船室を捜索すると?
「こうして見るとデカイ船だな・・・」
錨から船の手摺に捕まり、甲板に出たジョージは船全体を見渡して、その大きさに感心する。
船の種類は、かなり大きい船体の帆船だ。
馬車を余裕で数台は積めそうな程に大きく、甲板に備えられた左右の階段の間には鉄扉があった。
左右の階段の脇と手摺の間は通路であり、その手摺の下を覗くと。
ミリカ達が、馬車にアミの死体を運ぶのが見える。
他にも、手摺の下には四つの窓があり、今は黒い鉄板の蓋を閉められていた。
ジョージは船体の上部に視線を移すと。
船橋と、その上に立つ小さなマストと、更に後ろの巨大なマストの柱と白い帆が見える。
その二つのマストからは、長いロープが船先にまで真っ直ぐに伸びていた。
「リーダー、勝手に上らないで下さいよ?」
暫く船全体を見渡していた彼の背後から、錨を登ってきたアレリオが声を掛けた。
「あっ! 済まないな、他の男連中も・・上がってきたか」
「よっと、リーダー殿、皆参りました」
「船なら俺にお任せあれ、何せポルトガリア元海兵隊員だからな」
アレリオに、何も言わず勝手に行動してしまった事を謝るジョージだったが。
錨を見ると、更に後ろから仲間達がゾロゾロと現れるのが目に入る。
錨を登ってきた彼等も興味津々と言った様子で、目を右に左に動かしては船体を見渡す。
その中で、リュージンはマストを細目で睨み、カブラルは自信満々に自身の経歴を自慢した。
「ああ・・・じゃあ、アレリオとリュージンは俺と一緒に来いよ・・・カブラルはビョルンと一緒に後部甲板に・・・ヴークとファレド、マルセル達は船室にだ」
登って来て直ぐの男アンデッド連中に対して、ジョージは人員を分けて船を探索する任務を与える。
彼も、まさか船内に敵が潜んでいるとは思ってはいないが。
念のためにと、警戒心を解かず仲間達を分けて探索させようとしたのだ。
「それと、カブラル・・・お前には後で操舵手を頼むからな」
「了解です、リーダー・・・遠洋航海には慣れてますから」
ジョージは自らを元海兵隊員だと話したカブラルを信頼して、彼に操舵手を任せた。
「じゃあ船を出す時は頼んだぞ・・・それと、ミリカ・・・上で馬車を積み降ろし出来そうな物を見つけるから、それまでは待機していろ」
「分かったわ・・・出来るだけ早くしてね、こんな所で待ちぼうけ何て嫌だからさーー」
ジョージは次に下で待機している、女アンデッド陣を率いるミリカに声を掛けた。
「さぁーーて・・・中に御宝や食料は有るかな? それと馬車を積み込めるような仕掛けか板を探さなければ」
両脇を階段に挟まれた船室に続く両扉を、ジョージは眺めるとそこに向かって進み出た。




