餌場に到着しました♥
「おい、今日で作業は終わるんだろ・・・」
「見れば分かるでしょう」
左側の洞窟から現れた、五人の女アンデッドと三体並ぶ腐肉の塊。
彼女達に、悪堕ち作業を早めろと催促にきた、ジョージはミリカに声を掛ける。
何時までも、このままダラダラと地下に籠って居たくない、男アンデッド連中。
彼等を代表して、ジョージは文句を言いに来たのだ。
「大丈夫、今日で全てが終わるわよ」
「それなら良いんだ・・・明日、出発だからな」
笑顔で軽く返事を返したミリカ。
彼女に、ジョージは終わりそうなら五月蝿く言う必要も無いなと思って黙る。
「分かったわ」
「ん、なら俺は先に行くぜ」
ミリカが明日の出立を了承すると、ジョージは一足先にワゴン馬車へと行ってしまった。
「ふぅ~~? 奴等もいよいよ仲間入りか、長かったな」
ワゴン馬車の前で、ブツブツと呟くジョージは、扉に備えられた鉄製の板をコの字型に曲げて作られた取手を握る。
「生きて行くには動物を殺して食う、戦争で生き残るには相手を殺す」
しかし、そのまま扉を開かずに彼はボソリボソリと呟き続け、中々扉を開く気配は無い。
「敵を悪堕ちで仲間に変えるのは仕方無き事? しかし・・・やはり、いざ悪堕ちとなると気が引けるな」
一人コントでもしているのか。
まるで、彼はABの部屋を開ける前に、ニヤニヤ笑いながら突入を渋る浜田雅功のようだ。
「だが、やるしかないよな?」
意を決して、ジョージがワゴン馬車の扉が横に開く。
車内に、淡い茸の光が射し込み、暗闇の隅で踞る二人をぼんやりと照らす。
何処と無く、少しだけやつれた様な感じのマルセルと、疲れと不安げな表情を浮かべるヴーク。
「やあ、調子はどうだ?」
「どうもこうも無いさ?」
「・・・」
二人の様子を見にきた、ジョージであるが。
マルセルは適当に返事を返し、ヴークに至っては黙ったままだ。
「そうか、それよりっ!! 来たようだな」
「おひさ~~?」
ジョージは、もう来たのかと背後から聞こえてきた何人かの足音に振り向く。
そこには、微笑むミリカ達五人と、無表情の三体の腐肉の塊が並んで立っていた。
「お姉ちゃんっ!!」
「ファビアンッ!?」
「そう、あんた等の仲間よ」
姉が無事だったと思ったヴーク、共に連れ去られたファビアンが生きていた事に安堵するマルセル。
そんな二人に、ミリカはニヤリとした唇に、人差し指を当てて悪戯っぽく答えた。




