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塹壕と土と岩とマントレット


「てめぇ~~」


 一匹のゴリラ・ゴーレムの眉間に、深々とミリタリーフォークを突き刺す、ザロモン。


 彼は、それを抜き取らず、左手に喧嘩用剣カッツバルゲルを握ると。

 横から襲ってきた、ゴリラ・ゴーレムを斬り伏せる。



「サンダーショット、狼達よ噛み殺せ」


 雷撃魔法を放った後、マルセルは素早く二匹の白狼の幻影を放ち、ゴリラ・ゴーレム達を翻弄する。



「凄い戦い振りねーー」


「そうだなっ!」


 片手を前に出し、火炎魔法を連発する、ミリカ。

 彼女は、横目で後ろで勇猛果敢に戦うカマルの仲間達を見る。


 そんな彼女を守る為、ジョージは、ダンゴムシ型シールドを展開して飛んでくる岩石を防御する。



「岩石がウザいな?」


 ジョージは岩石を防御しつつ、前方から接近してきたゴリラ・ゴーレム。

 奴に、右手に握るショートソードを振るって倒す。



「面倒な奴等だぜ」


 そう呟く、ジョージの近くまで数匹のゴリラ・ゴーレムが迫る。

 護衛のアレリオとシャリル達も、迎撃しようと身構える。



「奴等が来たか・・・邪魔者は切り捨てるまでだ」


「とうとう防衛線を突破して来ましたか」


 アレリオは、両手で握る大剣モンタンテを身体の右後ろに引いて構えを取る。


 シャリルも、先程から放っていた雷撃魔法を止めメイスを両手に握り締めると。

 何時でも、敵に対して一気に振るえるように構える。


 彼等が、ゴリラ・ゴーレムの群れと、直ぐに戦えるように戦闘体勢を整えている間。

 相変わらず、円陣の中心地と北側からは悲鳴が響いていた。



「く・・・?」


「居ないだと」


 円陣の中心地に向かった、ザリーンが見た光景。

 それは、誰も居らず壊された酒樽や木箱の残骸が転がるだけの有り様だけであった。


 その様子を怪しむのは、遅れて到着した、ダンも同様である。


 周囲からは、剣や鈍器を使った戦闘による金属音と、銃撃や魔法の音が聞こえる。


 だが、それは周囲からだけである。


 余りに静かな中心地に、二人は緊張感を解くことなく、敵が隠れて居ないかと警戒する。



「ガアァーーーーーーーーーー」


「グアァ~~~~~~~~~~」


 突如北側の地中から聞こえてきた、獣の咆哮。

 それは、地獄の悪霊が発する叫び声の様な岩石魔獣の声だ。


 その恐ろしき、大声に反応する二人。


 それは、北側の塹壕線を守るマントレット裏に隠れて、四角い銃眼からフリントロック式銃を撃つ傭兵。


 そして、塹壕の後ろに盛られた小山に身を伏せている魔法使い。


 彼等が、土中から現れたゴリラ・ゴーレムに襲われている場面だった。



「うわぁーーーーたっ! 助けてくれぇーーーーふごっ! ごぶぁ!?」


「嫌だっ! あっ! 足がぁ~~~~地面に沈むーーーー」


 地面に足を取られた、灰色軽鎧を着た傭兵。

 底無し沼や蟻地獄に嵌まったかの如く、彼は口に入ってきた、土砂を吐きつつ地中に沈みゆく。


 その側で、魔法を放っていた魔法使いも殺られる。

 彼は、地中から飛び出た岩石の手に足首を捕まれてしまい、非常に強い力で地面の中へと押し込まれる。



「奴等は・・・地面に人間を引き摺り込んでいるのか?」


「そんな事、どうでも良いわ」


 新しい戦術を取ってきた敵の狡猾さに、驚嘆する、ダン。

 彼を余所に、全く動じる様子を見せない、ザリーン。



『ムクモコ』


『ボコブク』


 そんな彼等にも、地中からの不意を突いた、岩石魔獣の魔の手が静かに迫っていた。

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