新たな仲間と冒険の旅に出る人間達
「な、なっ何だよ?」
「また何だでやんす」
「大丈夫だよ・・・」
慌てふためいて、今度こそ魔物の襲撃だなと思って武器を手に取ろうとする、プリスカとジョレ達。
そんな二人を、顔を前に向けたまま、カマルは制する。
「上に乗ったのは仲間のザリーンだよ、彼女はダンより無口だからね」
「何だい、仲間か・・・ほっとした」
「驚いたでやんすよ」
カマルに仲間だから心配はないと知らされた、プリスカとジョレ達。
二人は、心臓が飛び出るかと思う程バクバクと鳴っていた胸鳴りが収まった。
『パカパカパカ、パカ、パカパカ』
『パカパカパカパカパカ』
『パカ、パカッパカパカパカッ』
カマル達のキャラバン馬車の後ろには、馬の蹄の音を響かせながら三台の馬車が近づいてきた。
一台はヴィクトリア馬車。
その後ろの二代目は、スパイダー馬車。
更に後ろには、クーペ馬車が走っていた。
「アレも仲間だからね」
(・・・はぁ~~? ファビアン・・・君は何処に消えたんだ・・・)
馬車の連中も仲間だと告げる、カマル。
彼は、運転しているにも関わらず蒸発した、ファビアンの事しか考えられない。
その様子は、正に上の空と言う感じだった。
「カマル、運転を代わろう」
「うん、有り難う・・・」
このままでは、カマルは事故を起こしてしまうかも知れない。
それを、流石に危ないと感じた、ダンは業者の役を交代しようと言った。
「ぼっちゃま・・・」
「・・・」
カマルだけではなく、上の空なのは主を失った傭兵であるザロモンも同じであった。
業者として、彼の隣に座るリリーは、何と言葉を掛けて良いか分からなかった。
そんな一行は荒野を越えて、先ずは一番近い馬車が比較的に走りやすい道路を目指す事にした。
古代遺跡を結ぶ道だったらしい道路は整地されており、馬車がすんなり通る事が出来る。
その上、様々な傭兵や行商人のパーティーが行き来するのだ。
また、彼等が行き来する事によって、狂暴な魔物の群れが、来なくなるのだ。
馬車を護衛する傭兵達に警戒して近寄らず、道を進む行商人等は安全に進む事が出来るからだ。
遠く見える山岳をボンヤリと眺める、カマル。
彼の見つめる山肌の地下にアンデッドが潜み、恐ろしい拷問を行っている事等知る由も無かった。
彼等は太陽の光の加護の元、荒野を難なく進み、やがて馬車が進みやすい道路まで来た。
道路と言っても砂利の無い土だけの道だが。
ガタガタと馬車を揺らす、荒野の石と凹凸だらけの凸凹道よりはマシだった。




