食事後・・・
「嫌な声を聞いたな・・・」
「コヒューー? コヒューー?」
ずっと顔を背けていた、ジョージは妙な物音に振り向くと、そこには何とまだヴークが生きていた。
何とか虫の息では有るが、彼は苦しそうに息を吐いては、肺を動かして咳き込む。
「ぐっ! ・・・」
「驚いたぜ・・・まだ息があったとはな」
ヴークの高い生命力と気力に驚嘆するジョージだが、それも今は風前の灯火だ。
右頬と喉を食い破られ血だらけになった、ヴーク。
そんな彼に、覆い被さる様に横たわる損壊の酷い、マルセルの遺体。
(・・・うぅ・・・痛い? 痛いよ? ・・・誰か助けて・・・)
「ねーーぇ? 喉が痛いのぉ~~」
そんな中、ヴークの側にキャロルが近寄り、しゃがんで彼の顔を覗き込むようにして話し掛ける。
『ボフンッ!』
「うっ! お、はっ!」
(・・・お前・・・母親じゃなくて? 変身していたのか? ・・・)
ずっと、キャロルの事を母親と娘のゴーストだと思っていたヴーク。
彼は、目の前で変身した彼女を見て、同一人物だとやっと理解した。
「うんうん、分かってる、今楽にして上げるからねーー」
固有スキル、シェイプシフトで子供の姿になったキャロル。
彼女は立ち膝になり、ヴークの顔を両手で押さえて唇を重ねる。
「うぅ!!」
「すぅ~~」
すると、唇を放したキャロルの口に、ヴークの口から出た白い魂のような精気が吸い取られる。
「っ? ・・・」
口から殆どの精気をキャロルに取り出された、ヴークは力尽きて眠るように事切れた。
これで、人間二人が死んだことになったが、ミリカの予測通り二人を食べた三体の腐肉の塊は。
「あァァッ!?」
「ふあぅっ!」
「ぐがぃっ!?」
ファビアンとヴィカ達は黒い煙がとぐろを巻き、ヌルは赤く丸い玉に包まれる。
その三人の中から、一番最初に出てきたのは、ファビアンの生まれ変わった姿だった。
黒い煙が霧散すると、ファビアンの新しい姿が出てきて、彼女は目を開き柔らかい笑みを浮かべる。
彼女の姿は、チリッとした男性のような無造作パーマウルフショートの髪はそのままだが。
毛色だけ、鮮やかなシャトルーズ・グリーンに変わる。
大きな目に明るいレタス・グリーン色の瞳を浮かべ。
耳に丸い金のピアスを填め、顔は丸い頬に大きな唇はフレッシュ・グリーン色に。
民族衣装のボンバは割烹着なのは変わらないが。
新しく長い袖が付き、フィエスタ・ローズ色に変わり、その上に同じ色のエプロンを掛けていた。
エプロンには、四角い黒い枠の中に幾つもの黒の縦線と。
フロスティ・ホワイトのゼブラ模様が描かれていた。
両肩からは僧衣のようなローズ・レッド色の布を垂れ下げており。
僧衣の背中側には、足首までの長さのフードの付いたマントになっていた。
垂れ下げてられた布にも、四角い黒い枠が三つ描かれ。
中には、フロスティ・ホワイトの背景に模様が描かれ。
右側の垂れ布には●・▲・■等が、左側の垂れ布には○・△・□等が上から順に描かれていた。
その服の胸元の部分に、金のネックレスを下げ。
腕には、薄いフロスティ・グレイ色のイブニング・グローブを着け、金の腕輪を付けていた。
サンダルは麦色に変わり、足にはオリーブ・グレイ色のタイツを履いていた。
腰に巻いたベルトには、二つの黒い予備の弾帯と。
カタツムリ型の剣と、火縄銃の掃除用具を差していたのは変わらなかった。




