巨大海月を倒すために早く兵器を持って行こうな
「よしっ! 持ってくぞ」
「三人共、行くわよっ!?」
ジョージと共に走り出した、カタパルトを担ぐ男アンデッド三人。
それと、弾薬箱を両脇に抱える、アンデッドの少年。
そして、魔法兵器を担いで廊下を走る、ミリカ率いる四人の女アンデッド達。
廊下を走るアンデッド達は、急いで階段を掛け上がると、甲板に上がって左右に別れ始めた。
「ちょっ!」
「リーダー、何故そちらに?」
「左右に別れた方が奴の攻撃も分散する、だから俺達は後部甲板から射撃するからなっ!」
突然、正面甲板を目指す、自分達とは反対方向に走り始めた、ジョージ達。
彼等を、ミリカとシャリル達は呼び止めたのだが、ジョージは理由を答えた。
「分かったわ、じゃあ後ろからの射撃は任せたわっ!」
こうして、ジョージ達の行動を理解した、ミリカ達も正面甲板に向かって走って行く。
それから、彼女達は適当な場所に、三連魔導杖を設置した。
三連装バズーカーと言った程度の太さである魔導杖を彼女達は動かす。
コレを、ミリカとシャリルは右側から。
もちろん、ヌルとヴィカ達は左側から。
その照準は、ミリカが合わせた。
「お姉さま、両手で魔導杖の後ろのグリップを握って下さい、そこから魔力を送り込めます」
「分かったわ、今射つからっ!」
シャリルによる指示に従い、二つあるコの字型である、グリップを握り締めると同時。
ミリカは、頭の中で念じて魔力を送り込み、三連魔導杖から攻撃を放つ。
彼女が込めた魔力は、三つのピンク色をした魔粒子と化して、杖先から一気に飛び出た。
それは、一直線に巨大海月の頭部にある白い半透明な色合いである傘に命中する。
『ビュン』
ガンダムやゾイドで、聞いた事のあるような音を発した、ビームが命中すると。
火傷による耐えがたい痛みと苦痛に、巨大海月は触腕を振り回す。
その攻撃を避けるために、ミリカ達は、素早く三連魔導杖から離れ、それぞれ散々に逃げ出す。
「皆っ!! 逃げてぇ~~~~!?」
ミリカは叫びながら、右舷甲板を目指すが。
直後、自分が走っていた場所に、触腕が槍を突き出すように真っ直ぐ伸びてきたのを目にする。
「あっ危なかったわ・・・」
間一髪逃げ延びた、ミリカは安堵の溜め息を吐き出して、両扉から車庫に入った。
そして、何時までも自分だけ隠れている訳にもいかないので、彼女は直ぐに両扉から出て行く。
「ジョージ達は?」
揺れる正面甲板から後部甲板に目を向けた、ミリカ。
その先には、バリスタ・クアドロティスを設置した、ジョージ達が巨大海月を狙う姿があった。
「リーダー、装填完了だよっ!」
「よし、行くぜ海月野郎っ! 昔見た黄金伝説の海月退治みたいに、ブッ殺してやるぜっ!」
右側から台座に昇った、ヴークがバリスタ・クアドロティスに槍のような矢を装填すると。
ジョージは、下部のピストルグリップを握り締めて、静かに引き金を引いた。
それは、巨大海月の傘左端に深々と突き刺さる。
再び強烈な痛みを喰らった、奴は海面に浮かせた頭を激しく揺さぶった。
「バチャバチャ揺れてるっ!」
「未だっ! 立て続けに攻撃するんだっ!」
「あいよっ!」
「そうだぜっ!」
ヴーク、ジョージ、アレリオ、カブラル達は素早く次矢の装填を済ませると。
直ぐに巨大海月の登頂部を狙って、一発矢を放った。




