撃退成功するか?
「ガオッ!!」
「ガオッ! ガオォッ!」
「ガオオォォォォッ!!」
最後尾に居る、ファレド。
彼の騎乗する、駱駝の後ろ足を狙って、七匹も居る獰猛なマウンテン・マンイーター・キャット。
その群の中から腹を空かせた、三匹が鋭い爪と尖った犬歯で攻撃して、転ばせようと襲い掛かって来た。
「くっ! このまま私が愛駝を、みすみす貴様等の餌にすると思うかっ!!」
飛び掛かって来た、三匹のマウンテン・マンイーター・キャット達。
奴等の素早い攻撃だが。
自らの愛駝を巧みに操る、ファレドは軽く回避する。
後ろ足で、駱駝を灰色の地面を力強く蹴飛ばす事で、大きくジャンプさせる。
これで、彼は爪や牙による足首を狙った連撃を軽く回避してしまった。
(・・・不味いな? このままでは何れ押しきられてしまう・・・)
駱駝の足首を狙った、一撃を見事に回避した、ファレド。
彼は、直も執拗に食い下がる、マウンテン・マンイーター・キャット達を見る。
次いで、睨み付けながら、このままでは不味いと顔を渋く歪ませる。
「ファレドさんっ!」
「今助けるわよっ!」
焦りと苦渋の表情を浮かべて駱駝を走らせる、ファレドを援護しようと。
ビョルンとニウ達は、自分等の馬車を後方に下げつつ走る。
そうして、執拗に追ってくる、マウンテン・マンイーター・キャット達を蹴散らそうとする。
「あっちに行けよっ! 山猫っ!!」
「邪魔よっ! 退いてってばっ!?」
彼等は、迫る敵の襲撃に反撃しようと。
段々と馬車を近寄らせ、投擲武器による攻撃を行おうかと考えた。
そして、馬車に積んである様々な手投げ爆弾を手に取る。
戦車である、チャリオット馬車の座席下に積んである火炎瓶を手に取った、ビョルン。
彼は、駱駝に乗った、ファレドを食い殺さんと。
執拗に追い回す、マウンテン・マンイーター・キャットの群れに向けて勢い良く手を振って投げ飛ばす。
手に入れたばかりの四角い木製の板張りワゴン馬車に乗った、ニウ。
御者である彼女も、敵の襲撃に備えて、馬車奥から座席横に持ってきて置いた、細長い木箱の蓋を開く。
それから、中身の数種類ある投擲武器の中から、導火線の付いた四角い形の小さな木箱を取り出す。
それは簡易爆弾であり、彼女はそれの導火線に火打魔石で火を付ける。
ビョルンの火炎瓶にも、怯まず勢いを増して疾走する、マウンテン・マンイーター・キャット達。
連中に、ビョルンは次々と火炎瓶を投げ付ける。
「ガオッーー!」
「ギャッ!?」
「ガオーーー」
「ガオォォッ!!」
「ガギャッ!?」
駆け付けた、二人に因って投げ飛ばされた、火炎瓶が地面に当たる。
これにより、砕け散って広がった油と共に燃え盛る炎に身体を丸焼きにされた一匹と。
地面に当たり、カランコロンと音を立てて転がった簡易爆弾。
これが爆発した事による、爆風と衝撃に巻き込まれた、もう一匹は撃退出来たが。
その他のマウンテン・マンイーター・キャット達はと言うと。
投擲攻撃を難なく交わしてしまい、依然として無事無傷な身体で追撃して来た。
「あんた達、助けに来たわよーー」
「山猫は私達が魔法で蹴散らすから安心して下さいっ!」
そこに、斜面の上方から馬を走らせて救援に、ミリカとシャリル達が駆け付けて来てくれた。
「フレイムボール、フレイムボール、フレイムボール」
「サンダーショット、サンダーショット」
「ガオッ!」
「ガオッ!ガオッ!」
早速、ミリカとシャリル達は真正面から魔法を放つ。
それも、マウンテン・マンイーター・キャットの頭を狙って攻撃するが。
やはり、山岳地帯の地形に慣れた魔物である、奴等は簡単に飛来する魔法を回避してしまった。
「チッ! ・・・簡単に交わされてしまったわっ」
「お姉さま、何発でも撃ってやりましょう」
魔法攻撃を、マウンテン・マンイーター・キャット達に回避されてしまった、ミリカ。
舌打ちしつつ、彼女は真正面のファレドと駱駝を追い掛け回す、敵の群れを標的に定める。
そして、全く諦める気配の無い連中を、彼女は険しい表情で睨み付けた。
その隣を共に駆ける、シャリルは何度でも魔法を放とうと、再度右手を正面に向けた。




