そそくさ、そそくさ、隠れるように? 逃げろ、逃げろ、目立たないように?
「アイツを何とか上手く誤魔化せたな?」
「見たいねぇーー? さっ! 早く行きましょ」
そそくさ、そそくさ、逃げろ、逃げろ・・・。
と言うように、ジョージとミリカ達は密かに動く。
二人して、何食わぬ顔で足早に歩きながら。
「それで・・・ミリカお姉ちゃん、あの女の人はどうしたの?」
キャロルは、不意に捕まえた負傷者の女性。
つまりは、ファビアンの事はと聞いたのだが。
「キャロルちゃん、今はシィーーよ? その事については馬車に乗れば分かるわ」
「そうですよ、今はダメです、人間達に聞かれたら、どうするのですか?」
当のファビアンを馬車まで人知れず運んだ、ミリカとシャリル達。
彼女等は、二人揃って、キャロルに今は秘密だと微笑を浮かべて話す。
「ぶぅーーんもう、二人とも意地悪なんだからぁ」
「コラコラ、キャロルちゃん、落ち着いてっ・・・帰ったらどうせ、あの人もアタシ達の餌にするんだからさ」
「ニウお姉ちゃんの言う通りよっ! 馬車に乗って帰れば、お楽しみが待ってるんだから、それまでは我慢っ我慢よ」
キャロルの後ろを歩いていた、ニウとシニッカ達。
彼女達も、ウフフと妖しい微笑を浮かべつつ彼女を嗜める。
「うぅ・・仕方無いやぁ~~」
キャロルもアンデッドとしての姉である四人に言われ、仕方無しに黙る事にする。
そんな彼女等を他所に、男アンデッド連中は疲れた感じで、遠い馬車まで歩く。
「彼奴等は元気あるなぁーー」
「僕達はクタクタなのにさあ」
アンデッドとは言っても、非常に長い激闘が続き。
精神的に、疲れ果てていたた男性アンデッド陣。
その中でも、特に疲れている、カブラルとビョルン達は愚痴を溢す。
「リーダー、これから何処に行くんですか?」
「そりゃあ、一度あの拠点に戻る」
愚痴る二人の前を歩く、ジョージに左から、アレリオが行き先を質問をしてきた。
「それしか行く宛も無いしな、そこで一度体制を立て直そう」
「それが今は最善ですね」
ジョージとアレリオ達は、呑気な会話を続けつつ遂に、馬車を置いてきた塹壕の小山の上まで来た。
「そいじゃあ~~乗りますか」
「全員、乗った、乗ったっ!」
ジョージとミリカ達の号令が下る。
それから、アンデッドのパーティーは、皆それぞれの馬車へと乗り込む。
馬車に乗った彼等の編成。
それは、先頭にミリカとシャリル達の、ヴァンパイアホースとゾンビホースを立たせ。
その後を、ジョージが乗る、キャリッジ馬車が、バギーを荷台代わりに引いて走る。
更に後ろを走る、ワゴン馬車には座席にリュージンが座り、同じくバギーを荷台代わりに引いて走る。
キャリッジ馬車の左右に並ぶチャリオット。
ワゴン馬車の後列に並ぶ、ドクター馬車とカート馬車と駱駝。
両側面の二台のチャリオット。
それには。
ニウとビョルン達。
カブラルとシニッカ達。
と、四人が側面からの襲撃を警戒し、何時でも戦えるように備えて乗っていた。
最後列は、左側のカート馬車の座席にはアレリオが乗る。
彼の馬車は、一頭のスケルトンホースに引かせる。
真ん中の黒色のドクター馬車。
その後ろから、幌が被せられた座席にはキャロルが乗る。
彼女は、二頭のゴーストホースに馬車を引かせる。
二人の乗った馬車の右側を走るのは、ファレドが騎乗している駱駝であった。
馬車に乗ったアンデッドのパーティーは、人知れず夜の闇が広がる広野に進み出した。




