狩りに出掛けた連中は・・・
「それでは、私達も手術の用意に行きますよぉ」
「お姉さま達を手伝わなければ成りませぬから」
キャロルとヌル達は、そう言うと。
急がしそうな素振りを見せて、船の方へと行こうとする。
「そうか・・・頼んだぞ」
「オラフィアを頼むっ!」
二人の目的が何であるか、知っている、ジョージは半ば呆れつつ見送る。
マグヌスも、強く手術の成功を願いながら彼女事を頼んだ。
「言われなくても頑張るよ?」
「任せて下さいっ!」
こうして、キャロルとヌル達が、船に向かうと。
ジョージとマグヌス達を含む、男アンデッド連中は呑気に茶を飲んだ。
その頃、狩りに出掛けたヴークとヴィカ達。
二人は月明かりを浴びて、風に葉を揺らす草原を、チャリオットで駆けていた。
「ダークボールッ! ダークボールッ!」
『バシッ!』
ヴィカは、ロングスタッフから三連激の暗黒魔法を発射し、ヴークは小石をスリングショットから放つ。
「ギャイッ!!?」
二人が放った攻撃は、森や林を駆ける魔物キラーウルフを丘の麓に追い詰める。
体長1、5メートル程の黒い体毛のキラーウルフ。
奴は、ヴィカの暗黒魔法が背中を掠め、ヴークが放った小石が背中側から胴を貫く。
「ガルルゥ~~!」
「獲物にするより、猟犬にして見ましょうか?」
「うん、このまま殺さないで生きたまま連れ帰ろうね?」
キラーウルフには、まだ命はあったが。
ヴィカとヴーク達は、チャリオットを停めると。
殺さずに持ち帰り、ミリカとジョージ達のどちらかに、アンデッド化させる事にした。
そこから離れた場所では。
シニッカとカブラル達が、森林に生えた山菜と茸を取っ手いた。
「ワラビ、茸、私達の収穫はこれだけね?」
「仕方ないな? んっ! あっちに灯りが・・・」
チャリオットは森林の外れに停めて、森の中を探索していた二人だったが。
獲物の姿を発見する事が出来ず、茸や山菜と言った野草しか見つけられなかった。
そんな中、少量しか食料を得られなかった事を、シニッカは愚痴るが。
カブラルは、森の向こう側にボンヤリと灯る光源を見つけた。
「ありゃあ~~何だ?」
「もっと近くで観察しましょう」
怪訝な顔をした、カブラルとシニッカ達。
二人は、火の玉みたいに光る淡く黄色い光を目指して、森中を包み込むように繁る藪中を駆け出す。
「ん、あれは馬車ね?」
「ワゴン馬車の欄灯の明かりだったか・・・」
身を屈めて、素早い身のこなしで進んだ、シニッカとカブラル達。
二人は、森を抜け出ると。
林に身を潜めつつ、中から丘下に整備された、街道の曲がり道を通る馬車を一台みつける。
謎の灯りを目標にして、様子を探った、二人だが。
その正体が、緑色に塗装された四角いワゴン馬だった事。
その灯りが、御者席天井から垂らされた欄灯だった事に落胆する。
「しかし、街道を発見したのはリーダーとミリカ様に報告しないとな?」
「そうねぇ? 食料は確保したし、そろそろ帰りましょうか・・・」
カブラルとシニッカ達は少量だが、少量を確保した事と。
偵察して、街道を発見した事を報告しに拠点に帰ろうと踵を返した。
藪と雑木林を掻き分けて、二人は森林を抜け出ると、チャリオットに乗って馬を走らせた。




