円陣では
その頃、カマル達はと言うと。
何処に行ったのか分からない、負傷している筈のファビアン。
そして、同じく負傷している、マルセルを含む謎のパーティーを探していた。
「駄目だ、彼等を探したが何処にも見当たらない」
「奴等は、いったい何処にっ? て言うか何者だったんだ」
「きっと、彼等は奴隷商人だったんじゃあ!」
カマル、ルチアーノ、チュリーナ達。
三人は、居なくなった仲間と煙りの様に消えたパーティーを怪しむが。
「その通りかも知れないな、ゴリラ・ゴーレムに追われていたのもひょっとして、誰かを捕まえようとまちかまえていた所を逆に・・・」
「ゴリラ・ゴーレムの奇襲を喰らって円陣まで、スタコラサッサと逃げてきて、それを俺達が助けちまったと?」
額から汗を垂らして真剣な表情で語るザロモンの言葉。
その真剣さに、ケビンは疲れた顔で続きを語る。
「・・・」
(・・・変な雰囲気はしてたけど・・・奴隷商人と? その用心棒だったのね・・・)
ザリーンは顔色一つ変えず、キャラバン馬車の上で見張りをしつつ、聞き耳を立てる。
「あぁっ・・・マルセルぼっちゃん」
「ファビアン、何処に行ったんだ」
頭を抱えるザロモンと、心配そうに周囲の景色を眺めるカマル。
そんな二人を余所に、大勢の人間が円陣を忙しなく走っていた。
「二人だけじゃないわ、これだけの戦死者に負傷者が出た」
「大変な数よ、アッチもコッチも怪我人だらけ」
負傷者の手当てを、リリーとレアは懸命に行い。
回復薬に包帯を器用に使って傷を直そうとする。
「また、負傷している者を運んで来た」
「私もよ、それにしても重いわぁ~」
全身に、酷い切り傷を負った負傷者の傭兵を二人も肩に抱えて来たダン。
そして、背中に一人の女性騎士を背負って来たドロレス。
彼等も、生き残った者達を一人でも救うべく助けを求める人を必死に探していた。
「おーい、アッチの負傷者は全て、小山から来たパーティーが面倒を見てくれるってさ?」
「山の中腹キャンプからは医薬品が、山頂のキャンプからも物資が届いてるでやんす」
金髪の女性と、その子分の灰色鎧の男性。
二人は、負傷者を介抱している四人の元へやって来た。
「貴方達は・・・あの時、窮地に追い詰められた私達を救ってくれた!」
「どうも有り難う、二人が居なかったら今頃ゴリラ・ゴーレムに・・・」
リリーとレア達は、現れた二人組に礼を述べたが、当の二人は笑顔を浮かべて。
「そっそ、私達はあんたらの恩人でしょう」
「恩人に恩を返して欲しいでやんすが?」
何やら相談が有ると金髪の女性と、子分の男性は言い出し。
二人の恩を返してとの言葉に?マークが頭に浮かぶ四人。
「恩・・・何をすれば良いの? 恩奨に預かりたいのなら、カマルに相談して」
「彼がリーダーだし、私等には何も決める権利は無いのよ」
「まぁ、助けて貰ったのも事実だし、彼に紹介はするわよ」
リリー、レア、ドロレス達。
彼女達は、二人の恩人を取り合えずカマルに紹介しようと考えた。




