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あれから二日目の夜に・・・


「オラフィア・・・」


 昨夜の事で落ち込んだ、マグヌスだったが、朝になると強烈な陽射しに晒される。



「ぐわっ!? 眩しいっ!」


 朝陽が昇ることを見た、マグヌスの瞳。

 その目は、まるで光に焼かれるような痛みを感じ、直ぐに彼は顔を背けた。


 それから彼は、オラフィアの遺体と共に、ひっくり返した小舟に身を潜める。

 こうして、暫くは大人しくしつつ夜になるのを待つ事にした。



「なんでこんなに日光が眩しいんだ? それに体もダルくて眠・・・」


 日陰に身を潜めたマグヌスは、そのまま疲れて眠ってしまった。



 夜になり、月明かりが海岸を照らす時間帯に小舟はガコガコと揺れた。

 その理由は、マグヌスが先端から甲羅から頭を出した亀みたいに出てきたからだ。


 辺りを見回した、マグヌス。

 彼の瞳には、月明かりによる輝きを反射して、青く光る穏やかな北海と。

 遠く、山の麓や森まで、覆い繁る草原が広がっていた。

 


「誰も居ないな・・・いや、誰かぁーーーー!! 誰か居ないかあーーーー!!!!」


 叫ぶ、マグヌスに答える者は誰もなく、空しく声が夜空に響くだけだった。

 しかし、落胆する彼だったが、遠くから三台の馬車が近づいて来る姿が見えた。



「誰かーーーー!! 助けてくれぇぇーーーー!?」


「どうしたんだっ?」


「貴方は何者かしら?」


 マグヌスは、遠くに居る旅人に聞こえるように叫びながら、救助を求めたのだが。

 それを怪しいと思い、彼は殺人鬼かアンデッドかと睨む、アレリオとシャリル達。



「頼む、彼女が息をしていないんだっ!」


 すがり付くような、マグヌスの声に四人は助けに行くかどうかを相談し始める。



「どうする・・・近づいて見るか?」


「私達の仲間か、それとも殺人鬼か山賊の一味かは分からないわ」


「海辺だし、海賊かもよ?」


「どちらにしろ、僕たちはアンデッドだから、そう簡単には殺られないよ」


 アレリオとシャリル達が顔を合わせて相談すると、後ろからニウとビョルン達も話し始めた。



「んん、仕方ないわね? 行くだけ行って見た方がよさそうだわ」


「そうだな? 行ったら何者かは分かるよな」


「じゃあ行きましょうっ!」


「おい、そこに行くから待っていろ!」


 アレリオ、シャリル、ニウ、ビョルン達。

 彼等は、オオヤマネコの男が居る所に向かう事に決定した。



「分かった・・・やった、これで助かるよ、オラフィア」


 それを聞いた、マグヌスは喜んで小舟を退かしあ。

 さらに、中で眠るように横たわる、オラフィアの遺体に声を掛けた。



「おい、来たぜ?」


「でっ! その人が助けて欲しい人なのね?」


「ああ、そうなんっ!?」


 近づいて来た馬車上から、アレリオとシャリル達が話しかけると、マグヌスは四人の姿を見て絶句する。



「あ、ああっ! アンデッドッ!!」


 直ぐに漁で使うハープーンを構え、網を投げる準備をする、マグヌス。


 彼は、四人の正体はアンデッドだったかと気づき、オラフィアは決して渡さないと身構えた。



「? お前、自分の姿が分からないのか・・・」


「お前等こそ、鏡で自分の姿を確認しろっ!」


 アレリオが困ったように喋ると、マグヌスは彼を強く睨み付けながら怒鳴る。



「何だと?」


「アレリオ、私に任せて」


 アレリオが呆れたように呟くと、シャリルがバギー馬車から降りる。



「シャル、分かったよ」


「ええ、私から説明するわ・・・今晩わ、ベルセルクさん、貴方の姿も中々よ?」


「!?」


 アレリオを説得した、シャリルは懐から手鏡を取り出して、マグヌスに見せた。



「これは・・・」


 そこに映る、変わり果てた自らの姿に、マグヌスは驚き、暫し手鏡を見つめ続けた。

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