んだ釣竿と、後方から来る虫の姿を眺める。
その右隣では、太型ブレーク馬車に乗った、マグヌスが、ハープーンを右手に持ち始める。
彼等が前方で敵の襲撃を待ち構える中、キャリッジ馬車では。
「キャロル、三連魔導杖で敵を撃つんじゃっ!」
「分かったよ、師承っ!!」
リュージンとキャロル達の乗った、キャリッジ馬車。
その後ろに牽引された荷台には、三連魔導杖がある。
キャロルは、キャリッジ馬車の後部座席から、牽引された荷台に飛び乗る。
「よっ! 死ねっ! 虫ケラがっ!」
キャロルは、三連魔導杖に、二つあるコの字型グリップを握ると。
三つの氷結魔法を放ったが、右から赤青黄色をした砲口からは青いビームが飛び出す。
それを浴びた、何匹かのロブスターコックローチ達。
連中は、周囲の地面ごと凍結してしまった。
「やったよ、師承っ! 五、六匹は凍らせたっ!」
「じゃが、まだまだ居るわいっ!」
群れの一部を仕留めた事を喜ぶキャロルだが、リュージンは気を抜かなかった。




