いよいよ出航だ・・・ ここまで長かったわ
「さて、当面の食料も確保したし・・・出航だ、どうやって動かすか知らんが後はカブラルに聞けば分かるだろう」
「そうね・・・何か良く知らないけれど彼は専門家見たいだし?」
ジョージとミリカ達は、船の動かし方を知るはずもなく。
仕方ないので、船の運用をカブラルに丸投げした。
「はい、取り合えず御二人は俺と船橋に、誰か一人女アンデッドが網を登って見張り台に行け・・後の男連中は船倉でオールを漕げ」
指名されたカブラルは、船の事は任せろと言わんばかりに指示を出し始めた。
「後の女アンデッド達は、各々がやるべき事をやってくれ」
リーダーぽく、指示を出すカブラルに従い、仲間達は船を出航させるべく行動に出た。
「うーーん、私は風呂に入らせて貰うわ、さっきの戦いで砂まみれに成ったし」
「じゃあ、アタシは上に行くよ、寒いのは嫌だが、一番視力が有るのはアタシだからね」
「それじゃあ、私は食料や医薬品を見に行くわ」
シニッカは、風呂に入りたいと言い出し。
ファビアンはマストの見張り台に登り、ヴィカは物資の確認に行く。
「私は、お姉さまの供をします、海図やら何やら見なければ成らないので」
「アタシは料理を作るわ・・・どうせ男連中は腹を空かせて仕事から帰って来るだろうし」
「私は皆の為に、ニウお姉ちゃんと一緒に、暖かいハーブティーとスープを作るっ!」
シャリルは船橋に向かい、ニウは料理を担当すると言って、キャロルはその後を追う。
「くっ! 流石に思いな・・」
「そうですね?」
「ホラッ! 早くっ! 早くっ!」
ジョージとカブラル達は、海岸に沈んだ錨を海底から引き上げ。
それを、後ろからミリカが応援していた。
「よっ! 思ったより重かったな?」
「これで、錨を回収出来た・・・」
「じゃ、次は船橋に行きますよっ!」
錨を回収した、ジョージとカブラル達に休む間を与えず。
ミリカは、船長室に行けと無茶を言ってしまう。
「分かってるぜ・・・けれど少し待ってくれ・・・」
「後程行きますから、先に行って下さい」
元気よく無茶を言ってのけたミリカ。
彼女に、流石に無理だとジョージが言うと、カブラルも同様に無理だと呟いた。
「んもぉーーだらしないんだからぁ~~あんた達、それでも無限の体力を持ったアンデッドなの?」
「無茶を言うなよ、体力は無限でも人間だった頃の名残で、疲れる感じは無くならないんだからな」
だらしないわよと冗談を言い続けるミリカに、冷静に体力的に無理だと語るジョージ。
「それもそうだわね・・・」
「ふざけてないで、行こうか」
一瞬、無茶を言った事を反省したのか下を向いたミリカ。
彼女に対して、一言行こうかとジョージは言った。
「さっきはゴメンね?」
「俺もカブラルも気にして無いぜ」
「はい、ミリカ様の命令ですから」
船橋にて謝るミリカだが。
そんな事など全く気にしてないと、ジョージは言って、カブラルも同感だと言う。
「そうだけど・・・」
「何時も飯を作って貰ってるから、これで、あいこだろ?」
直も謝ろうとするミリカ。
彼女に、ジョージは日頃の飯作り等の雑用をやってくれてるから気にするなと話す。
「そんな事より、出航だぜ、カブラル操舵を頼むっ!」
「あいよっ! リーダー」
ジョージの命令で、カブラルは操舵輪を回し、帆船を海岸から出航させる。
やがて、大きな帆船は夢の島の空洞から離れる。
そして、一番近いユーラキア大陸の何処かの海岸を目指して海を渡って行ってしまう。
彼等は遂に島を離れて、多数の人間が文明を作り上げた大陸にまで行くのだ。
そこでも、仲間を集め、配下を増やし、アンデッドは増殖を繰り返すだろう。
彼等の獲物として、次の犠牲になるのは誰だろうか。




