着いたわ♥ 着いたわ♥
あれから、ジョージと分かれた後。
直ぐに、ミリカは例の場所に向かう。
四人の女アンデッド仲間と、女捕虜三人を引き連れて。
「もう、ここまで来たら猿轡代わりの縄も要らないわねっ♥」
「ぷはぁ~~~~?」
温泉から溢れ出た、淡く光る緑色の湯が壁の左側の側溝を流れる洞窟内を歩く、ミリカ。
彼女は、急に後ろに向き直ると、ファビアンの口を塞ぐ縄をほどく。
「何処に連れてくんだっ、この変態女がっ!」
「あら、誉め言葉かしら?」
縄を解かれたファビアンは悪態を吐き反抗的な態度を崩さない。
そんな彼女に、ミリカはフフンと笑って気にも留めない。
「んな訳がないだろうっ!!」
怒気を強めて叫ぶファビアンの言葉。
それに、当のミリカは先程と変わらず飄々とした雰囲気で答えるだけであった。
「まぁまぁ、そうカッカ怒らないの」
ファビアンのぷるんっとした唇に人差し指を当てると。
ミリカは、再び前に向き直って行だした。
やがて、目的の場所である岩柱の牢屋にまで、彼女達はたどり着いた。
それから彼女等は、拘束しているファビアンの目隠し布も外し始める。
「それでは、これも外しましょうか?」
「これは邪魔だしねっ?」
「なっ! ここはどこだい」
シャリルとキャロル達は早速目隠しを外して、ファビアンに周りの光景を見させる。
彼女の目に映るのは、洞窟の壁と床と天井。
それと、左側の側溝を流れる淡く光る、見るからに暖かそうなお湯であった。
「さあさあ~~御覧下さい、こちらが貴女の暫くの間、お泊まりする一室に御座いますっ♥」
ホテルマンの様に、ミリカは手を岩柱の牢屋に向けると、ファビアンに対して、丁寧に説明を始める。
「当牢屋をご利用頂き、御客様には誠に感謝致します・・・それでは?」
左手を岩柱の牢屋に、右手は胸に沿え、頭を下げ丁寧に御辞儀をして喋るミリカ。
「御客様には、これから当牢屋の極上のサービスを受けて貰いまぁ~す♥」
「だから、ふざけんなっての!?」
そんな彼女は、深々と御辞儀をしていた頭を上げると。
満面の笑みで、クルルンと身体を三回転させる。
そして、サービスを受けて貰うとファビアンに告げる。
「ふざけんてなんか居ませんよぉ~? 貴女には、これから長い長~~い拷問による快楽地獄を味わって貰った末・・・」
意味深なサービスと言う言葉に、過剰に反応する、ファビアン。
彼女に、ミリカは勿体ぶって何かを言おうとする。
「私達の仲間になって、頂きまーーすっ♥」
「はっ! 誰がお前達の仲間に何か成るものかっ!?」
それは、ミリカの仲間としてアンデッドに成れと言う意味であったのだが。
ファビアンはまだ、彼女が巷を騒がせる赤い吸血鬼だとは知らないのだ。
「どうせ、私を奴隷として散々こきつかった後、何処かの鉱山に売り払う気だなっ!!」
ミリカの吸血因子を与えられる事を理解していない、ファビアンは彼女に噛みつく。
「うんうんっ! 良く分かってるわね、そうよ貴女には私の性奴隷として働いて貰うわ」
「はんっ! ヤッパリ私を暗殺者にして、鉱山での過酷な肉体労どっ・・・ハッ! セイドレイ?」
ミリカの口から出た意外な言葉。
それに、ファビアンは一瞬何を言われたか理解できず、ポカンとなってしまった。




