巨大海月、その名はジャイアント・ゼリーフィッシュ
「これならっ!」
『ドォンッ!』
船橋右から丸石を発射した、カブラルだが。
彼の二回目の攻撃もまた巨大海月には効かず、無駄弾に終わる。
「ダメだ、効いてない」
「もっと大きな攻撃力を持った武器か魔法じゃあなきゃ・・・あっそうだ、アレを使えばっ!」
大したダメージを与えられなかった攻撃に落胆する、ジョージ。
彼の隣では思案していた、ミリカが何か良い案を思い付いたようだ。
「ミリカ様、何か浮かびましたか?」
「うわっ! 何で貴方が居るのよ、アレリオ」
突然、背後から現れた、アレリオにビックリした、ミリカは直ぐに後ろを向く。
「マストの上から見張りをしてましたら、奴が現れたんで下りて来たんですよ、それよりも何か良い案を・・・」
「分かったわ、良い案ってのは大砲をあの海月頭に撃ち込んでやるのよっ!」
「船の側面に備えた奴だなっ!」
アレリオの質問に対して、ミリカは大砲を使えと指示を出し、ジョージも早速やろうと走り出す。
「アレリオ、ついてこいっ!」
「了解、リーダー」
ジョージとアレリオ達は、正面甲板の右脇へと走る。
そこに備えられた、旋回式ファルコネット砲を使って、丸い砲弾を撃とうとする。
「おいっ! 大砲なら俺に任せろ」
現れた、カブラルは直ぐに砲弾を装填して、巨大海月の頭に一発黒玉をブチこむ。
『ドォーーンッ!』
真っ赤な炎と黒煙を吹き出した、旋回式ファルコネット砲。
そこ砲門から出た砲弾は、巨大海月の頭に当たるが、貫通はしなかった。
当たった瞬間、巨大海月の傘状である頭はグニャリと歪み、砲弾を跳ね返してしまう。
こうして、今放たれた砲弾を船の反対側に着水させてしまった。
『バチャーーーーンッ!』
着水音と共に水飛沫を上げた砲撃。
その光景を唖然と見ている、ジョージ、アレリオ、カブラル達。
彼等は、大砲から放たれた砲弾も効かないのかと焦るが。
直ぐに、そんな彼等は動いた、何故なら。
「うわっ!! 奴が攻撃してきたぞっ!」
「逃げろ、逃げろ、逃げろーーーー!」
「危ない、直ぐに離れなきゃ~~!」
ジョージ、アレリオ、カブラル達は尻尾を巻くように即座に逃げ出すが。
直後、彼等の居た場所に、太い触腕が振り下ろす。
『ドシッ!!』
「やっばぁーー?」
「やっばぁ~~じゃないわよ、次はどうするの?」
船縁に振り下ろされた触腕が、叩いた場所は壊れこそしなかったが、凄まじい衝撃音を鳴らした。
その音に振り向いて呟いた、ジョージだったが、次はーーとミリカは彼を怒鳴る。
「ちょっと待て、奴に弾は貫通しなかったが、打撃効果はあったかも知れないぞ?」
「じゃあ、また弾を撃とうと言うわけ、危ないじゃないの?」
ジョージの考えた打撃効果であるが。
本当に、ハンマー等で叩いたかのようなダメージを巨大海月に与えたのか。
それが分からないので、ミリカは怪しんだ。
そうこうしている間にも、巨大海月は暴れまわり、アンデッド達も応戦する。
「うわわっ!?」
「てやぁっ!!」
「皆、ヤバイな・・・ミリカ、砲弾がダメなら魔法で、それがダメなら魔法兵器やバリスタ・クアドロティスがある」
「バリスタ・クアドロティス、巨大なクロスボウね・・・」
真っ直ぐ伸びてきた触腕。
それを、ニッケルハルパを抱えた、ビョルンは慌てて避ける。
しかし、彼は後ろに倒れて尻餅をつく。
一方、ニウは薙ぎ払うかの如く、自らに向かって飛んできた触腕を回し蹴りで迎え打つ。
そんな二人の様子を見た、ジョージ。
彼は、急いで兵器の準備をしなければと、ミリカに伝えると、彼女もそれを了承した。




