人間達は新たな仲間を迎えていた
「雇って欲しいってのは君達かい?」
キャラバン馬車の左側の車体の前で、樽の上に座るカマルは元気なさそうに正面の二人を見る。
「そうだよ、前にブラウン・ドラゴンとの戦いでは大分活躍したり、あんた等をゴリラ・ゴーレムから助けたりしたろっ」
「あっし等は旅の傭兵でしてね、是非とも旦那に雇って頂きたいんでさぁ」
「分かった、分かった・・僕はカマル、このパーティーのリーダーだよ」
金髪の女性と鎧姿の男性から、雇って欲しいと頼まれたカマルは名を名乗る。
「はっ?やったOKだね、助けた甲斐があったよ、私はプリスカ・ペルサキス宜しくね」
「あっしは、姉さんの弟分のジョレ・ヤノフスキでやんす」
金髪の女性と鎧姿の男性等は、新たな雇い主であるカマルに対して名を名乗った。
「早速だけど僕達は旅に向かう、目的地は山頂付近の遺跡に設置されたキャンプ地だ、君達は僕の馬車に乗ってくれ」
「あい、分かったよ」
「行くでやんすっ!」
樽から立ち上がったカマルは、樽を両手で持ち上げてキャラバン馬車の正面から幌の中に容れると二人に出発を告げる。
すると、プリスカもジョレも早速キャラバン馬車の後部座席に飛び乗り、それを見届けたカマルは馬車を発進させる。
「他の連中も来るからね」
ゆっくりと走り出した、馬車の後部座席に座る二人に声を掛ける、カマル。
こうして、キャラバン馬車は円陣の組まれたキャンプ地内を進む。
「箱と樽ばかりだねぇ」
「そうでやんすねっ?」
プリスカとジョレ達は、キャラバン馬車のクリーム色の幌中に居るが。
二人は、様々な物資が所狭しと積み込まれているのを見て呟いた。
樽。
木箱。
鉄の箱。
宝箱。
~~等が、ギッシリと積み込まれている馬車の後部座席で、二人は後ろの風景でも眺めようとしたが。
『シュタッ!』
突如、カマルの横に何か猿のような影が素早く飛び乗って来たので、二人は驚く。
「うわっ!?」
「ああっ!!」
猿のような身のこなしに、魔物の襲撃かと驚くプリスカとジョレ達であったが。
乗って来たのは赤茶色の肌をした、ダンであった。
「お前ら・・・誰だ?」
二人が何故馬車の中に居るのか分からない、ダンは目をキョトンとさせる。
「ダン、彼等は新しく雇ったんだ」
「そうか、宜しく頼む・・・」
「あっ! ああ・・・宜しくね」
「あっし等からも宜しくでやんっ?」
『ドムッ!?』
キャラバン馬車の手綱を握る、カマル。
彼は、後ろの二人の事をダンに伝えると、彼も二人の新入り護衛を歓迎する。
そして、プリスカは笑顔で、ジョレは手を振って宜しくと返事を返そうとしたが。
そこに、クリーム色の幌が大きな音と共に歪んだ。




