買い物で手に入れた物と情報で仕入れた噂
「ささっ! お客さん、中に入って下さいな」
「さあさ、中に、中へとどうぞ」
行商人の娘と親父に促された、二人は扉の中に入る。
そこには、右側の壁棚に並べられた大量の武器が、左側の壁棚には沢山の道具類があった。
「うーーむ、これは大変素晴らしい品揃えですな」
魔法道具である宝石や、薬草が瓶詰めされた小瓶を眺める、リュージン。
彼は、かなり貴重な物品の豊富な品揃えに感嘆する。
「凄い量の武器だ・・・これだけ有れば戦争が出来る」
大きな鎌。
高級そうな銃。
東洋製の弩。
見たことも無い大砲のような武器。
~~等を眺める、ビョルンも余りの数に驚く。
「西はブリュティン、南は南ダークネス、東はブラジラール、北はノルウィンまで・・・」
「私共は、何でも取り揃えてますので」
行商人の娘と親父の話とおり、世界各地から集められた、珍しい道具と武器に目を輝かせる二人。
奇妙な壺の形状や、鋭いナイフの輝き。
それらを、黙って見つめてままだった、リュージンとビョルン達。
彼等は、壁と一体化した陳列棚を眺めるのを止めて、行商人の親子に声を掛ける。
「あの、私共は拳銃の弾薬と散弾、それから丸石に火薬、矢、魔力回復薬、これ等が欲しいのですが」
「後は珍しい道具や強力な武器とか、石鹸や香水に、食料に他の日用品も」
リュージン、ビョルン達の頼みを聞いた行商人の親子は、直ぐ様商品の詰まった箱を寄越す。
「コレが弾薬箱と丸石入りの麻袋です、此方が矢のセットで、この箱に六本魔力回復薬が入ってます」
行商人の親父は、幾つかの弾薬箱と麻袋に、矢を紐で十本に纏めたセットを四つ。
最後に、魔力回復薬入りの細長い木箱を渡してきた。
「私からは・・・薬用石鹸に、虫除け効果つき無臭水と、魔物には効かない香水、黒パン、苺ジャム、蜂蜜を・・・」
行商人の娘は、様々な日用雑貨を持ち出して来て、更に保存食もビョルンに見せてきた。
「他にも瓶積めされたポトフが三箱分、ジュリエンヌも三箱程、在庫が有りますが?」
「じゃあ貰えるかな?それと最近、ゴリラ・ゴーレムと激しい戦いがあったそうだけど」
行商人の娘が用意した追加分も、購入を決意する、ビョルン。
それと、彼は情報を入手しようと、ゴリラ・ゴーレムの話を持ち出した。
「それでしたら、確かカマルとか言う商人の活躍で何とかゴリラ・ゴーレムの襲撃から探険隊が持ちこたえたらしいですが」
「そして、探険隊が大損害を被り、奴隷商人に仲間を連れ去られたとか聞いてますな?」
代金を受け取りながら行商人の娘が色々話始めると、横から親父の方も補足する。
「噂によると、ゴリラ・ゴーレムを引き連れて来たのも、彼等奴隷商人だそうです」
「なるほど、つまりは全ては奴隷商人の計略だったと言う訳ですな・・・」
行商人の親父が真剣に話すと、それに合わせてリュージンも頷きながら答える。
「そうです、因みに今は大規模な捜索隊が、複数のパーティーや傭兵隊により組まれており、奴隷商人の討伐に駆り出されてます」
すると、行商人の親父の口から二人に取って、かなり重要な情報が出てきた。




