旅してから一日目・・・穴の中で寝泊まりだっ!
「大体良いな? ヴィカ、じゃあ入るぞ」
「はい、リーダー、分かりましたっ!」
仲間達の馬車が通れそうなほど大きな穴を開けた、アンデッド二人組。
ジョージは魔法攻撃を止めた後、直ぐヴィカにも止めるように言った。
「おしっ! ヴィカも乗ったな? じゃあ行くぜ」
ジョージが指示を出すと、先頭のオラフィアとマグヌス達が穴に入って行く。
そうして、全員が乗っている馬車がトンネルに入ると、入り口には灰色の布が掛けられた。
「これをっ! こうしてと」
「こうして、ここを・・・」
最後列にした、ワゴン馬車の屋根上。
そこで、カブラルとビョルン達は、洞窟の天井に杭を打つ。
「おい、終わったか? あり・・・? そう言えば、カブラルの姿が何か違うような・・・」
ワゴン馬車の右側からジャンプして登ってきた、ジョージ。
彼は気づく、カブラルの姿が変わっている事に。
「今さらですか・・・と言うか、俺も忘れてましたが・・・」
「そうか、進化したのかっ! じゃあ早速ステータス」
『カブラル、死の部隊兵レベル1』
カブラルは、自分も進化した事を忘れていたのを思い出す。
そんな彼を前にして、ジョージは凝視しながらステータスと念じる。
「お、出たっ出~~たっ! 月が出た~~ってな? 死の部隊兵だってさ」
「進化して、格が上がったんですね、じゃあーーシニッカの奴も頼みますよ」
何故か炭鉱節を歌いながら、ステータス内容を教えるジョージ。
彼の歌を不思議がりつつ、カブラルは進化して強くなった事を理解した。
「まあ、そうだな? それより、昨日のロック・タートルで作った亀肉ベーコンを食おう」
昨日のロック・タートルは、一部を保存するため、ベーコンにした。
ジョージは、それを二人に伝えに来たのだ。
「カブラル、ビョルン、ついてこい」
「はいよ、リーダー」
「分かりました」
ジョージ、カブラル、ビョルン達。
三人は、仲間達の待つ奥に向かった。
仲間の所に戻ってきた、三人。
彼等が来たのは、馬車が並ぶ車列の真ん中である。
そこには、キャリッジ馬車と太型ブレーカーの間に、ミリカ達が居た。
彼女達は、先に全員が保存食を食べていた。
そこで、ミリカは周りを取り巻きに囲まれながら、キャリッジの御者席に座る。
「あっ! 遅いわ~~? 先に食べてたけど、文句を言わないでよ」
「それくらいでっ! 一々、いちいち、一々、いちいち、グダグダ、ぐだぐだ、言わねーーよっ!」
(・・・もう言ってるようなものじゃない・・・)
(・・・もう既に言ってるのと変わらない・・・)
言い争いを始めた、ジョージとミリカ達。
また始まったかと、争う二人の姿を見て呆れてしまう、シャリルとアレリオ達。
それは他の仲間達も、同じ思いであった。
「って、そんな下らない事より、ほらリザード肉のベーコンをっ!」
「おっ! 悪いな? って、俺もシニッカを・・・見ながら?」
『シニッカ、強吸血幽鬼レベル1』
ミリカから渡された、リザード肉のベーコンを受け取る、ジョージ。
彼はシャリルの隣で亀肉ベーコンを噛み千切る、シニッカのステータスを見た。
「リーダー、私の顔に何か?」
「いや、アレだ・・・進化して事をな? シニッカ、お前は強吸血幽鬼レベル1だってよ」
キャリッジ馬車の左隣で、シャリルと共に凭れるシニッカ。
彼女を眺めた、ジョージはステータスの内容を話した。
「ああっ! 忘れてたわ・・・」
「まあ、分かったから良いだろう? それと、みんな? 今日はもう遅いから食ったら寝るぞ・・・」
シニッカに対して、ステータスの事を伝えた、ジョージ。
彼は食べた直ぐ寝ると宣言したが、この後は本当に寝てしまった。




