狼をペットに?
「グルゥゥッ!? グルッ・・・」
「死んだか・・・」
吠えようとして唸っていた、キラーウルフ。
しかし、暫くすると、段々力なく体を震わせ始めて、その後直ぐに事切れた。
それを、頭を撫でて確認した、ジョージは右手を前に出して頭の中で念じる。
(・・・ゾンビ化しろ・・・死体変化・・・)
「あっ! 卵の殻にぃっ!? ああっペットになったんだねっ?」
念じられたスキルである、死体変化によって。
キラーウルフの体は、緑色に発光する卵型である殻に包まれる。
そして、中からゾンビと化して、三人の前に再び姿を現した。
それを見ていた、ヴークは驚いた顔をしながら変化の見ていたが。
中から出てきた、新しいペットの姿を見ると、とても喜んだ。
「キャウンッ! キャウンッ!」
「随分と、可愛らしく泣くようになりましたね?」
「やったっ! やったっ!! 早速離してやろうよっ!」
アンデッドのペットと化した、キラーウルフは可愛らしい鳴き声を吠え続ける。
その様子に、アレリオは何時見ても悪堕ちは不思議だなと思う。
一方、ヴークの方は嬉しそうに喜び、無邪気にはしゃぐ。
「わったってぇの・・・ほれ」
「キャン、キャン、キャンッ!!」
早く早くと、五月蝿く騒いで急かす、ヴーク。
その願いを聞いた、ジョージは彼よりも先に畷をほどいて、キラーウルフを解放した。
すると、キラーウルフは直ぐに走り回り、アンデッド達に近寄る。
それから直ぐ様、ヴーク、ジョージ、アレリオ達に体を擦り付け嬉しそうに鳴き声を上げた。
スリスリと頬や体を擦り付ける、キラーウルフ。
それを、ヴークは頭を撫でたり、背中を撫でたりして可愛がる。
「わぁーー新しいペットだっ!」
「まあ、世話役は任せたからな?」
「きちんと、狼の面倒は見ろよ」
嬉しがり続ける、ヴークだが、ジョージとアレリオ達は任せたと言って踵を返した。
「さて、他の連中の様子を探りに行きますかっ」
「そうしましょう」
ジョージとアレリオ達は未だ遊び続ける、ヴークとキラーウルフ達から離れる。
こうして、二人は仲間達の待つ食堂に行く事にした。
「そういや、歴史がどうとかスケルトン達が言っていたな? ありゃ、もう少し聞いておくべきだったな・・・」
「いきなり、歴史的な事を言われましたから頭が着いて行かなかったんでしょうね? また後で詳しい話を聞きますか」
歴史的に重要な事実であるはずのスケルトン達による言葉。
それも、アンデッドの発見を優先した彼等は深く考えてはいなかった。
だが、事の重要差に今更ながら気がついた、ジョージとアレリオ達。
二人は、本当に今更ながらスケルトン達の事を話し合った。
「そうだな・・・」
そう言いながら、ジョージはアレリオを引き連れ、仲間達が待つ食堂に向かったのだった。
「お前ら、マグヌスはまだか?」
「リーダー殿、彼はまだ立ったままです、迂闊に近付くのも何ですから我々は放ってましたが・・・」
「何れ、口と両足の氷も融けるでしょうから・・・」
ジョージは、食堂で待っていた、リュージンとカブラル達に質問する。
それで、タラップから動けないようにされてしまった、マグヌスの様子を聞いた。
「そうだな、その時は改めて歓迎しような?」
(・・・彼と彼女達にも酒と上手い料理を提供して歓迎しなければ・・・)
「それより、リーダー・・・ヴークとキラーウルフはどうなったのですか?」
マグヌスを正式に仲間として、歓迎したい、ジョージ。
彼は、料理や酒を二人に用意しなければと思案する。
そんな彼に、カブラルは狩りに出かけて捕らえた、キラーウルフの事が気になり、どうなったかと問う。
「キラーウルフなら、券族化したよ、まっ! 何かかんかには使えるだろうな」
カブラルの質問に、ジョージは無事キラーウルフは券族化したと答える。
そんな彼の背後から、音もなく誰かが近寄って来た。




