仲間と交代しよう
「はぁ、まあ言い争いを続けても仕方無いな」
「アレリオ、シャリル達を呼びに行きましょう」
「リーダー、お姉さま・・・」
ジョージとミリカ達は、不毛な争いよりも。
腹を空かせた仲間達と早く仕事を交代すべく。
歩き出そうとした、その時。
「コレを届けてはくれませんか?」
何と後ろに居たのは、タラ料理と茶を載せたトレーを抱えた、ニウであった。
「カブラルだけは操舵輪から離れられないでしょうから」
「そうだな、アイツはなるべく離れない方がいいからな」
「ニウ・・・貴女、中々気が利くわね」
離れたくても、操舵輪から離れる事が出来ない、カブラルの事を考えた、ニウ。
彼女は、わざわざ料理をトレーに載せて運んで来たのだ。
彼女が取った、カブラルを思っての行動。
それを、仲間思いで優しいなと、ジョージとミリカ達は称賛する。
「えへへ♥ ・・・彼もお腹が空いてるかと、それと・・・仲良くしなくてはダメですよ? っではアタシは食堂で皿洗いがあるので・・・」
ニウは照れくさそうに言うと、直ぐに踵を、食堂の調理場へと去って行く。
(・・・余計な一言は言わなくて良いよ・・・)
(・・・変な事を言わないでよっ!! ・・・)
別な意味で、照れくさそうに心の中で、ジョージは呟く。
リンゴを包む皮のように顔を真っ赤にする、ミリカ。
そんな二人は、ニウが居なくなると。
外を目指して、近くまで扉から甲板に出る。
「冷えきっているわね・・・」
「しかも、夜だから暗いな」
外に出た二人は、夜の潮風を頬に受けて寒さを肌で感じる。
アンデッドなので、寒さ自体は大した気にはしないが。
それでも、ヒンヤリとした冷たさは肌に張り付く感じがするから何となく分かるのだ。
彼等は寒さを感じながらも船橋へと向かう。
それから船橋の前まで来ると、扉を開いて直ぐに、カブラルに声を掛けた。
「アレリオ、シャリル、飯の時間だぞ」
「カブラルは今は離れられないから、コレをね」
ジョージとミリカ達は、船橋に入るなり、三人に食事の時間だと告げながら仕事を交代しようとする。
「おっ! 有り難う御座いますっ!」
カブラルは料理を受け取ると。
礼を言って、直ぐに干タラとジャガイモ炒めを食べ始めた。
「じゃ、俺達は下の食堂に行きますから」
「リーダー、お姉さま・・・この場は宜しくお願いします」
アレリオとシャリル達もそう言うと、扉から出ていき食堂を目指して行った。
残された、三人だが、カブラルは料理が載せられたトレーを船橋の窓辺に置いて食べる。
ジョージとミリカ達は、壁に立て掛けられた木板に挟まれた海図を眺めたが。
素人である二人には、夢の島がある位置とユーラキア大陸が載っている位置しか分からなかった。




