捕虜の男の子とゴースト少女だけの時間
「でぇ~~あんたは、お腹が空いているのよね?」
「五月蝿いっ! 誰が貴様等アンデッドの飯等、食うものかっ!?」
猿轡を外した、キャロルが質問すると、反抗的な言葉をヴークは口から吐き出した。
彼は自分に何をしに来たのか、目的が分からない、キャロルを不気味がる。
そして彼は、弱気な所を見せて付け入られ無いように、更に口から強気な言葉を吐いて罵倒する。
「どうせ変な薬や、お前達の血が混ざっているんだろう? ・・・そんな物が食べられるかっ!」
「そんなの入れて無いよ? ・・・リーダーや、ミリカお姉ちゃん、からは食べ物に変な薬とか混ぜろ何て言われて無いし・・・」
目の前に立つ、ゴースト少女を睨みつけながら虚勢を張る、ヴーク。
そんな彼を見つめて唇に人差し指を当てながら首を傾げて喋る、キャロル。
「私が貴方を勝手にアンデッド化させたら、新鮮な血液が手に入らなくなるし~~どの道、食べなければ餓死して私達の仲間入りだよ?」
「五月蝿い、五月蝿い、五月蝿ーーいっ!」
自らが運んできた食事には何も入れて無いと言い張る、キャロル。
その言葉を決して信じずに、五月蝿いと何度も叫んで騒いで暴れる、ヴークであったのだが。
「それが嫌なら? ちゃんと食べてね、はい、あーーんっ♥」
「が、ファッ!?」
キャロルは自らの説明を全く聞かず、直も暴れて騒ぐヴークの言葉を無視する。
彼の無防備に開かれた口に、素早くフォークで突き刺した牛肉を突っ込んだ。
「ど~~う、美味しいかな?」
「むぐぐぅ~~? ・・・」
牛肉の味の感想を聞く、キャロルに対して、口を塞がれた、ヴークが答えられる筈は無い。
ただ、彼はモガモガと牛肉で塞がれた口を動かすだけで有った。
「やっと、一口食べたわね? はいっ! じゃあ、もう一口お代わりを食べましょうっ!」
「むごむっ! ぎが? ・・・」
キャロルは、いきなり口に放り込まれた牛肉を、ヴークが噛みもせずにゴクリと飲み込んだ隙を狙う。
呼吸する為に息を吐いた所で、彼女は再びは彼の口に強引に牛肉を突っ込む。
「うんうん、そんなに美味しいかな」
「・・・『ゴクリ』・・・ぷはぁ~~くそっ! 無理矢理、変な肉を食わせやがってっ!」
また牛肉を飲み込んだ、ヴークの様子を楽しげな笑顔を浮かべて伺う、キャロル。
二度も牛肉を飲み込まされた、彼は遂に頭へ血が昇り、激しい怒りを露にするが。
「まぁ? これ以上は強引に突っ込んでも、食べて貰えそうに無いなぁ~~はぁ仕方無いわねぇ、ここに皿を置いて置くから勝手に這いつくばって食べて頂戴ね、じゃっ! さようならぁ~~?」
「あっ? おいっ! 待てよ、まだ話は終わって無いぞっ! くそがぁーー絶対に殺してやるっアンデッドめぇ~~」
彼の威勢の良さと元気な姿に放って置いても良いかと考えた、キャロル。
彼女は、強気な姿勢を崩さない、ヴークを放置した。
それから、キャロルはシニッカの居るで有ろう場所。
ミミズの垂れ下がった岩柱の牢屋を目指して歩いて行こうと踵を返した。
その後ろ姿に怒鳴り声を上げて呼び止めようと、ヴークは叫び続ける。
しかし、キャロルは既に彼に興味を無くしていた。
足早に進む、キャロルは無情にもヴークの口から吐き出される怒りの叫び声を聞こえない振りをする。
こうして、彼を無視した、彼女は暗闇の中へと歩いて行ってしまった。
「くそぉーー! また、一人かよっ!」
(・・・はぁ? 何か寂しいな・・・)
一人遺跡の裏に取り残された、ヴーク。
放置された彼は、広い洞窟内の空間の天井を見上げつつ、寂しげな表情を浮かべ口から愚痴を溢した。
彼の本心は、強気な態度と違って、本当はとても気弱なのだ。
(・・・お姉ちゃんに似て彼は随分強気なのねぇーー? ・・・)
彼と別れた後、キャロルは捕虜の身体を好き放題に弄くり回している、シニッカの元へと向かう。
彼女は、尋問と称した性的拷問を行い、一人楽しんでいるのだろう。
彼女の居る岩柱の牢屋まで続く、温泉からの湯煙が微かに漏れて、湿気の香る洞窟内を歩く、キャロル。
彼女は、先程のヴークが姉に似て強気な性格だなと。
洞窟内の側溝を流れる淡く緑色に光る温泉から流れる湯を見て思っていた。




