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また新しいのが来たぜ、もういい加減にしろよ・・・


「さあっ掛かって来なさいっ!」


 一足先に、マウンテン・ジェノサイダー・キャットの群れに突撃するミリカ。

 だが、前方に並ぶ魔獣の群れは、彼女を誘い込む様に踵を返し後退を始めた。



「逃げるの? 待ちなさいって・・・そんな姑息な手段は通じないわよ」


 暗闇の奥へと後退を始めた、マウンテン・ジェノサイダー・キャット達。

 奴等を、誘いには乗らないと深追いはせず、ミリカは直ぐに騎乗する馬を停止させた。


 罠を見破った、ミリカだが彼女はジョージ達の元へと戻ろうとする。



「ミリカ、良く誘いに乗らなかった?」


「当たり前でしょっ! あんな分かりやすい手には誰も引っ掻かないってのっ!」


 自分達の馬車が成す、隊列に戻って来たなと言う、ジョージだが。

 正面から馬を早足で走らせて来た、ミリカに声を掛けると彼女は当然だと胸を張って答える。


 それから、彼女は策を張り巡らす魔獣マウンテン・ジェノサイダー・キャットの群れを一睨みする。



「うわあっ! 後ろからまた来たーー!!」


「デカイわっ! ・・・何て大きさなのよっ!」


「まるで大熊だ、五メートルは有るぞ」


 前方に位置する、ジョージとミリカ達。


 二人の耳に後方を走る、ビョルン、ニウ、ファレド達の悲鳴にも似た叫声が聞こえてきた。



「いったい何だってんだ?」


「きっと新しい敵ねっ!」


「お姉さまっ! アレを御覧にっ!」


「アレは、幾ら何でもデカ過ぎだろ」


 ジョージ、ミリカ、シャリル、アレリオ達が背後の遥か遠くを見つめると。

 そこには、五メートル程の熊の様な強靭な肉体を持つ強敵。

 虎のような厳つい風貌のマウンテン・タイラント・キャット。

 ソイツが一匹、猛スピードで後方の三人に迫っていた。



「彼奴には爆弾が聞きそうだっ!」


「私も火炎瓶を投げるわよ」


 ビョルンは簡易爆弾を投げつけ、ニウは火炎瓶を投げつけた。

 その投擲攻撃を受けた、マウンテン・タイラント・キャットは、軽く身を交わし攻撃を受け流した。



「ガアァッーー! ガオオォッ!」


 マウンテン・タイラント・キャットは咆哮を上げる。

 次いで、投げつけられた簡易爆弾の木箱が爆発する前に通り過ぎつつ走る。

 飛んできた火炎瓶は、前足で走りながら蹴飛ばしてしまう。


 こうやって、中途半端な攻撃等自らには効かないと言わんばかりに凄い速度で走って来る。



「不味いですぞっ!?」


 背後から迫り来る黄茶色の巨体に、ファレドは自らの愛駝の走る速度を上げらせ何とか逃げ様とする。



「後方から来たか・・・!? 前方からも奴等攻めて来たのかっ!!」


「連中は私達を挟み撃ちにする気だわっ!」


「リーダー、お姉さま、私達は前方の敵の相手をしなければ成りませんっ!」


「左右から来る奴等もです」


 ジョージとミリカ達が、後方から来る、マウンテン・タイラント・キャットの方に注意を向けると。

 前方で、此方の様子を伺い待機していた、マウンテン・ジェノサイダー・キャット達も行動に移る。


 こうして、連中は一斉に動き出した。


 当然、前後から強襲を開始した上位種に続いて左右に展開していた、別動隊の殺人山猫。

 マウンテン・マンイーター・キャット達も呼応するかの様に動き出す。


 四方向から来る敵を、四面楚歌状態の中で奮闘しようとする、アレリオとシャリル達。

 二人は、何とか襲い来る連中を迎撃しようと武器を構える。



「みんなっ! 覚悟しろ、激戦に成るぞっ!」


 ジョージは自分達を包囲した、マウンテン・何ちゃら・キャットの群れを睨む。


 連中を、かなりずる賢く中々に手強い相手だと認識した彼は連中を迎撃せんと。

 馬車の上で、ショートソードを構え、ダンゴムシ状のラウンドシールドを展開した。


 彼の指示を聞いた、アンデッドのパーティーの仲間達。

 彼等は、皆走らせていた馬と馬車を停止させて、これから始まるであろう魔獣山猫との激戦に備えた。

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