表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
617/683

置き手紙を届けて・・・


「はぁ~~見つからなければ? あっ!?」


『ガチャ』


「オラフィア、オラフィアじゃないかっ!?」


 家の側にある、ポストに置き手紙を投函しようとした、オラフィア。

 だが、丁度その時、ガルボルグさんが玄関から現れた。



「今まで、どうしていたんだ、心配したんだぞっ!」


「心配を掛けて、ご免なさい・・・実は・・・海で遭難した所を、今まで旅の行商人に救われて・・・」


 髭を生やした老紳士である、ガルボルグさんは彼女の姿を見て驚く。


 オラフィアは、彼に対して申し訳ないと頭を下げる。



「そうか、無事だったんだな? ならいいが・・・それにしても、綺麗な格好だな? 前から可愛かったが、前より綺麗だ?」


「あはは・・・実は助けて頂いた方々と仲良くなって、衣服を貸して頂いたの? 後はマグヌスの腕を買ってくれて、彼を護衛に雇いたいって・・・」


 安心したのか下を向いてため息を吐く、ガルボルグ。


 そして、彼は気付く。

 正面に立つ、オラフィアが劇団女優の如く美しい姿と成っている事に。


 その事を、オラフィアは上手く誤魔化す。

 それから彼女は、恩人にマグヌスが護衛に雇われたと嘘を話した。



「あのヤクザもの・・・はぁ~~まあ、良い・・・それで君も彼と一緒に旅に出るのか? 何だか怪しいけど大丈夫なのか?」


「大丈夫よ、彼等は大きな一団で私の魚釣りの腕も買ってくれてるし」


 マグヌスが過去に傭兵として働いていた事を知っている、ガルボルグ。


 だが、彼は傭兵だったから悪いと言っているのではない。


 彼は、二人の父親や叔父みたいな存在である。

 故に、彼は二人の事を心配するのだ。


 そんな彼の心配そうな表情を見て、オラフィアは直ぐに笑顔で答える。



「なら良いんだが、普通は夜に来ないし、直ぐに旅に出るのも何だか変だ・・・」


「それは・・・」


 勘の鋭い、ガルボルグ。

 彼の前では思わず言葉に詰まってしまう、オラフィア。


 夜に現れて、いきなり旅に出ると言うのは彼でなくても変に思うだろう。


 なので、オラフィアは不味いと思い焦る。



「どうしたのですか? オラフィアさん」


「オラフィアさん、遅い~~?」


「お姉ちゃん、遅いよ」


「あっ! シャリルさん、キャロルちゃん、ヴーク君・・・」


 シスターの格好で現れた、シャリル。


 人間の少女に見えるように変身して、多少薄く透けた体をくっきりとさせた、キャロル。


 犬耳を髪の中に隠した、ヴーク。


 三人が現れた事で、オラフィアはビックリしてしまう。



「何だ? シスターに、子供・・・」


 急にやって来た、シスターと子供達を怪しむガルボルグ。



「はい、私は旅の行商人の一団に属する尼僧です、この子供達は行商人の子供達で・・・二人はオラフィアさんを心配して、どうしても着いていきたいと言うので連れて来ました」


「ううむ、どうやら人拐いでは無さそうだが・・・」


 シャリルは自分達の事を、ガルボルグに伝える。


 見た所、丁寧な言葉使いと物腰柔らかな振る舞い、それに幼い子供達を連れている。



「何故、貴方達は夜に行動するのですか?」


「急ぎのようが有るからです、何故ならば私達は薬屋ですから、病気の人がでたら急ぎ現場に向かわねば成りません・・・私も彼等と共に苦痛に悶える人々の元へと急ぐので、昼夜を問わず旅をするのですっ!」


 まだ少し、もしかしたら悪い人達ではと言う気持ちは、ガルボルグにあった。

 だが、彼を騙すべく、シャリルは真剣な表情で嘘を語る。


 確かに人間だった頃は、その言葉通り苦しむ人々を助けに、アレリオと共に旅をしていた。



「そうですか? まあ、彼女を宜しく頼みます・・・オラフィア、達者でな・・・」


「はい、勿論彼女は大切な仲間ですので大事にします」


「分かっているわ、ガルボルグさん」


 ガルボルグは、シャリルの真剣な表情と言葉にすっかり騙されていた。

 嘘を信じた彼は、オラフィアを頼みますと言って頭を下げる。


 彼を前にして、シャリルも頭を下げて答える。


 オラフィアは、彼と抱き合って別れを悲しんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ