砂漠の様に広い平原へ
蟻塚から離れた彼等は、広い平原を進み、美しい風景と静かな雰囲気に包まれた台地に圧倒される四人。
遠くに見える、灰色の山。
何処までも続く、灰色の地面。
空を見上げれば、満月から降り注ぐ月光が地を明るく照らす。
「この辺は大人しい魔物ばかりだな、俺達は楽できるから都合が良いな」
「虫に動物に・・・アレやコレと? 色んなのが居るわ、皆温厚な表情をしているわ」
ジョージは、左側に位置する岩石のような甲羅を背負う、ロックタートル。
陸蟹である、グランドビッグクラブ等の大型生物を眺める。
ミリカも通りすぎていく、三匹の草食虫グリーンワーム、ユニコーンディアの群れを何気なく見つめた。
「この辺りに生息するのは大人しい魔物ばかりですが、やはり気は抜け無いですね」
「怒らせたら流石に不味いので・・・リーダー、お姉さま、余り近寄らないように」
気を抜いたら魔物に襲われると言う危険性を考慮しつつ、アレリオは警戒しながらバギー馬車を操る。
草食動物とは言え、身を守る為に強い力と何らかの必殺技を持ち、体格の良い周りの魔物。
それ等を、シャリルは恐れる。
実際に、この場に生息する魔物は温厚な草食動物ではあるが。
同時に身を守る術を持つ、大変危険な魔物でもあるのだ。
ロックタートルは、岩石のように硬い甲羅を持つ。
更に、襲い掛かって来た敵に対して、一気に突進して体当たりをぶちかます事も。
赤茶色のグランドビッグクラブは、鋼鉄並みに硬い鋏で敵を真っ二つに切り裂く。
グリーンワームは危険を感じると。
口から白い糸を大量に吐いて、相手を絡めとり身動きを取れなくしてしまう。
ユニコーンディアは、一本角から様々な全体魔法を放ち、敵対する者から群れの仲間を守る。
「ふぅ~~やっぱ草食動物も角とか、爪を持ってるし、近寄らない方が無難だよな」
後ろで、バギー馬車に座る二人の助言を聞いた、ジョージ。
彼は、草食動物も怒らせない方が良いと判断した。
彼は自らが騎乗するゾンビホースを、なるべく魔物に近寄らず。
余計な刺激を与えないように、注意しながら走らせる。
「アレリオ、シャリルちゃんの言う事は本当よ、ディスカバリーチャンネル・世界丸見えとかで見た事有るでしょ?」
「ああ、確かにな」
ミリカにも言われた、ジョージは子供の頃から見てきた長寿番組の事が頭に浮かんだ。
(・・・動物達は様々な技や硬い殻を持っていたな? 後・・・所さんは昔は毎回たけしに頭をピコピコハンマーで叩かれてたな? だから段々と薄くなっていったんだよな・・・)
それは、ビートたけしと所さんの番組と、無料放送等で大自然の様子を教えてくれた番組である。
映像を思い出す中、彼は様々な動物と所さんの【頭】、の事を思い出す。
「ディスカバリーチャンネル?」
「お姉さま、世界丸見えとは?」
「ああぁ? アレよ、四角い魔法の鏡から動物の知識を教えてくれる奴の事よ、私達の世界では皆家族でコレを見るのよ」
?マークを頭に浮かべた、アレリオ。
それは何ですかと問う、シャリル。
二人に、ミリカは現代文明と機械文明の事を分かりやすく教えて上げた。
「成る程~~それで色んな物事を見られるんですね」
「魔法の鏡ですか? まるでおとぎ話見たいですわ」
「おとぎ話か・・・そう言われて見ればそうかもな」
「まーーぁ? 魔法の鏡と同じで人工知能が喋るしね」
アレリオとシャリル達は、勿論であるが。
パソコン・テレビを知らない上に、ニュース・ネットも無い異世界中世時代の人間なのだ。
そんな二人に色々な事を尋ねられた、ジョージとミリカ達。
彼等は、確かに言われて見れば二人に取って、パソコンもテレビも魔法の道具だなと思った。




