洞窟の外に行くと
「長いな・・・この洞窟」
「仕方が無いわよ・・・」
ジョージとミリカ達は、集団先頭を馬の背に乗って走る。
その後ろには、アレリオとシャリル達が乗ったバギー馬車が続く。
その後ろにも、仲間達が乗る馬車が二列に並んで走り、洞窟から外を目指して疾駆する。
リュージンとキャロル達のカート馬車。
それと、ビョルンとニウ達のドクター馬車が並びながら走る。
その後ろを、カブラルとシニッカ達&ヴークとヴィカ達が乗った、チャリオットが並んで走る。
茶色い洞窟は、湿気が多くジメジメとしていて、天井からは植物の根がぶら下がる。
不気味な洞窟だが、暫く走っていたアンデッドの一団の前に石壁が見えてきた。
そこには、スケルトンが語った通り左側に四角い装置があった。
「あれか、止まれっ!!」
一団を止めた、ジョージは壁から突き出た四角い石を触ると、石は緑色に発光し始めた。
石が光ると壁が上昇していき、やがてはアンデッド達の体に月明かりが降り注ぐ。
雲は、まばらで月明かりを受けて灰色に光り、小さな星達もまた白く輝いている。
周囲は木々に囲まれ、夜の闇と月光を浴びた葉を紺色に染めていた。
「全員出たな?」
仲間達がゾロゾロと洞窟から出ると。
ジョージは、洞窟右側にある岩壁に、普通の岩に偽装された装置を見つけて触れる。
こちらは発光せず、洞窟の入り口を上から岩壁に偽装された、シャッターを下ろして閉めてしまった。
「さて、これで冒険の旅ならぬ偵察と狩りに出掛けるんだが?」
「私達とアレリオ、シャリル達は南西の海岸に・・・カブラル、シニッカ達は南下ね・・・ヴーク、ヴィカ達は東側に行ってね」
「リーダー、ミリカ様、分かりました、俺達は南に行って来ます」
「獲物は必ず仕留めて来ますので、お楽しみに」
「では、我々は東に行きます」
「僕も沢山、獲物を持って来るからねっ!」
ゾンビ・ホースの背中に、ジョージが飛び乗ると。
ミリカは、命令を出して手分けして偵察に向向かおうとする。
そこから別れて、カブラルとシニッカ達は南に向かう。
ヴィカとヴーク達は東に向けて、チャリオットを走らせた。
「おう、期待しているからな」
「狩りは任せたわ」
ジョージとミリカ達は、離れて行く四人に向かって叫ぶ。
やがて、四人が夜の森中に溶け込むと、彼等も動き出す。
「アレリオ、シャリル、ビョルン、ニウ・・・お前達とは海岸までは一緒に行くが、そこからは左右に別れて捜索するからな?」
「分かりましたよ」
「リーダー、了解ですっ!」
「リーダーの言う通りに」
「はいっ! リーダー」
ジョージが指示を出すと。
アレリオ、シャリル、ビョルン、ニウ達は素直に従う。
彼等もまた、新たな仲間に成るかも知れぬ、アンデッドの捜索に向かう。
そんな彼等だが、その姿を確認する事が楽しみだった。
「しかし、なんで海岸にアンデッドが居るんだ?」
「アレリオ・・・漂着した難破船や溺死体が有るのかも知れないわよ?」
「海で不慮の事故に逢い、遭難した者の魂が死んでも死にきれず、海岸に戻って来たのかしら?」
「だとしたら、ドラウグになっているかもな・・・」
アレリオは、頭に浮かんだ疑問を口に出すが。
シャリルは、その理由を考察する。
それを後ろで聞いていた、ニウは成る程そう言う理由かと思い、ビョルンは意味深な言葉を呟いた。
「ビョルン、ドラウグって何なのさ?」
「ああ、海の魔物で溺死体のアンデッドだったり、海の魔術師だったりする恐ろしい存在だよ」
「海の魔物・・・」
「出来れば、味方であって欲しいわね・・・」
ニウが興味ありげに聞いてきたので、ビョルンはドラウグを簡潔に説明する。
アレリオとニウ達は、二人の会話を聞いて思う。
月明かり注ぐ夜空を見ながら、ドラウグが味方であって欲しいと。




